トヨタ「GRカローラ」vs.フォルクスワーゲン「ゴルフR」。4WDターボハッチバック王者はどちら!?【ライバル徹底比較】

■ハイパワーハッチバックの系譜を受け継ぐ2台

GRカローラ vs. ゴルフR
GRカローラ vs. ゴルフR

ランチア・デルタインテグラーレ、日産・パルサーGTI-R、スバル・インプレッサWRX。1980年代以降、各世代を彩った4WDターボを採用したハイパワーハッチバックがありました。

令和の現在、これらをルーツとした4WDターボハッチバックといえば、トヨタ・GRカローラとフォルクスワーゲン・ゴルフRでしょう。今回はこの2台を徹底比較してみます。


●【外装比較】オーバーフェンダー化によりボディサイズはGRカローラのほうが大きい

GRカローラのフロントマスク
GRカローラのフロントマスク

GRカローラは、2022年12月に500台、そして2023年8月に550台で限定発売されたモデルです。GRカローラRZのボディサイズは、全長4,410mm×全幅1,850mm×全高1,480mm。ベースのカローラスポーツと比べて、全長は+35mm、全幅は+60mm、そして全高は+20mm大きくなっています。

GRカローラのリアスタイル
GRカローラのリアスタイル

GRカローラのフロントバンパーのインテークをはじめ、フロントフェンダーとフードバルジにアウトレットを設置したのは、サーキットやダート、雪道など、あらゆる道で冷却性能、空力性能を徹底的に鍛え挙げた成果です。さらに、CFRP素材を採用したルーフ、特徴的な排気効率の優れた3本出しマフラーを採用しています。

フォルクスワーゲン・ゴルフRのフロントスタイル
フォルクスワーゲン・ゴルフRのフロントスタイル

一方のゴルフRは、専用デザインのバンパーを採用。サイドシルはボディ同色となっており、リアに採用されているグロスブラックのリアディフューザーと、4本出しのマフラーがスポーティな雰囲気を演出しています。

フォルクスワーゲン・ゴルフRのリアスタイル
フォルクスワーゲン・ゴルフRのリアスタイル

ゴルフRのボディサイズは、全長4,295mm×全幅1,790mm×全高1,460mmで、ベース車と変わらない数値となっています。ボディサイズだけを比較すると、GRカローラのほうがひとまわり大きくなっています。

●【内装比較】両車ともにベース車のインテリアを生かしつつ、スポーティな演出を施す

GRカローラのインストルメントパネル
GRカローラのインストルメントパネル

GRカローラのインテリアは、ベース車のカローラスポーツ同様、黒を基調としたシックな室内空間となっています。

シート表皮にパーフォレーション付ブランノーブ+ステッチ付合成皮革を使用したプレミアムスポーツシートを標準装備しています。6スピーカーの8インチディスプレイオーディオを標準装備し、JBLの8スピーカーを採用した10.5インチのディスプレイオーディオPlusは19万1400円のオプション設定となっています。

フォルクスワーゲン・ゴルフRのインストルメントパネル
フォルクスワーゲン・ゴルフRのインストルメントパネル

ゴルフRのインテリアは、カーボン調のデコラティブパネルをはじめ、鮮やかなブルーの“R”ロゴをあしらった専用のヘッドレスト一体型トップスポーツシートを装備しています。また、デジタルメータークラスター“デジタルコクピットプロ”には、ドライビングプロファイルでスポーツもしくはR専用のレースモードにすると、デジタルメータークラスターにR専用の表示が可能で、気分を高揚させてくれます。

●【パワートレイン比較】自分好みの駆動力配分を選べるGRカローラには楽しさを感じる

最高出力304psを発生する1.6L直3ターボエンジン
最高出力304psを発生する1.6L直3ターボエンジン

GRカローラRZに搭載されているパワートレインは、最高出力304ps・最大トルク370Nmを発生する1.6L直列3気筒DOHCターボエンジン+6速MT。燃費性能はWLTCモードで12.4km/Lとなっています。

組み合わされる6速MTは、ショートストロークのシフトレバーを採用。そしてパーキングブレーキはドリフト走行など限界域での車両コントロールを視野に、手引き式を採用しています。

