昭和の大ヒット自動車パーツ、なぜ流行った? 引き継がれるパーツ・パワーとは

■昭和の時代に大流行した自動車パーツの数々

平成生まれには分からない昭和の大ヒットパーツが存在するらしい
平成生まれには分からない昭和の大ヒットパーツが存在するらしい

諸用があって後輩の車に乗せてもらったところ、車内には全長20cmほどもある「水中花シフトノブ」が装着されていました。

これが流行したのは、たしか昭和のはず。平成生まれの彼に付けている理由をたずねると「Amazonで普通に売ってますよ。意外と運転しやすいです」とのこと。

サイトを覗いてみると本当にあります。しかも凝ったデザインの水中花シフトノブがたくさん。それ以外にも、すでに絶滅したと思っていた自動車パーツが、いまだに販売されていることに驚きました。

筆者は1980年代の昭和生まれ。一部ではありますが、多様な自動車パーツの流行り廃りを実際に知っています。これらの昭和の大ヒットパーツはなぜ流行したのでしょうか。その時代背景と現状をお伝えします。

●キレイではあるけれど…なぜ車に?「 水中花シフトノブ」

「水中花」は意外に高価だった(弊社刊「Car Goods Magazine2014年3月号より)
「水中花」は意外に高価だった(弊社刊「Car Goods Magazine2014年3月号より)

水に見立てた透明アクリルの中へ造花を封じ込めた「水中花シフトノブ」は、1970年から80年にかけて流行した「デコトラ(デコレーショントラック)ブーム」から乗用車へと波及した大ヒットパーツです。

水中花シフトノブを初めて世に出したのは、カー用品の企画製造で有名な星光産業株式会社。水中花シフトノブは、同社の交換用シフトノブ・ラインナップのひとつでした。正式な商品名は「アクリルフラワーノブ」といい、「水中花シフトノブ」の呼び名はどうやら俗称のようです。

チューニングパーツメーカーの老舗、トラストでも、水中花シフトノブが『新製品』として発売中。しかも売れすぎて納品待ちだとか
チューニングパーツメーカーの老舗、トラストでも、水中花シフトノブが『新製品』として発売中。しかも売れすぎて納品待ちだとか

現在、星光産業ではすでに水中花シフトノブを生産していませんが、前述したとおりさまざまなデザインの類似品がたくさん販売されています。なかには自作する人もいるようで、大人気とはいえないまでも根強く支持するユーザーは多いようです。

●今はタクシーでしか見かけない「レース織ハーフシートカバー」

タクシーに残る昭和的シートカバー
タクシーに残る昭和的シートカバー

タクシーのシートに白いレース織のカバーが装着されていがちなことは誰もが知っていると思います。しかし昭和の時代には、自家用車にレースのシートカバーも当たり前のように装着されてたことはご存知でしょうか。

昭和的趣きのシートカバー
昭和的趣きのシートカバー

当時は、テレビや冷蔵庫などをホコリから守るため、なにかとカバーを掛ける習慣がありました。また、ファッションや雑貨にレース織が流行し始めたのもちょうどこの頃です。

レース織のハーフシートカバーは見た目の清潔感があり、簡単に取り外して洗えるため衛生的。筆者の父親の車にレースのシートカバーは付いていませんでしたが、家の黒電話にはレースの受話器カバーが付いていたのを憶えています。

トヨタでは現在でもカローラやマークXなどのセダンに加え、法人利用も多い新型クラウンやアルファード、ヴェルファイア向けに、レースの純正ハーフシートカバーを用意しています。

●揺れ動く手のひらが後続車へアピールする「バイバイハンド」

amazonで見つけた、NANANO トラック用 バイバイハンド パー 蛍光イエロー 黄 吸盤貼り付けタイプ
amazonで見つけた、NANANO トラック用 バイバイハンド パー 蛍光イエロー 黄 吸盤貼り付けタイプ

数ある昭和の流行パーツのなかで、もっとも謎めいているのが「バイバイハンド」。これは、手のひらの形をしたパネルがバネの力で反復運動をするアイテムであり、1980年代にはこれが多くの車に装着されていたとのことです。

当時は、純正プライバシーガラスどころかスモークフィルムが登場し始めたころで、多くの車の後席窓は全面透明でした。リアウインドウなどに吸盤でバイバイハンドを取り付ければ、走行中の車の揺れによって手を振っているように見えるため、この名前で呼ばれたのだと思われます。

一説によれば「交通安全」などの記載があるものは、事故防止啓発のため配布されたグッズだったとか。現在も「スイングハンドポップ」の商品名で販売されているほか、扇子型やご当地名物を象った多様なバイバイハンドが販売されています。

●カッコいい?には理由もある「字光式ナンバープレート」

見栄えのいい字光式ナンバープレートは存続している。写真はWHA CorporationのLEDナンバープレートAIR
見栄えのいい字光式ナンバープレートは存続している。写真はWHA CorporationのLEDナンバープレート「AIR」

昔に比べて見かける数はめっきり減ってしまったものの、字光式ナンバープレートは現在でも存在しており、希望であれば新規で取り付けることもできます。

1970年代の北海道が発祥の字光式ナンバープレートは、降雪時の視認性確保や、発光部の熱による融雪を目的に開発されました。

1980年代に入ると、ドレスアップ目的で字光式ナンバープレートが全国的に大流行。現在は照明がLEDに置き換わったことで融雪効果は望めないものの、発色性と耐久性、薄さなどに見て取れる省スペース性は飛躍的に向上しています。2002年には、文字の輪郭が白く発光する軽自動車向けの字光式ナンバープレートも登場しました。

新規で字光式へと交換するには総額で3万〜4万円程度の費用がかかります。字光式ナンバープレート装着車が近年見られるのが少なくなった要因のひとつには、車種によっては先進運転支援システムと相性が悪いこともありますので、その点は確認が必要です。

●昭和の大ヒット商品は今でも販売されている

このほかにも、流行しては廃れていった、でもまた復活しているといった自動車パーツはたくさんあります。

帯電防止のための「アースベルト」や、ドレスアップのためにアンテナ先端に取り付ける「アンテナボール」、モコモコとした肌触りの「ムートンシートカバー」なども昔はよく見かけました。

これらの自動車パーツも、当時は最新アイテムであり、ステータスや自己表現のかたちであったりしました。

今でも使っている方は、何かしらの思い出や思い入れがあるのでしょう。また、古めかしくともレトロなデザインや機能に共感する人がいるのは自然なことで、廃れない何かが宿っているグッズなのだなあと思われます。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])