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■その名の通り斬新な立方体(キューブ)のフォルムが特徴
1998(平成10)年2月2日、コンパクトハイトワゴンの日産自動車「キューブ」がデビューしました。
キューブはその名のような、斬新な立方体のフォルムを持ち、ロング&ハイルーフを持ちあわせた広い室内空間を確保したコンパクトカーとして、若いファミリー層から支持されました。
●キュートなスタイルと使い勝手の良さが特徴のキューブ
キューブはコンパクトハイトワゴンで、その独特なスタイリングには、1980年代後半頃に日産が進めていた「パイクカー」を彷彿させる雰囲気がありました。
ホイールベースはマーチと同じですが、マーチより全幅を20mm広げ、全高を200mm高く設定したロング&ハイルーフによって、広い車室内空間と荷室スペースを実現。パワートレインは、1.3L直4 DOHCエンジンと4速ATおよびCVTの組み合わせ、駆動方式はFFです。
車両価格は、比較的廉価な114.8万~142.8万円(AT)/117.1万~144.1万円(CVT)。ちなみに、当時の大卒初任給は19.6万円程度(現在は約23万円)でした。
スマートで使い勝手を重視したシンプルさによって、若者や若いファミリー層から人気を獲得。さらに、手頃な価格も後押しして、初期には10,000台/月以上を販売し、登録台数1位を記録したこともありました。
●トヨタから類似のコンセプトのライバルbBが登場
2000年には、キューブの後を追うように、トヨタからボクシーなコンパクトハイトワゴン「bB」がデビューしました。bBも、シンプルなデザインと広い室内空間、運転しやすさが特徴でした。
ヴィッツシリーズのファンカーゴのプラットフォームをベースに、パワートレインは1.3L&1.5L直4 DOHCエンジンと4速ATの組み合わせ、駆動方式はFFおよび4WD。
bBがユニークだったのは、最初からユーザーがカスタマイズすることを前提としている車だったことです。カスタムパーツが充実していたので、目論見通りカスタマイズを楽しむユーザーから熱烈に歓迎されました。
bBは、1.5Lエンジンや4WDも用意するなどして、価格は129.8万~173.8万円とキューブよりやや高めに設定。キューブとbBは、見た目やコンセプトはよく似ていますがイメージは対照的でした。キューブはソフトでキュートな雰囲気、これに対してbBは、男性的でワイルドな“ちょいワル風“が持ち味でした。
●軽のハイトワゴンブームで、役割を終えたキューブは生産終了
2002年に登場した2代目キューブも初代のコンセプトを継承し、3列シートで話題となった「キューブキュービック」が追加されるなどして、人気を堅持。そして、2008年発売の3代目のモデルチェンジでは、やや丸みを帯びたフォルムとなり、上質感を高めたキューブへと変貌しました。
一方で日産は、2005年に新たなコンパクトカーとして「ノート」を投入して人気を獲得。2016年には、「ノート e-POWER」がデビューして大ヒット、ノートが日産のコンパクトカーの看板モデルとなりました。
その後も堅調な販売を続けていたキューブでしたが、人気のノートの陰に埋もれて商品強化されることなく販売は低迷し、車種削減対象となって2019年に生産を終了しました。
また、bBも徐々に販売が低迷し、「ルーミー」と「タンク」に後を譲って2016年に生産を終了。キューブもbBも、同じような道を辿って終焉を迎えたのです。
現在、コンパクトハイトワゴンとしてはルーミーが人気ですが、このクラスのハイトワゴンは進化が著しい軽自動車のハイトワゴンに圧倒されています。コンパクトハイトワゴンは、軽のハイトワゴンに対してサイズ感をアピールするのは難しく、一方で維持費などでは劣るので、優位性をなかなかアピールできないですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)