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■旧車を持つ理由や所有期間などを調査
近年、国産・輸入車を問わず、人気が高いのが旧車です。最近では、特に2010年以前に作られたモデルなどの中古車価格が上昇しており、中には、日産「スカイラインGT-R」のR32型やR34型のように、2000万円を超えるモデルも存在しています。
古い年式のクルマを所有することは、一般的に考えると、最新のクルマと比べてメンテナンスや車検など維持に苦労しそうですが、所有している人はどんな魅力を感じて、どれくらいの期間所有していることが多いのでしょう?
そんな古いクルマを持つオーナーの特性などを調査するために、旧車に特化した買取サービス「旧車王」を運営するカレント自動車がアンケート調査を実施。
その結果、デザインが好きで乗っている人が最も多いことや、乗っている期間は11年~20年が27.3%で最多であることなどが分かりました。
●旧車は長い期間乗る人が多い
今回の調査は、旧車に興味のある男女121名を対象に、2021年10月20日~2021年10月26日の期間に、選択肢を用意したアンケート形式で実施されたものです。また、今回の調査では、2010年式以前のクルマを旧車と定義しています。
アンケートでは、まず、「所有している(していた)旧車はどれくらいの期間乗っているか」を質問。その結果は以下の通りです。
1位:「11年~20年」 27.3%
2位:「2年~5年」 26.4%
3位:「21年以上」 25.6%
4位:「6年~10年」 12.4%
5位:「1年以内」 5.8%
6位:「そのほか」 2.5%
上のように、1位の「11年〜20年」と3位の「21年以上」で半数以上を占めていることから、旧車には長い期間乗る人が多いことが分かります。
また、2位に「2年〜5年」が入っていることから、所有期間が短いユーザーも一定数いるようです。やはり旧車は、最新のクルマと比較すると維持が大変だったり、使い勝手が悪いなどの理由で手放してしまう人も多いのでしょうね。
●旧車を所有し続ける理由は?
次に、アンケートでは、「旧車を所有し続ける(所有しようと思った)理由」についても質問。その結果は以下の通りです。
1位:「デザインが好きだから」 32.2%
2位:「手放すと二度と手に入らないと思うから」 20.7%
3位:「現行のクルマにはない機能や性能があるから」 13.2%
3位:「思い出の車だから」 13.2%
5位:「走りが良いから」 7.4%
6位:「エンジン音が好きだから」 5.8%
7位:「そのほか」 7.4%
クルマの外装・内装は時代の変化と共に変化していますが、1位に「デザインが好きだから」が入ったということから、昔のクルマならではのデザインに魅力を感じているユーザーが多いことが読み取れます。
また、2位の「手放すと二度と手に入らないと思うから」にも多くの回答が集まっています。その背景には、前述の通り、昨今は旧車の中古車価格が上昇していることも少なからず影響しているかもしれません。「手放すと同じクルマは金銭的に購入できない」などと思う人も多いのでしょうね。
ちなみに、「そのほか」の回答には「自分でチューニング&メンテナンスをしてきたから」という回答もあったそうです。調査したカレント自動車では「愛情を持って維持してきたから乗り続けているというユーザーもいることがわかります」と分析しています。
●パーツが復刻される車種も増えている
調査では、さらに「今後も旧車を所有し続けたい(所有したい)か」といった質問も実施。結果は以下の通りです。
・「はい」 60.3%
・「いいえ」 39.7%
旧車の魅力を知る人は、乗り続けたいと思う人が多いということですね。ただし、「いいえ」と答えた人も4割近くいるとことから、魅力よりもデメリットの部分が大きく、今後は新しいクルマの方がいいと考えているユーザーも一定数いることが推察されます。
旧車は、年式が古ければ古いほど交換部品などの入手にも困るなど、メンテナンスや車検を通すなどの維持にはかなり手間や時間がかかります。特に、国産の旧車は、今まで部品の入手が難しい車種が多いといわれてきました。
ただし最近は、たとえばトヨタが2021年11月1日に1980年代に人気を博した「カローラレビン」「スプリンタートレノ」、いわゆる「ハチロク」の復刻部品を発売することを発表しました。
ご存じの方も多いでしょうが、これらは「カローラ」「スプリンター」シリーズのスポーツ系モデルで、1.6L・DOHC16バルブ(4A-GEU)エンジンと軽量な車体が生む俊敏な走りなどが魅力だったクルマです。車両型式がAE86であることから、生産終了から30年以上経った現在でも、マニアからハチロクの愛称で親しまれている国産名車です。
トヨタでは、ほかにも1960年代のスポーツカー「2000GT」の部品も復刻して販売中。他メーカーでも、日産が前述したスカイラインGT-R(R32型、R33型、R34型)、マツダは「ロードスター(初代NA型)」や「RX-7(FC型、FD型)といった名車のパーツを復刻して販売しています(ロードスターはレストアサービスも実施)。
さらにホンダでも軽スポーツカー「ビート」の純正部品を再生産するなど、各メーカーは今でも多くのファンがいるモデルについて、車検やメンテナンスに必要なパーツ供給を行っています。
ただし、現状では対象車種がまだまだ少ないのも実情。今後、こういった復刻パーツを販売するモデルが増えてくれば、もっと維持がしやすくなり、旧車ユーザーもより増えてくるかもしれませんね。
(文:平塚 直樹)