スバル「レガシィRS」が10万km耐久走行で平均速度223.345km/hの世界記録を樹立【今日は何の日?1月21日】

■レガシィが発売10日前の10万km耐久走行で世界記録を樹立

1989年発売の初代レガシィ・セダン
1989年発売の初代レガシィ・セダン

1989(平成元)年1月21日、スバル(当時は富士重工業)は2月1日に発売を控えた「レガシィRS」で、米国のアリゾナ州フェニックスにおける10万km耐久走行に挑戦していました。

そしてこの日21日、現地未明、10万km走行における世界記録である、最速の平均速度223.345km/hを達成したのです。


●19日間におよぶ10万キロ走行の激しさ

レガシィが挑んでいた10万キロ世界速度記録は、国際自動車連盟(FIA)のスポーツ法典にのっとりFIAオフィシャル監視のもと、米国アリゾナ州にあるアリゾナ・テスト・センターの高速テストコースで繰り広げられました。

10万km走行チャレンジ中のレガシィ
10万km走行チャレンジ中のレガシィ

テストコースとはいえ、山岳砂漠地域でもある現地では寒暖差、悪天候も襲うなか、さらには200km/hオーバーで走り続けるエンジン、足回り、タイヤ、ドライバーへの負荷も厳しいもの。時に給油、タイヤ交換、ドライバー交代などで、ちりちりに焼けたボルトを外さなければならない、スタッフたちの緊迫したピットイン作業もあります。

コースは一周9.182km、10万キロ走破は実に1万890周。1月2日にスタートしていたチャレンジは19日間に渡って走り続けたものでした。市販直前のレガシィはプロトタイプとはいえ、市販車そのものが遂げた信頼性・耐久性を証明する揺るぎない実績でした。それまでサーブ9000ターボのもっていた平均速度213.299km/hの記録をも打ち破ったのです。

●初めて4WDを搭載した「レオーネ」の後を継いだレガシィ

レオーネは、「スバル1000」の後継として1971年にデビューしました。レオーネは、躍動感あるロングノーズとサイドライン、サッシュレスのドアなどを装備したクーペスタイルで、パワートレインはスバル1000で初めて採用された水平対向エンジンのバージョンアップである1.4Lエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はFFでした。

1975年乗用車初の4WDを搭載したレオーネ
1975年乗用車初の4WDを搭載したレオーネ

好評を得たレオーネは、翌年1972年には国産初のフルオープンサッシュドアを採用した4ドアセダンと2ドアセダン、スーパーツーリングなどを追加。そして1972年8月には、世界初のジープタイプでない量産4WDを搭載した商用車「エステートバン」、さらに1975年には、その後のスバルの象徴となる世界初の量産4WDセダンがデビューしました。

この段階で、スバルのコア技術である“シンメトリカルAWD”(水平対向エンジン+4WD)の原型が誕生。そして、積極的にモデル展開を進めたレオーネは、順調に販売を伸ばし、スバルの中核モデルへと成長したのです。

●シンメトリカルAWDに磨きをかけてスバルブランドを確立した「レガシィ」

米国における10万km耐久走行で世界記録を達成したレガシィは、1989年2月1日にデビューを果たし、4ドアセダンと5ドアツーリングワゴンの2タイプが用意されました。

1989年発売の初代レガシィ・ツーリングワゴン
1989年発売の初代レガシィ・ツーリングワゴン

注目の水平対向エンジンは、1.8L SOHC(EJ18型)と2.0L DOHC(EJ20型)、世界記録を樹立した最高出力220PSを誇る最強グレードRS用ターボエンジンの3機種を設定。トランスミッションは5速MTと4速AT、駆動方式はビスカスLSD付センターデフ式4WD、これにより最強の水平対向エンジンと4WDを組み合わせたシンメトリカルAWDが出来上がったのです。

初代レガシーに搭載された水平対向エンジン(EJ20型 )
初代レガシィに搭載された水平対向エンジン(EJ20型 )

レガシィは市場で高い評価を受け、特にツーリングワゴンは車好きの心を掴んで爆発的な人気を獲得。レガシィは、“ステーションワゴン(ツーリングワゴン)”という新しいジャンルを開拓し、スバルブランドを築き上げた立役者となりました。

●レガシィが確立したシンメトリカルAWDのメリット

低重心で左右対称が特徴のシンメトリカルAWD
低重心で左右対称が特徴のシンメトリカルAWD

スバルのコア技術であるシンメトリカルAWDは、低重心の水平対向エンジンを縦置きに搭載できるので、パワートレインが一直線、左右対称に配置できます。これが、シンメトリカルAWDを特徴づける最大のメリットで、以下のようなメリットがあります。

・優れた悪路走破性と高速安定性
4輪にバランスよく荷重がかかるため、車体が揺れにくく、安定したタイヤ接地性を確保。これにより、4輪駆動のポテンシャルを最大限発揮でき、ダートや雪路など悪路での高い走破性、さらに雨天時や高速道路でも安定した走りができます。

・軽快なハンドリング性能
また、エンジンが縦置きなので重量のあるトランスミッションが、車体の重心近くに配置されます。これにより慣性モーメントが小さくなるため、車体が振られることが少なく、コーナリング時やブレーキ時に軽快なハンドリングが楽しめます。


10万km走行は、一般的な車の寿命に相当しますが、これをメンテナンスしながらも平均車速223.345km/hで走破したのは、スバルの技術の賜物だと思われます。このようなチャレンジが、後のレガシィやインプレッサのWRCでの活躍に繋がっているのかもしれません。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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