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■オイルの劣化や減りが原因でトラブルが起こる
自動車メーカーは、エンジンオイルを定期的に交換することを推奨しています。走行距離1万〜1万5000kmごと、または1年ごとなど、交換時期は車種や使用状況などによって変わりますが、ユーザーの中には「あまり乗っていない」などの理由で車検まで交換しない人もいるようです。
エンジンオイルは、よくクルマにとって人間の血液のようなものだといわれますが、交換せずにそのまま乗っていると、どのようなリスクがあるのでしょうか?
●エンジン本来の機能を発揮させるもの
まず、エンジンオイルの役割についておさらいしましょう。
主な働きとしては、エンジン内の金属摩耗を抑えてピストンなど各部品をスムーズに動かす「潤滑」、エンジンの気密性を保持する「密封」、エンジンから発生する熱を冷ます「冷却」、燃焼により生まれる汚れを取り込む「洗浄」、そしてサビを防ぐ「防錆(ぼうせい)」という5つがあります。
そして、エンジンオイルのこれら作用がひとつ欠けても、エンジン本来の機能が発揮されません。マフラーから白煙が上がったり、馬力や燃費が落ちるなどの症状が出て、最悪はオーバーヒートを起こしエンジンが壊れてしまいます。
エンジンオイルが人の血液に例えられるのは、こういった働きによりクルマのエンジンを元気に動かしているからなのです。
エンジンが正常な状態でも、エンジンオイルは走行しているうちに少しずつ減っていきます。シリンダーとピストンのすき間から少しずつ、燃焼室に入って燃えてしまうなどが主な原因です。
オイル漏れなどがない限りは、あまり大量に減ることはありませんが、それでも定期的に量を点検し、減っていれば継ぎ足す必要はあります。
また、前述の通りオイルはエンジン内部の洗浄や潤滑などの働きをするため、走行するうちに汚れたり、粘度が低下するといった劣化症状も起きます。
そのため、前述の通り、メーカーでは一定の走行距離毎または期間毎にオイルを交換することを推奨しているのです。
●渋滞路などもオイルに悪い
エンジンオイルの交換は、あまり乗らなくて、クルマの走行距離が短くても交換が必要です。なぜかというと、一定期間を経過すると酸化し、本来の性能が保てなくなるためです。
ちなみに、自動車メーカーでは最近、オイル交換の推奨距離や時期を「ノーマルコンディション」と「シビアコンディション」で分けているところが多いようです。
ノーマルコンディションとは、普通に走っている場合のこと。一方、シビアコンディションとは、たとえば悪路や雪道、ブレーキの使用回数が多い坂道を走ることが多い場合を指します。
また、市街地の渋滞路を走ることが多く、30km/h以下などの低速走行や、アイドリングやエンジンのオン/オフが多い短距離走行の繰り返しをよくする場合も、シビアコンディションに当たります。
シビアコンディションでクルマに乗っている場合は、ノーマルコンディションよりも短い距離数や期間ごとのオイル交換を推奨されることが多いようです。
たとえば、トヨタの場合、ターボ車を除くガソリン車のオイル交換は、ノーマルコンディションが1万5000km毎または1年毎。シビアコンディションでは7500km毎または6ヵ月毎を推奨しています。
また、同じトヨタ車でも、ガソリンターボ車ではノーマルコンディションが5000km毎または6ヵ月毎、シビアコンディションでは2500km毎または3ヵ月毎の推奨となっています。
ちなみに、筆者が乗るマツダCX-5(2.2L・ディーゼルターボ車)の場合は、ノーマルコンディションが1万km毎、または1年毎で、シビアコンディションでは5000km毎または6ヵ月毎がメーカーの推奨時期になっています。
このように、車種や走行状況により、オイル交換の推奨時期は違いますが、年間走行距離が5000km以下の筆者は、6ヵ月毎に交換するようにしています。また、2回に1回は、エンジン内部の汚れを洗浄したオイルをろ過するオイルフィルターも交換します。
ただし、メーカーなどが推奨するオイル交換時期はあくまで目安ですから、状況によってはすぐに交換などの対応が必要な時もあります。
たとえば、オイル警告灯が点灯した場合。警告灯は、オイルポンプに不具合があったりして油圧が下がったときに点灯します。そのままにしているとエンジンがオーバーヒートする危険性が高いので、すぐにオイル量を点検したり、交換が必要です。
また、エンジン自体の修理を行う必要がある場合もあるので、ディーラーまたはいつも車検などに出している整備工場へ相談しましょう。
(文:平塚 直樹 *写真はイメージです)