あなたも高額納税者? ガソリン価格高騰の中、燃費別に「年間ガソリン納税額」を計算してみた

■ガソリン税ってなに? トリガー条項を知っておこう

ガソリン価格はリッター180円を超えた
ガソリン価格はリッター180円を超えた

ガソリン価格の高騰が止まりません。2023年9月6日、経済産業省資源エネルギー庁はレギュラーガソリンの全国平均価格がで186.5円/Lになったと発表しました。政府が当初9月で打ち切り予定だった石油元売への補助金を継続すると発表したため9月11日時点では182.3円へと少し値を下げています。

ガソリン価格の高騰を受けてトリガー条項発動を望む声も高まっていますが政府には減税の意思はないかのような発言が目立ちます。

ガソリン税内訳
ガソリン税内訳

この「トリガー条項」とは、ガソリン価格が160円を3カ月連続で超えたらガソリン税の暫定税率 分25.1円を徴税停止し、3か月連続で130円を下回れば復活する取り決めです。2010年に民主党政権時に法制化されましたが、翌2011年に発生した東日本大震災の復興財源を確保するためトリガー条項は凍結され現在に至ります。

そもそも、この暫定税率は道路財源とするため本則税率に上乗せされたもので70年代から続いているものです。

ガソリン税は揮発油税本則分24.3円+暫定分24.3円+地方揮発油税4.4円+暫定分0.8円。これに石油石炭税2.8円が加算され56.6円が徴税されています。これに本体価格を合わせた価格に消費税がかかっているわけですが二重課税との批判も少なくありません。

●年間1万キロ走行を基準に燃費と納税額をシミュレーションしてみた

日本のガソリン税制では1リットルにかる税額は固定されています。つまりガソリン価格が上昇しても税額が変動するわけではありません。しかしガソリン税を含めた全体の価格には消費税がかかっていますから、たくさんガソリンを消費する人はそれだけ多くの納税を行っていることになります。

燃費別納税額
燃費別納税額を類推してみた

そこで、燃費別にどのくらい納税しているのか、一般的によく言われている「年間1万キロといわれる標準走行距離」を目安にガソリン代と納税額をシミュレーションしてみました。

燃費の良い車に乗ってる人はガソリン代も納税額も抑えられのは当然ですが、リッター10km以下のガソリン食いの旧車やスポーツカー乗りにとっては、このガソリン高騰はお財布に厳しいものになりそうです。

1万キロを走るのに必要なガソリン量は次のとおりです。燃費20km/Lで500L、15km/Lで700L、10km/Lで1000L──。ガソリン価格が185円/Lでは1000Lでガソリン代18万5000円かかります。そのうち税額はいくらでしょう?グラフにしてみました。

驚くべことに、185円/Lで1000L購入する人は年間18万5000円をガソリン代として支払い、うち、7万3000円あまりを税として収めているのです。燃費が倍の20km/Lの軽自動車に乗っている人でさえ、3万6000円あまりを税として徴収されています。これはちょっとお高くないですか?

●経済を回すためにはガソリンは買える値段でなければならない

ガソリンで、私たちは年間にどのくらい税金を納めているのだろう
ガソリンで、私たちは年間にどのくらい税金を納めているのだろう

もうこうなってくるとガソリン代を節約する最たる方法はガソリンを買わないことです。車に乗らない。でもそれでは、日本の経済は縮小していってクランチしてしまうのではないでしょうか。

ガソリンが高いから車に乗るのを控えている。実はそれはマクロで考えると大変なことなのです。コロナで外出を控えた日本がどうなったか。僕たちは経験したばかりのはずです。

もちろん、遠くない未来には日本の車はEVへと変わっていくでしょう。充電インフラが整い、住環境にも充電器が整備され、高効率ソーラーパネルや蓄電池が低価格化し、国の電源構成がバランスよく整っていくことが望ましいのはいうまでもありません。しかしいま現在は、僕たちはガソリンを必要としています。

車に乗るだけで様々な税を徴収され、高い高速料金を余儀なくされます。国はガソリン価格と税のバランスを未来を見据えて臨機応変に決定していく必要があるのではないでしょうか。

トリガー発動後
トリガー発動後の納税を類推してみた

ではトリガー条項を発動するとガソリン代と税はどうなるでしょうか。ガソリン代は−25円の160円/Lでシュミレーションしています。グラフをご覧ください。早急に解決してほしい税金の複雑さでもありますが、個人的にはトリガー条項をすぐにでも発動してもらいたいものです。が、それでもこのご時世の価格であれば、あくまでも試算的ですが年間1万キロ走行の人は、年間4万6000円余ほどの税金を払うことになります。

今のところ岸田内閣は石油元売りに対する補助金に踏みとどまり動いただけですが、払っている税金が身につまされてより分かってくると、みんなの生活向上に向けた抜本的解決、どうなるのでしょうかとさらに踏み込んでみたくなります。

(文/グラフ:猪狩清十郎)

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