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■マツダ・ロードスターが商品改良でパフォーマンスアップ
「MAZDA」というブランドが持つスポーツイメージの源泉といえるモデル「ロードスター」が、現行モデルとしては過去最大規模の商品改良を実施しました。
一見するとイメージはそのままですが、前後のランプ類をフルLEDへと一新。シグネチャーをヘッドランプ内にレイアウトするなど、かなり大がかりな変更となっています。
それだけであれば、現行ロードスター・オーナーは乗り換えようというインセンティブがわかないかもしれませんが、新しくなったロードスターは明らかなパフォーマンスアップが期待できる内容となっているのですから、見逃せません。
具体的には、1.5Lエンジンがパワーアップしています。国内で流通しているハイオクガソリンに合わせて、点火時期などを作り込んだエンジン制御プログラムとすることで、最高出力を従来の97kWから100kWへとアップ。ついに三桁の出力となりました。
そのほか、ベーシックグレードを除き、MT車に標準装備されるLSDを「アシンメトリックLSD」へと進化させています。カム形状の工夫により減速時の差動制限を強めることで、アクセルオフでの安定性を追求したということです。
さらにMT車には、DSC-TRACKというサーキット向けの制御を新設定しています。この制御は、サーキットを速く走るためではなく、クラッシュをしづらい制御となっているのがポイント。
いずれにしても多くのユーザーが、安全にロードスターの走りを楽しめるようになっているのです。ライトウェイトスポーツカーらしい進化といえるのではないでしょうか。
●ベージュ色ソフトトップのVセレクションを新設定
グレード構成で注目なのは、1.5Lソフトトップ車に新設定された「S Leather Package V Selection」でしょう。
ベージュのソフトトップと、スポーツタンのナッパレザーシートの組み合わせは、古典的なライトウェイトスポーツカーらしい組み合わせで、初代ユーノスロードスターの人気グレード「Vスペシャル」を思い起こさせます。
ただし、現在のロードスターにはVスペシャルの定番色であったブリティッシュグリーンのようなボディカラーは設定されていません。デザイナーの方に伺ったところ、イチオシのボディカラーはジェットブラックマイカで、ソウルレッドクリスタルとベージュのソフトトップもよく似合うということです。
ロードスターといえば、MT比率が高い(1.5Lソフトトップで82%、2.0L RFで54%)ことでも有名ですが、『令和のVスぺ』ともいえる新生Vセレクションについては、あえてATでのんびりツーリングするといったシーンもマッチするかもしれません。
●ソフトトップとRFの販売比率は3:1
ロードスターの商品改良では、マツダ・レーザー・クルーズ・コントロール(いわゆるACC)を上級グレードに標準装備しています。
ACCの実現には、グリル内にミリ波レーダーを配置することが必要だったということですが、あえてミリ波レーダーのカバーを照準器のような意匠としているのもロードスターらしい演出といえそうです。
ちなみにロードスターの販売実績は、2022年に9567台となり、現行モデルとしては過去最高となったといいます。そもそも国内での販売目標は500台/月なのですから、想定以上に売れているというわけです。
コロナ禍によってスポーツカーが隠れたムーブメントになっているという話も聞きますが、ロードスターはしっかり実績として積み重ねています。
直近におけるロードスターの販売比率は、ソフトトップが75%で、RF(リトラクタブルハードトップ)が25%になっているといいます。
今回の商品改良においてACCの新設定や、センターコンソールの表皮巻きなどグランドツアラー的な要素を強めていることを考えると、RFの比率が高まってくるかもしれませんし、そうなれば、ロードスターとしての年間販売台数1万台超えも見えてくるかもしれません。