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■国内エンジニアリング会社の総力を結集して開発
大阪府大阪市北区に拠点を置くエンジニアリング会社「アスパーク」(Aspark)が企画したハイパーBEVが先頃、英国で2つのギネス世界記録を樹立しました。
この開発車両は、静かに滑空して瞬く間に獲物を襲う“フクロウ”をイメージして「アウル」(OWL)と命名されました。BEVの特性を活かして静粛性を維持しつつ、目が眩むほどの加速性能を発揮します。
同社は今回、英ヨークシャー州エルヴィントン飛行場で行われたレースイベントで、最高平均速度に挑戦。
スタートから1/8マイル(200m)地点と、同1/4マイル(400m)地点までの平均速度で「世界最速のEV」としてギネス認定され、英国の記録団体UKTAからギネス認定書が授与されました。
記録は1/8マイルまでの平均速度が309.02km/h、1/4マイルまでが318.85km/hとなっています。
●目を見張る凄まじい加速性能
アウルの0-60mph(96.6km/h)発進加速は僅か1.72秒で、最高速度は260mph(418km/h)に達し、その加速シーンは見る者を圧倒。
公道走行が可能な市販車として、世界最高の加速性能を誇ります。
4基のモーターにより、F1マシンの約2倍に匹敵する出力2,012ps/204kgmを発生。
容量64kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しており、満充電までに要する時間は200kW 800Vの急速充電で約40分。航続距離は最大で450km。
●ギネス挑戦経緯や設計思想は?
アスパーク社では、モノづくりを軸に人材育成やBEV開発事業を手掛けており、同社の吉田社長は今回の挑戦で「アウルが見た目の美しさだけでなく、強力なモーターによってもたらされる驚くべき加速とスピードを実証したかった」としています。
既製部品を活用しつつロス無く路面に出力を伝えるにあたり、試行錯誤を重ねたそうで、モーター出力制御用のソフトウエア開発を含め、約4年で完成に漕ぎ着けたそうです。
同社がアウルで目指したのは、1mを切る世界一低い車高、加速性能に直接影響する車重の抑制、美しいデザインの3点。
それらを実現すべく、ボディはドライカーボンにハニカムコアを挟んだ超軽量高剛性なものとし、マグネシウム鍛造ホイールを使用して車両重量を抑制(1,900kg)しています。
車両サイズは全長4,830×全幅1,935×全高990mmでホイールベースが2,757mm。
吉田社長のデザイン構想をベースに、ASH-INSTITUTE(アッシュ インスティテュ-ト)社がプロトタイプモデルの内外装デザインやボディの設計・製作を担当したそうで、低くワイドで長いボディを特徴としています。
インテリアは革張りで、サイドミラーの代わりにカメラを搭載。
また、シャシーやフレーム、EVシステムなど駆動系部品の設計&製作、試験走行についてはイケヤフォーミュラ社が参画。生産については協力会社に委託する形式をとっています。
アスパークによると、50台の受注生産を予定しているそうで、年内には納車を開始するそう。
今回の「アウル」によるギネス世界記録は、BEVの潜在ポテンシャルを日本の技術力により“見える化”し、世界に示した事例と言えそうです。
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【関連リンク】
Aspark
https://asparkcompany.com/
ASH-INSTITUTE
https://ash-institute.cats.st/index.htm
IKEYA FORMULA
https://www.ikeya-f.co.jp/