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■教習所と試験場、それぞれの流れや費用を紹介
クルマを運転する場合に必要な運転免許証には、多くの種類がありますが、一般的な普通乗用車や軽自動車を運転するには、「普通自動車免許(以下、普通免許)」を取得する必要があることは、よく知られています。
では、こうした普通免許を取得するには、どんな方法があり、お金は幾らくらい必要なのでしょうか?
意外に知らない普通免許の取得方法や費用について紹介します。
●自動車教習所に通う場合の流れ
普通免許の取得方法には、自動車教習所に通う場合と、運転免許試験場でいわゆる一発試験を受ける場合の2通りがあります。
なお、ここでいう普通免許とは、日本国内の公道で一般的な自動車や軽自動車などを運転するために必要な免許のことで、正式には「普通自動車第一種運転免許」といいます。タクシーやバスなど、旅客自動車を仕事として旅客運送するための「普通自動車第二種運転免許」とは異なりますので、念のため。
また、普通免許を取得すると、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2.0トン未満、乗車定員10人以下の普通自動車を運転することが可能。加えて、50ccバイクなどの原動機付自転車、農業用トラクターなどの小型特殊自動車も運転できます。
話を元に戻すと、まず、自動車教習所に通って普通免許を取得する場合には、主に以下のよう流れになります。
1. 運転適性検査を受ける
2. 学科教習や技能教習を受ける(第1段階)
3. 仮免許試験(学科・技能)に合格し仮免許証の交付を受ける
4. 学科教習や技能教習を受ける(第2段階)
5. 卒業検定を受けて卒業証明書の交付を受ける
6. 本免許取得試験(適性検査・学科)を受験
7. 合格すれば普通免許が発行される
3.の「仮免許証」とは、路上で普通免許を取得するための練習を行うための免許です。また、4.にある第2段階での技能講習は、主に路上へ出て運転することが大半となります。
6.の本免許取得試験は、教習所ではなく運転免許試験場に行って受験するもの。ちなみに、自動車教習所には、都道府県公安委員会が指定した「指定自動車教習所」と、都道府県公安委員会に届け出を出した「届出自動車教習所」があります。
指定自動車教習所に通った場合は、運転免許試験場で受ける本免許取得試験で技能検定は免除になりますが、届出自動車教習所に通ったケースでは、仮免許と本免許の両方で、適性検査、学科試験、技能検定を受ける必要があります。
つまり、指定自動車教習所の方が、教習で慣れ親しんだコースで技能検定などを受けることができるのです。ただし、届出自動車教習所も、一日に受けられる教習に制限がないなどのメリットもありますから、一概にどちらがいいかは言えないですね。
●運転免許試験場で取得する場合の流れ
一方、運転免許試験場で、いわゆる一発試験を受ける場合は、主に以下のような流れになります。
1. 運転適性検査を受ける
2. 仮免許試験(学科・技能)に合格して仮免許証の交付を受ける
3. 5日間の路上練習を受ける
4. 本免許取得試験(適性検査・学科・技能)を受ける
5. 合格後に取得時講習や応急救護講習を受ける
6. 普通免許が発行される
運転免許試験場で一発試験を受ける場合、仮免許と本免許で、2回の適性検査や試験を受ける必要があります。なお、この場合、仮免許での路上練習は、仮免許を取得してから3ヵ月以内に最低5日間行わないと、本免許の試験を受けられませんので、注意が必要です。
また、路上練習は、助手席に指導者を乗せる必要がありますが、普通免許取得後3年以上経過した人であれば、誰でもOK。教習所などに行って教員の資格を持っている人を同乗させなくても、一般の人で可能です。
ただし、練習中は、クルマの前後に「仮免許練習中」の標識を付ける必要があります(標識は運転免許試験場で購入可能)。
なお、運転免許試験場で受験する場合、仮免許と本免許の試験で計2日、仮免許の路上練習で計5日が最低必要ですが、すべてストレートでいけば計7日で普通免許が取得できます。
ただし、一発試験は、教習所に通う場合と比べ、合格率は低くなるといわれていますので、念のため。
●教習所の料金は一概にいえない
では、費用はどれくらいになるのでしょうか?
まず、自動車教習所に通って取得する場合。教習所の料金については、各教習所によって違いますので、一概にいえません。また、たとえば、すでに普通二輪免許などを持っている場合は、学科などの教習を受ける時間が短くなるので、やや費用が安くなることもあります。
一般的には、二輪免許など運転免許をまったく持たない人で30万円前後、普通二輪免許などを持っていると20万円〜25万円前後といわれていますが、技能教習などは、習熟の度合いが少ないと教習時間が増えることもあり、その場合は追加費用がかかることも。
ほかにも、オートマチック車のみを運転できるAT限定免許でも、MT免許と比べやや教習数が少ないなどで、多少費用が安くなるといったケースもあります。
より具体的な料金については、事前に、自分が通う自動車教習所の料金をよく調べておくことをオススメします。
●教習所の場合も最後は試験場へ
指定自動車教習所に通った場合でも、前述の通り、本免許を取得するためには、運転免許試験場で適性検査と学科試験を受ける必要があります。その場合の費用は以下の通りです。
【指定自動車教習所・卒業者が受ける本免許試験の費用】
試験手数料:1750円
免許交付手数料:2050円
一方、運転免許試験場で一発試験を受ける場合の費用は、主に以下の通りです。
【運転免許試験場で一発試験を受ける場合】
・仮免許
試験手数料:4350円(試験車使用料も含む)
免許交付手数料:1150円
・本免許
試験手数料:3350円(試験車使用料も含む)
免許交付手数料:2050円
・合格後の講習
取得時講習受講料:1万5400円
取得時講習とは、運転時における危険の予測などに関する普通車講習や、応急救護処置講習などがあり、免許を受ける際に義務付けられているものです。ただし、指定自動車教習所の卒業生については、受講を免除されています。
一発試験ですべてストレートで行けば、総額2万6300円。費用的にみれば、指定自動車教習所の場合よりかなり安くなります。ただし、これも前述の通り、一発試験は合格率が低い傾向にあるので、不合格が続き何度も再試験を受けるケースもあります。
お金はある程度必要ですが、指定自動車教習所に通ったケースの方が、よりスムーズに普通免許を取れることが多いようです。
(文:平塚 直樹 *写真はすべてイメージです)