「LEDヘッドライトが切れない」は間違い! 切れることも暗くなって使用不可になることもあります

■「LEDライトは発熱しない」っていうのも間違い

●家庭用のLED電球とは違います

LEDライトの光は一度経験すると、その明るさは手放したくなくなるほど。ハロゲンバルブ(電球)を市販のLEDバルブに交換するカスタムもポピュラーなメニューと言っていいでしょう。ここではハロゲン電球交換タイプ、アフターマーケットのLEDバルブを「LEDバルブ」と呼ぶこととします。(メーカー純正LEDヘッドライトなどは除きます)

「白熱電球を寿命の長いLEDに代えて省エネに貢献できます」といううたい文句で、東京都などでは補助金が出たりもしたほどで、LEDは長寿命、省エネのイメージです。10年くらい使えると言われていることが多いようで、家庭用のLEDライトは確かに経験上、数年以上は変わらず使えているものがほとんどであるような気がします。

しかし、自動車用のLEDバルブはそうとは限らないのです。

まず、「LEDライトは発熱しない」と思われがちですが、これは正しくはありません。確かに、LEDライトの発光素子部分はほとんど熱くなりません。けれども、電気をフィラメントに流すだけの単純な構造の白熱電球と違って、LED電球は電子回路の基盤があって発光素子を光らせています。その基盤が以外なほど熱を持つことがあります。このため、アフターマーケットのLEDバルブは、冷却ファンも有していることが多いのです。

LEDをクルマのヘッドライトの電球として使用する場合、多くの場合はこれらを一体化して電球と同等のサイズにしなければ取り付け車種が限られます。発光部分を小さくするのは物理的に限界もあるため、基盤はできるだけ小さくしたい。そうするとさらに熱を持ちやすくなってしまいます。となると、冷却フィンや冷却ファンを設けなければならない、とアフターマーケットのLEDバルブは堂々巡りな一面を持っているのです。

さらに、ヘッドライトは通常エンジンルームにあり、熱地獄の中にあって放熱しなければなりません。さらにさらに、自動車は動いている限り常に振動にさらされています。

結果的に、LEDの発光素子そのものは劣化しにくいものの、基盤が焼けてしまったり、断線してしまったりして、暗くなったり、点灯しなくなったりするわけです。

●切れなくても暗くなることもあります

向かって右側のヘッドライトはC国製LEDバルブが使用されていました
向かって右側のヘッドライトはC国製LEDバルブが使用されていました

今回のサンプルは、某スタッフがおよそ2年半くらい使用した某通販大手Aサイトで購入した某C国製の著名ではないブランドのものだったそう。いつの間にか、段々と暗くなってきていたのだそうです。

向かって右側のLEDバルブは青く暗くなって車検はもちろんヘッドライトとして不合格です
向かって右側のLEDバルブは青く暗くなって車検はもちろんヘッドライトとして不合格です
向かって左側のバルブは純白の光を保っていました
向かって左側のバルブは純白の光を保っていました

 

今回お話をお聞きしたベロフジャパンさんによると、使用条件、保管場所などによってもまったく寿命は違ってくるとのこと。

このような理由から、自動車用LEDバルブは、家庭用のLED電球と違って、厳しい設計条件で作られ、過酷な使用条件で使用される自動車用LEDバルブは、家庭用ほど長く使えるとは限らないわけです。しかし、暗闇を照らすヘッドライトの安全に対しての必要性は絶大なものです。寿命ももちろん、その明るさや配光も厳しく管理したいもの。よって、LEDバルブは信頼のおけるメーカーのものを選ぶべきというわけなのです。

(文・写真:クリッカー編集長 小林和久)

【関連リンク】

取材協力:ベロフジャパン株式会社 https://www.bellof.co.jp/

 

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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