塚田勝弘 
■乗降性や視界、両側スライドドアの使い勝手、先進安全装備やコネクティビティなどを大きく進化
以前お伝えしたように、内外装の刷新をはじめ、アウトホイールメーターからインホイールメーターへの変更など、多岐にわたって全面改良されたホンダN-BOX。3代目となる新型N-BOXが2023年10月6日に発売されます。
先代N-BOXは、比較的、納車待ちも短く、値引きなどもあったと想像できることもあり、モデル末期でも売れまくっていました。
新型は、少なくてもパッケージングや使い勝手の面では、キープコンセプトといえます。先代の軽乗用車最大級の室内空間や高いアイポイントを受け継ぎながら、ホンダ車らしく、良好な視界が確保されています。
既述のように、メーターはステアリングリム上からのぞくアウトホイール式をやめ、ステアリングホイールの内側で視認するインホイールメーターが採用されています。これにより、ダッシュボードがフラットになり、開放的な視界を確保。車幅や車両の動きが把握しやすくなったそうです。
なお、「Honda SENSING（ホンダ・センシング）」の機能や各種情報がより見やすく、分かりやすく表示される7インチTFT液晶メーターが、ホンダの軽乗用車として初採用されています。
さらに、フロントスクリーンやサイドガラスなどのグラスエリアを水平基調で連続させ、姿勢や視線の乱れを少なくするなど、乗り物酔いがしにくくなる工夫も盛り込まれています。子どもを乗せる機会も多そうなN-BOXだけに、こうした配慮はファミリー層に支持されるはず。
また、N-BOXの特徴であった左側フロントピラーの内側に設置されてたサイドアンダーミラーがドアミラーに移設され、フロントピラーをすっきりさせて左前方の視界を向上。同時に、後退駐車時の安心感も高まったとしています。
最新装備の搭載も見逃せません。あらかじめ施錠操作をすることで、パワースライドドアの全閉後に自動で施錠するパワースライドドア予約ロック機能が新たに採用されています。ドアが閉まるまで車両近くで待つ必要がなく、雨天時や荷物を抱えていたり、子どもを抱っこしていたりしても素早く車から離れることができます。
乗降性の向上も図られています。スライドドア開口の一部に、小さな子どもやお年寄りが握りやすいグリップ形状のくぼみが設けられ、容易に乗り降りできるようになっています。
ポケッテリアでは、先代の2倍以上となる大型グローブボックスの採用をはじめ、後席の大型サイドポケットなど、収納性も向上。
パワーユニットは、基本的に先代からのキャリーオーバーになりますが、改良が加えられています。NAエンジンには、吸気バルブの制御に可変バルブタイミング・リフト機構であるVTECが搭載されたのがトピックス。
排気圧をきめ細かく調整できる電動ウエイストゲートが搭載されたターボエンジンも用意されています。NA、ターボともに細部まで制御が見直され、上質で扱いやすい特性を実現したそうです。
CVTの変速制御も見直され、より雑味のない上質な走りに寄与します。また、アイドリングストップ領域の拡大により、前向き駐車時に停止（DまたはNレンジ）から駐車（Pレンジ）にシフトチェンジした場合、エンジンはかからず静かに駐車することが可能になっています。
コネクティビティも進化。新世代コネクテッド技術が搭載された車載通信モジュール「Honda CONNECT（ホンダ・コネクト）」が同社の軽自動車に初めて採用されました。対応ナビは、ディーラーオプションになり、安心で快適なカーライフが楽しめるコネクテッドサービス「Honda Total Care プレミアム（ホンダ・トータルケア・プレミアム）」をサブスクで利用できます。
そのほか、スマホでドアロック解除などができる「Hondaデジタルキー」に、パワースライドドアの操作が新たに加わっています。
また、先進安全装備である「Honda SENSING（ホンダ・センシング）」は、全タイプに標準装備されています。新型モデルでは、フロントワイドビューカメラと前後8つのソナーセンサーを使ったシステムを採用。安全性と安心感の向上が図られています。加えて、近距離衝突軽減ブレーキ、急アクセル抑制機能が追加され、高速走行時によりスムーズな加速減と操舵でアシストされるなど、市街地から高速までさまざまなシーンでドライバーをサポート。
安全装備ではそのほか、ホンダ軽初となる「マルチビューカメラシステム」がタイプ別設定されています。見通しの悪い交差点への進入や狭い道ですれ違う際や、後退駐車時により安心して運転できるようサポートされます。
価格の面では、N-BOXに限らず、値上げの波は新型車全般に大きく押し寄せています。機能や装備差により単純比較はできませんが、新型N-BOXも例に漏れず価格は上昇しています。
いまやBセグメントあたりのコンパクトカーも比較検討になる王者N-BOXが、新型になってもどれだけの強みを発揮するのか気になります。
●価格帯：164万8900円〜236万2800円
（塚田勝弘）
