マツダ「ロードスター 990S」生産終了を発表!次期型マイナーチェンジ情報も一部判明【ロードスター軽井沢ミーティング2023】

■一番人気のモデルが生産終了になるその訳は?

世界一生産されて世界中で愛され続けるマツダロードスター。昨年は、生産がうまく行けば、ユーノスロードスターとしてデビュー以来、過去最高の販売台数だったのでは?と言われるほど、人気が再燃しているとも言えます。

マツダロードスター990S
マツダロードスター990S

そんな現行NDロードスターの人気を支えているのが、特別仕様車「990S」です。1tを切る990kgの車重から名付けられたそのモデルは、快適装備は現在のレベルで必要最低限とし、独自の足回りセッティングにより、走りを楽しむための仕様であり、本年2023年4月に亡くなられたNA型初代ロードスターの開発主査である平井敏彦さんのスピリット「欲をかかない」を受け継いだような、原点回帰とも受け取れる魅力的なモデルなのです。

さて、日本でもっともロードスターとそのオーナーが集まる「軽井沢ミーティング」では、オーナーズクラブが主催となっているイベントですが、マツダもメーカーとしてできることを協力してきており、「好きな人たちに一番に見せる、伝える」などをお土産代わりに毎年用意してくれています。

今年はそのお土産がやや残念なことに「990S」生産終了のニュースだったのです。2023年モデルをもって生産を打ち切ると、軽井沢で多くのファンの前で、現在のNDロードスターの開発全体を取りまとめる齋藤茂樹主査から発表されました。

元々990Sは、「特別仕様車」との位置付けで追加販売されました。マツダの「特別仕様車」は、他社でよくある「ディーラーでオプションなどおまけを盛りだくさんに付けて値段を据え置きにしたお買い得車」ではなく、メーカーでカタログに掲載するモデルで、通常に全国のディーラーで購入可能なものです。ただし、明確な台数を限定するわけではないですが、一般には1年くらいでカタログから消え去ることが多いようです。

990Sも当初は1年程度の期間限定だったはずが、あまりに好評だったため2年間も生きながらえ、このほど生産を終了する、というわけです。

トークショーで次期型について喋っちゃった齋藤主査
トークショーで次期型について喋っちゃった齋藤主査

では、2024年モデルはどんなロードスターになるのか、トークショーにおいて、齋藤主査は、「現行のND史上もっとも大きな変更になります」と言い切りました。

具体的にはもちろんまだ明かしてはくれませんが、デザインの大きな変更はないけれど、ひと目で新型だとわかるような違いがあるそうです。つまり、ボディパネルなどの変更はないけれど、ヘッドライト、コンビネーションランプ類が変更される可能性を想像させます。

また、お世辞にも評判が良かったとは言えない、カーナビや音楽再生などを受け持つインフォテイメントシステム「マツダコネクト」通称マツコネが、他のマツダ車同様にマツコネ2(マツダコネクト2)へとアップデートされるのだそうです。

トークショーは齋藤主査やNDデビュー時のチーフデザイナーで中山雅前主査など主要メンバーがずらり
トークショーは齋藤主査やNDデビュー時のチーフデザイナーで中山雅前主査など主要メンバーがずらり

そのマツコネ2にするには、現状の7インチディスプレイでは小さいため画面サイズを大きくする必要が生じます。しかし、単に大サイズのモニターを採用すると、助手席エアバッグの展開範囲などに干渉してくるため、最新のスマホのように、枠部分を最小限とし、ユニットとしては最小限にした大画面を開発していると言います。

さて、思えば昨年2022年9月頃、「ロードスターの販売を終了しました」というインフォメーションがマツダ公式サイトに表示されました。これを見たファンは、「NDは生産終了か?」との噂が流れました。蓋を開けると、販売が好評で10月いっぱいくらいの小改良前のモデルの生産分がすべて販売してしまいました。けれど、新しいモデルに切り替わるものの、新モデル登場の発表はまだできないため、旧モデルとしての受注をストップしていただけ、という現象だったようです。

今回は、もしかするとそれよりも速いペースで生産枠が埋まってしまう可能性もあります。新しいロードスターには、990Sに代わる魅力的な特別仕様車も用意されるかも知れませんし、それはまだ先かも知れません。

なので、マツダコネクトを装備しない990Sを購入するならお早めに、マツダコネクト2を装備したいなら秋以降を狙うことが得策のようです。

齋藤主査ご自身は展示してあったジルコンサンドメタリックの990Sを購入されたそう
齋藤主査ご自身は展示してあったジルコンサンドメタリックの990Sを購入されたそう

ちなみに、齋藤主査は、先日ジルコンサンドメタリックの990Sをご購入されたとか。これは、齋藤主査になってから追加された仕様でありボディーカラーです。つまり、100%ご自身が手掛けてから出てきた車両というわけです。

さらに、ソフトトップに2リッターエンジンを搭載する検討は引き続きしているものの、すぐに採用されることはないとのこと。

いずれにしても、この発表により、990S購入を迷っていたユーザー予備軍が慌ててディーラーへ注文を入れることが予想されます。迷っているならまずはディーラーへ足を運ぶことをことをおすすめします。

(クリッカー編集長 小林和久)

 

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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