BYD「ドルフィン」に清水和夫が乗ったら、1点以外は合格だった。「気に入らないのはタイヤノイズ!」

■中国発のBEV、コンパクトEV「DOLPHIN(ドルフィン)」を清水和夫が試乗

●ADASはお節介くらいな介入。でも「ここまでできる!」の証明か

清水和夫×BYDドルフィン ロングレンジ
清水和夫×BYDドルフィン ロングレンジ

中国発のEV自動車メーカー・BYD(ビーワイディー/Build Your Dream)は、バッテリーメーカーからスタートし、いまやIT系や新エネルギー、モノレールなどを展開する実績のあるグループ会社です。

自動車事業には2003年に参入。そして日本への本格参入としてBYDジャパンが設立されたのが2005年、EVバスはすでに2015年から展開しています。2023年現在は、日本各地に販売ディーラーを展開している真っ最中です。

さぁ、BYDのコンパクトBEV、ドルフィンに乗ってみましょう!
さぁ、BYDのコンパクトBEV、ドルフィンに乗ってみましょう!

乗用車の車種展開としては、日本での販売第1弾となったSUVの「ATTO 3(アットスリー)」。今回、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが試乗した「DOLPHIN(ドルフィン/イルカ)」。そして2023年末発売予定のセダン「SEAL(シール/アザラシ)」。今後も海獣が展開していくのでしょうか?

ってことで、BYD日本発売第2弾となったドルフィンは、清水さんのオメガネにかなったのか? 最近は血液にガソリンだけではなく、電気も流れ始めたという清水さんの評価を聞いてみましょう。

●ロングレンジの150kWは速ぇ~なぁ!

ドルフィンとドルフィン ロングレンジ比較
ドルフィンとドルフィン ロングレンジ比較

全長4300mm弱(4290mm)でホイールベース2700mmは、全長の割にはキャビンはルーミーだよね。小回りは5mなのでいいと思います。

コンパクトカーというより、ホットハッチ的な加速が楽しい♪
コンパクトカーというより、ホットハッチ的な加速が楽しい♪

バッテリーは44.9kWと58.56kWと2種類ある。今日乗っているロングレンジのモーターは150kW、デカい! ショートレンジのほうは44,9kWのバッテリーで航続距離は400km、モーター出力は70kW。まぁ街中で乗るんだったら70kWで十分かな。

カーナビも使いやすそうだし、言うことないじゃんね、コレ。

あれ、オレなんか触っちゃった? モニターがグルグル回る~(汗)
あれ、オレなんか触っちゃった? モニターがグルグル回る~(汗)

さぁ、これより高速道路乗りましょう。

おぉ~速ぇ~♪ さすが150kW。

ちょ~っとロードノイズがデカいよな。せっかくEVで静かなんだからねぇ。

ここのモニター、後続車が来るといろいろアラームが出ます。

結構、足、いいな。キビキビ走るね。コンパクトカーなんだけど、ホットハッチっぽい感じ。フィアットが好みそうなハンドリングだな。

150kWはやっぱ速いね。加速性能もバッチリ!

●ADASの出来も凄いわ! けど…やり過ぎ?

後ろからくる車をアラームで知らせる
後ろからくる車をアラームで知らせる

バッテリーEVの魅力というよりも、ADASがよくできている。それは感心しますね。止まっていてドアを開けると、ミリ波で後ろを見ているから、後続車が来るとアラームを鳴らします。ちょっとお節介的なところも無きにしも非ずだけど、ここまでできるんだ、というところはいいと思います。

では、高速でADASを試しましょう。設定は規制速度の80km/h
では、高速でADASを試しましょう。設定は規制速度の80km/h

規制速度80km/hで、設定速度も80km/hです。で、実測も80km/h。今、ACCとLKASで走っています。LKASが相当強いね。今も自動的にステアリングがトレースしています。カメラで白線読んで。電動パワステが自動でガンガン動いてる! もうひとりの自分がハンドル切っているような感じがしています。

車線変更したいけど、ADASの介入がガンガン入る
車線変更したいけど、ADASの介入がガンガン入る

まぁこういったところ(高速道路を流すような)ではLKASがしっかり動いているから楽はラクなんだけど、接近戦になったときにちょっと神経質にシステムが介入し過ぎているかな?っていうのは感じます。

ちょっとADASが過敏すぎるところがあって、たとえば斜め右に車線変更するときに、後ろに車がいるから、ドライバーは右にステアリングを切っているんだけど、電動パワステで切らせないようにしたり。左前に車がいるから、やっぱ右に切りたいんだけどね。

針の穴に通すようなシチュエーションでは、あんまりシステムを介入させないほうがいいと思うんだけど。ちょっとコレはやり過ぎ感があります。

日本を走り込んで、ソフトウエアのアップデートが出来ればいいね
日本を走り込んで、ソフトウエアのアップデートが出来ればいいね

まぁそこまで出来ているっていう部分ではよく出来ているので、日本でしっかり走り込みながら、ソフトウェアでアップデートできれば最強の車になりますね。ポテンシャルは高い。

ACC、LKAS、ADAS、ハンドリング、乗り心地、インフォテインメント、グー!です。

ほとんど完璧な車なんだけど、タイヤのロードノイズだけはカンベン!! これはぜひ、スポンジ入りタイヤを使ってください。


コンパクトカーのBEV「ドルフィン」は、タイヤのロードノイズ以外はまずまずの合格点だった模様ですね。全ての清水インプレッションは動画で!

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

BYDドルフィン ロングレンジの主なスペック
BYDドルフィン ロングレンジの主なスペック

【SPECIFICATIONS】
車名:BYD DOLPHIN Long Lange
全長×全幅×全高:4290×1770×1550mm
ホイールベース:2700mm
トレッド(前/後):1530/1530mm
車両重量:1680kg
最小回転半径:5m
乗車定員:5名
モーター最大出力:150kW(204ps)/5000-9000rpm
モーター最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0-4433rpm
バッテリー容量:58.56kWh
航続距離(WLTC自車調べ):476km
駆動方式:前輪駆動
サスペンション(前/後):マクファーソンストラット/マルチリンク
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ(前/後共):205/55R16
交流電力消費率(WLTCモード自社調べ):138Wh/km
一充電走行距離(WLTCモード自社調べ):476km
車両本体価格(税込): 4,070,000円

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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