マツダ「ロードスター990S」は最高♪だけど、試乗しなければよかったと後悔した理由とは?

■乗ってよかった、だけど乗らなければよかった…!?

乗ってよかったけど、乗らなければよかった。年間何十台もの車に試乗すれば、時として試乗後にそんな意味不明の感想を抱く車もあります。

先日も、そんな車に出逢いました。マツダ「ロードスター990S」です。

マツダ・ロードスター990S
マツダ・ロードスター990S

「990S」というのは、先日まで販売していたロードスターの最軽量バージョン(こんなに軽いロードスターはもう永遠に出てこないだろう)で、軽さを求めてレイズ製の鍛造ホイールやブレンボ製のブレーキキャリパー(見た目は重そうだがアルミ製なので標準タイプのキャリパーより軽い)を装着。そのうえでサスペンションやパワーステアリング、エンジン制御なども最適化した特別なモデルです。

特別仕様車ですが、実質的にはカタログモデルと同様に販売していました。

つい先日までは。

2022年の年明けに販売が始まった時、ワインディングで軽く試乗してその楽しさを実感。「気持ちよく運転できる車だな」とは思っていました。

そして昨年の秋に、生産終了になったので「いま乗っておかなければ。新車のコンディションが味わえるうちに」と想い、改めて1週間ほど付き合ってみたのです。

●ロードスター990Sが気持ちいい理由

ロードスター990Sのリヤ
ロードスター990Sのリヤ

長く試乗して感じたのは何か?

…ヤバいです。

気持ちいい。ただただ気持ちいい。理屈なんていらない。曇りが取れて心がスッと晴れやかになる。

そんな車だったのです。

よく「本当においしい料理を食べると言葉が出ない。『おいしい』としか言えなくなる」なんていうじゃないですか。

まさにそれの車版。

…なんて書くだけだと記事としては失格なので、もう少し具体的に言うと、峠道での走りが素晴らしい。

ごくごく自然体の、自らの意思で曲がり始めるかのような素直なターンイン。鈍くないのはもちろん、過剰さもなく、自然な感じがたまらない。

そして立ち上がりのFRらしい挙動。決して速度を上げる必要なんてなくて、ゆっくり旋回して、直線に向かってハンドルを戻しながらアクセルを踏み込むときの爽快感。

醤油が垂れる量を思い通りにコントロールできる醤油さしというか、気持ちよく文字が書けるボールペンというか、自分の指先のように操れる箸というか、とにかく自分がイメージした動きを無意識に操作できる感じがいいんでしょうね。

そして何より感動したのは、ゆっくり走るのだけで楽しいこと。普通の速度で、ゆっくり交差点を曲がるだけで気持ちいいんです。

そういう車って、ありそうでなかなかないんですよね。

●乗らなければよかったと思う理由は?

ロードスター990S。ボディカラーは途中から追加されたジルコンサンド
ロードスター990S。ボディカラーは途中から追加されたジルコンサンド

だけど、同時にこうも思ったのです。「乗らないほうが良かったかも」って。

気持ち良くて楽しいのに、そんな気持ちになったのはどうしてか?

それは、990Sがあまりに魅力的すぎたから。惚れてしまったから。惚れてしまったら、手元に置きたくなってしまう。つまり、買いたくなってしまう。

いまは、愛車を買い替えるタイミングではないのに…。

ロードスター990Sのインパネ
ロードスター990Sのインパネ

でも唯一の救い?なのは、「990S」はもう新車で購入できないこと。

おそらく、新車で買えたら、愛車の買い替えタイミングなんて忘れて試乗後すぐにオーダーし、妻に大激怒されていたでしょうね。

ボクは「妻に内緒で2シーターオープンカーを買って、バレたときに怒られる」という罪に関して、前科2犯で執行猶予中の身なので、それだけは避けないといけないのです。

でも、幸か不幸かもう990Sは新車では買えない。だからある意味安心(笑)。

ただ、もうすぐ最新のロードスターに試乗できそうですが、それに乗って990Sと同様に惚れてしまったら…。その時は覚悟を決めて買っちゃうかも。

もしかして、新型には試乗しないほうがいいかなあ…。

(工藤 貴宏)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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