ショートストロークのシフトレバーを採用した6速MT
ショートストロークのシフトレバーを採用した6速MT

駆動方式は、GR-FOURと呼ばれる電子制御の多板クラッチを採用したアクティブトルクスプリットシステム4WDを採用し、センターコンソールに設置した4WDモードセレクトスイッチで3つのモードから選べます。

最高出力320psを発生する2L直4ターボエンジン
最高出力320psを発生する2L直4ターボエンジン

ゴルフRに搭載されているエンジンは最高出力320ps・最大トルク420Nmを発生する2L直列4気筒DOHCターボで、組み合わされるトランスミッション7速DSGです。燃費性能はWLTCモードで12.3km/Lとなっています。

走行モードは4種類から選べる
走行モードは4種類から選べる

駆動方式は4モーションと呼ばれる4WDシステムを採用。走行状況を常に分析して、前後輪のトルク配分を100:0~50:50の範囲で最適かつ連続的に制御します。さらに、Rパフォーマンストルクベクタリング機能を搭載し、後輪の左右トルク配分を制御し、コーナリング性能を向上させています。

●【走り・乗り心地比較】一部改良によってGRカローラは快適性でもゴルフRに肉薄

GRカローラの走行シーン
GRカローラの走行シーン

GRカローラRZの走りは一部改良前と後では大きく異なります。一部改良前は、スパルタンさを全面に押し出した粗さを感じる乗り心地でした。路面からの入力をすべて拾ってしまうサスペンションの硬さも、GRカローラらしさと言える味付けでした。

235/40R18というサイズのタイヤを標準装備
235/40R18というサイズのタイヤを標準装備

しかし、一部改良後のGRカローラは、スポーティさは全くスポイルすることなく、上質さを手に入れています。路面からの微妙な入力はサスペンションで吸収し、大きな入力があっても収束が早く収まるので、走行性能が向上しただけでなく、乗り心地も向上しています。

フォルクスワーゲン・ゴルフRの走行シーン
フォルクスワーゲン・ゴルフRの走行シーン

ゴルフRは、Rパフォーマンストルクベクタリング、ビークルダイナミクスマネージャーといった電子デバイスの効果で、どんな人が乗っても高次元の走りを楽しむことができます。

箱根のようなカーブが続くワインディングを走行すると、自分のスキルが2ランクアップしたように車を操縦することができます。

ゴルフrの外観06
タイヤは19インチの大径

しかも、19インチという大径タイヤを装着しているにも関わらず乗り心地が良いのは、ボディ剛性、サスペンションのセッティングなどが熟成されている証拠でしょう。一部改良前のGRカローラであれば、乗り心地の良さという点で、ゴルフRに差を付けられていましたが、一部改良後のGRカローラは、この差を見事に埋めています。

車両本体価格525万円のGRカローラと、677万2000円のゴルフR。気楽に速さを楽しみたいという人はゴルフRがオススメですが、GRカローラはドライバーが操る楽しさを味わえるMT車であることは魅力です。

そして、4WDモードセレクトスイッチで駆動力配分をフロント60:リア40、フロント30:リア70。そしてトラックモードの50:50の3つのモードから選べることです。自分の思い通りに走らせることが味わえるのは、GRカローラの特徴と言えるでしょう。この価格差ならば、GRカローラがバーゲンプライスに感じます。

【Specification】

■GRカローラRZ:全長4,410×全幅1,850×全高1,480mm、ホイールベース:2,640mm、車両重量:1,470kg、エンジン種類:直列3気筒DOHCターボ、総排気量:1,618cc、最高出力:304ps/6,500rpm、最大トルク:370Nm/3,000〜5,000rpm、WLTCモード燃費:12.4km/L、タイヤサイズ:235/40R18、車両本体価格:525万円

■フォルクスワーゲン・ゴルフR:全長4,295×全幅1,790×全高1,460mm、ホイールベース:2,620mm、車両重量:1,540kg、エンジン種類:直列4気筒DOHCターボ、総排気量:1,984cc、最高出力:320ps/5,350〜6,500rpm、最大トルク:420Nm/2,100〜5,350rpm、WLTCモード燃費:12.3km/L、タイヤサイズ:235/35R19、車両本体価格:677万2000円

(文・写真:萩原 文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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