70度のダッシュボードでローストチキンと温泉卵を作ってみた【灼熱の車内クッキング】

■真夏のダッシュボードで料理ができるのか?

連日、殺人的な灼熱地獄が続くなか、熱々になる車内に乗り込もうとすると誰もが考える「これならオーブン料理ができるんじゃねぇ?」との思いを、実証実験で確認してみようと思いました。

ダッシュボードで料理ができるか?
ダッシュボードで料理ができるか?

用意したのは鶏肉、今回はトルコ産の小振りで開いてある生の骨付き鶏もも肉です。それだけだと面白みにかけるし失敗したとき残念なので、どうしたって食べられるであろう生卵も用意しました。それも、一般的な白い卵と、理由はよくわからないですが少し高い赤卵です。白よりは赤のほうが熱吸収がよく、加熱されやすいのでは?という仮定のもとです。

にんにくをオリーブオイルで炒めます。
にんにくをオリーブオイルで炒めます。

実験の前に、オリーブオイルを引いたフライパンでにんにくを熱します。加熱されたにんにくから香ばしい食欲そそる香りが漂います。そこに鶏もも肉を入れ、表面に焦げ目を付けていきます。ここで、中まで火が通ってはタダの料理になってしまいますので、あくまで旨さを増すための表面の焦げ目だけです。

鶏もも肉に焦げ目を付けます。
鶏もも肉に焦げ目を付けます。

両面焦げ目が付いたら、フライパンが手で触れるくらいまで冷まし、その後ダッシュボードオーブンへフライパンごと入れます。

卵の方は、理想的な温泉卵を目指し、加熱時間をお昼までと夕方までの二通りで確認します。同時に、そのままの状態と、ゆで卵らしく水に付けた状態での違いも確認します。そのため、金属バットの上に金属網を敷いて白卵2個、赤卵2個をそのまま置いたもの、白卵をコップの水に入れたものを載せてダッシュボード上に置きました。

車内の温度は55℃まで上昇しました。
車内の温度は55℃まで上昇しました。

午前9時、調理スタートです。フロントガラスからの直射日光を車内に入れないようにする折りたたみの銀のシェードもセットしました。この時点で車内中央付近で車内の温度は40℃を指していますが、ぐんぐん上昇していきます。ドアを閉じてしばらくするとすぐに45℃にはなっています。

12時には、車内温度は55℃に上昇していました。

ダッシュボード上は70℃にまで上昇。
ダッシュボード上は70℃にまで上昇。

気になるのはダッシュボード上の温度です。こちらは13時に70℃にまで上昇しました。

ここで白卵と赤卵、それにコップに入れた白卵を取り出してみました。とても手で触れる温度ではなく、トングを使っての作業となります。ちなみに水温は58℃になっていました。

午前中4時間経過後
午前中4時間経過後。左は普通の白卵で温泉卵風、赤卵はゆで卵風に、コップに入れたものはほぼ生。

結果は、そのままの白卵がほぼ温泉卵ですが、やや黄身が固まってます。赤卵はユルメのゆで卵、コップに入れた白卵はほとんど生卵でした。

さて、残りはすべてそのまま夕方まで放置です。

日没後、すべてを車内から取り出します。この時点でもダッシュボード上は30℃を示しています。車内はにんにくのいい香りがしますが、まあそのうち消えるでしょう、と期待しながら室内へ。

およそ9時間経過後。左からそのまま白卵、赤卵、コップに入れた白卵です。
およそ9時間経過後。左からそのまま白卵、赤卵、コップに入れた白卵です。

では、卵をチェックしましょう。そのままの白い卵は白身は半熟卵、黄身はほぼゆで卵という、これまで食べたことのない卵料理に仕上がっています。赤卵のほうは、美味しいゆで卵ができあがっていましたが、白身部分が通常のゆで卵よりも柔らかでしっとりしたこれまた食べたことのない美味しい仕上がりとなっています。コップに入れたものは、出来上がりが待てなかったゆで卵というか、少しだけ温めた生卵に近いかな…まあ、生卵と思えば食べられます。

鶏もも肉はカットするときれいなピンク色に。
鶏もも肉はカットするときれいなピンク色に。

そして、鶏もも肉ですが、カットしてみると、ほんのり赤みが残るくらいでいい感じに火が通っています。食べてみると、鶏の旨みが凝縮された感じで元のお肉より美味しくなっている気がします。ただ、ジューシーなオーブン料理というよりはスモークとかジャーキーに近い感じです。そのままでも美味しかったですが、野菜と一緒にパンに挟んで食べるとちょうど良い感じでした。

夏休みの自由研究には丁度いい題材かも知れません。暑い夏が少しありがたくなりますね。もちろん、やる時は自己責任で、衛生管理はご自身でご注意をお願いいたします。

(小林和久)

 

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この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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