最高速度500km/h! 超電導リニアの工事現場、山梨リニア実験線を見に行こう!

■超電導リニアはすでに実用段階

超電導リニアは、最高速度500km/hで走る浮上式鉄道。その開発は最終段階に入っていて、山梨リニア実験線では営業運転へ向けて、先行車のL0系およびL0系改良型試験車による試験走行を行っています。

営業運転に向けて試験走行を行っている超電導リニアL0系。手前2両が2020年に登場した改良型試験車です
営業運転に向けて試験走行を行っている超電導リニアL0系。手前2両が2020年に登場した改良型試験車です

山梨リニア実験線は、品川〜新大阪間を結ぶ中央新幹線の一部となります。中央新幹線が開業すると、品川〜名古屋間を最速40分、品川〜新大阪間を最速67分で結ぶ予定です。

2014年には品川〜名古屋間の建設が始まり、当初2027年度の開業を予定していました。しかし、南アルプストンネルで貫く静岡県静岡市葵区の山岳地帯が大井川の源流地域となっており、静岡県は大井川の水量が減少することを懸念し、工事に同意していません。そのため、現在は開業の見通しが立たない状態となっています。

一方、静岡県以外の都県ではトンネルを中心に工事を進めています。今回は、超電導リニアの車両や中央新幹線の工事現場を巡ってドライブしてみたいと思います。

●神奈川県駅(仮称)「さがみはらリニアひろば」

中央新幹線・品川〜名古屋間には、中間駅として神奈川県駅・山梨県駅・長野県駅・岐阜県駅(いずれも仮称)を設置する予定です。このうち、神奈川県駅(仮称)はJR横浜線・JR相模線・京王電鉄相模原線橋本駅前にあり、2019年11月22日に起工式を行いました。神奈川県駅(仮称)の工事の様子は、2023年6月17日に開設された「さがみはらリニアひろば」から見学することができます。

「さがみはらリニアひろば」は、基本的に毎週金曜日と第1・3・5土曜の10〜16時に開園します。入場料金は無料。施設内に駐車場はありませんが、付近にコインパーキングがたくさんあるので、クルマで行っても問題ありません。

現在、神奈川県駅(仮称)以外の工事現場は見学することができないので、中央新幹線の現実味を感じることができる、数少ない場所だと言えるでしょう。

●「さがみはらリニアブース」

「さがみはらリニアブース」(写真:伊藤岳志)
「さがみはらリニアブース」(写真:伊藤岳志)

工事現場ではありませんが、相模原市緑区橋本2丁目で月に1回程度「さがみはらリニアブース」を開催しています。

「さがみはらリニアブース」にはシールドマシンの模型も展示しています(写真:伊藤岳志)
「さがみはらリニアブース」にはシールドマシンの模型も展示しています(写真:伊藤岳志)

ここでは、3Dスクリーンによるシールドマシンの紹介動画や、リニア試乗体験コーナーの設置、神奈川県駅(仮称)工事写真を展示するほか、塗り絵コーナーや折り紙コーナー等を設置しています。

「さがみはらリニアブース」は橋本駅から徒歩18分、神奈中バス峡の原バス停から徒歩3分です。開催日はJR東海のホームページで告知。開催時間は10〜17時。こちらも予約不要です。

●これから建設が本格化する相模川橋梁

中央新幹線相模川橋梁の建設現場。手前は小倉橋
中央新幹線相模川橋梁の建設現場。手前は小倉橋

中央新幹線は相模川を鉄橋で渡る予定で、相模川橋梁の建設が始まっています。場所は県道510号線新小倉橋・小倉橋の下流です。

相模川橋梁は現在橋脚の建設工事中。この付近の景色も大きく変わります
相模川橋梁は現在橋脚の建設工事中。この付近の景色も大きく変わります

相模川橋梁は現在、橋脚の建設工事の段階です。今後、鉄橋ができあがっていく様子を定期的に見に来るのもいいかもしれません。

●500km/hを体感できる山梨リニア実験線

神奈川県駅(仮称)、相模川橋梁の工事現場を見た後は、そのまま西に移動。山梨リニア実験線を見てみることにしましょう。

山梨リニア実験線は、将来の中央新幹線のルート上となる、山梨県上野原市から笛吹市にかけての42.8kmを、先行で建設したものです。

朝日車両基地では留置されているL0系を見られることもあります
朝日車両基地では留置されているL0系を見られることもあります

相模川橋梁の工事現場の近くにある圏央道相模原インターから、中央道上野原インターまで高速を使って、県道35号線を山梨県都留市方面に移動。途中、雛鶴峠のトンネルを抜けた先に、シェルターが忽然と現れます。

ここが、山梨リニア実験線の朝日車両基地です。ここには試験走行をしていないL0系を見られる可能性があります。

県道35号線をさらに西に進み、国道139号線に突き当たったところを大月方面に右折して、「道の駅つる」を目指します。

どきどきリニア館は2014年に開館しました
どきどきリニア館は2014年に開館しました

その先には山梨県立リニア見学センターがあり、超電導リニアの走行シーンを見ることができます。センター内には、どきどきリニア館とわくわくやまなし館というふたつの施設があります。

どきどきリニア館の3階見学ラウンジから見たL0系。手前5両が従来型試験車です
どきどきリニア館の3階見学ラウンジから見たL0系。手前5両が従来型試験車です

どきどきリニア館は2014年に開館。1階の屋内見学スペース、2階の屋外見学テラス、3階の見学ラウンジから超電導リニアが500km/hで通過するシーンを楽しむことができます。

ドキドキリニアには、超電導リニアを楽しく学べるコンテンツがたくさん用意されています。また、2003年に当時の世界最高速度581km/hを記録した試験車両MLX01-2の実物も展示しています。

MLX01-2は2003年に当時の世界最高速度581km/hを記録した車両。現在はL0系の603km/hが最速です(2020年撮影)
MLX01-2は2003年に当時の世界最高速度581km/hを記録した車両。現在はL0系の603km/hが最速です(2020年撮影)

どきどきリニア館の開館時間は9〜17時(最終入館16時30分)。入館料は一般・大学生が420円、高校生310円、小中学生210円。休館日および超電導リニアの走行日はホームページで確認することができます。

ちなみに、お盆明けの試験走行日は8月18日(金)、19日(土)が発表されています。

わくわくやまなし館は1997年に開館。屋内展望室と観光情報コーナーが設置されています。

わくわくやまなし館は1997年に開館しました
わくわくやまなし館は1997年に開館しました
わくわくやまなし館の展望室から見た超電導リニアL0系
わくわくやまなし館の展望室から見た超電導リニアL0系

わくわくやまなし館は入館無料です。どちらも、超電導リニアの走行位置がモニターに表示されるので便利です。

写真右上に見えるベンチのある場所がリニア展望広場です
写真右上に見えるベンチのある場所がリニア展望広場です

また、山梨リニア実験線の南側にあるリニア展望広場から見学することもできます。撮影向きではありませんが、線路が近いので迫力は桁違いです。

山梨リニア実験線の西端となる笛吹市にも、超電導リニアを見ることができる場所があります。それが、花鳥山展望台(笛吹市御坂町竹居3060-1)です。超電導リニアはこの付近で折り返すので、じっくりと車両を見ることができます。また、山梨県立リニア見学センターと同じモニターが設置されているので、走行位置もわかります。

花鳥山展望台から見た超電導リニアL0系
花鳥山展望台から見た超電導リニアL0系

花鳥山展望台は、甲府盆地や南アルプス連峰を見渡すことができます。駐車場・トイレもあるので家族ドライブにもオススメです。

●超電導リニアに乗りたい人は?

500km/hで疾走する超電導リニアを見るのもいいけど、やっぱり乗って体感したいですよね。JR東海では年に数回、体験乗車イベントを開催しています。

超電導リニアの乗車体験。車内のモニターに前方の映像と走行速度が映し出されます
超電導リニアの乗車体験。車内のモニターに前方の映像と走行速度が映し出されます

体験乗車は抽選制で、JR東海の公式ホームページで募集しています。 前回開催された7月25〜27日では、L0系改良型試験車に乗車することができました。

L0系改良型試験車、中間車の車内
L0系改良型試験車、中間車の車内
L0系改良型試験車、先頭車の車内
L0系改良型試験車、先頭車の車内

1便当たりの募集数は20区画(最大40座席)。超電導リニアの応募倍率は非常に高いので、抽選に当たるのも至難の業ですが、地上を最高速度500km/hで走るという感覚はここでしか体験できませんので、ぜひチャレンジしてみてください。

(ぬまっち)

【関連リンク】

山梨県立リニア見学センター
https://www.linear-museum.pref.yamanashi.jp

JR東海の公式ホームページ
https://linear.jr-central.co.jp/experience/

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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