佐川急便のユニフォームも粉もん・厨房靴も作る「ミズノ」。スポーツ用品のこだわりが詰まったドライビングシューズも大ヒットしていた!

■ザ・機能派なドライビングシューズ

ベアクラッチはブラック/ホワイト/ネイビーの3色展開。ブラックがとくに人気だそうです
ベアクラッチはブラック/ホワイト/ネイビーの3色展開。ブラックがとくに人気だそうです

日本を代表するスポーツウェアメーカーのミズノが、ドライビングシューズを作ってるってご存知でした?

プロのアスリートお墨付きのミズノのウェアや用品って、とにかくザ・機能派というイメージ。そのミズノが手がけるドライビングシューズとあれば、きっとタダモノではないはず!と思いますよね。

そんな期待を胸に、ミズノ製ドラシュー「BARECLUTCH(ベアクラッチ)」、実物を実見!これがやっぱりタダモノではありませんでした。

ドライビングシューズにしては肉厚なソール。だからウォーキングも快適です
ドライビングシューズにしては肉厚なソール。だからウォーキングも快適です

まず、よくあるドライビングシューズと違って、ソールが肉厚。「それではペダルフィールが鈍くなるのでは?」と思われるかもしれませんが、心配ご無用なのです。

なにやら独特のでこぼこがあるソール構造に、その秘密があります。シューズの底(アウトソール)とシューズの内側(インソール)部分にあるこの凸凹が連動することで、路面やペダルからの情報を正確に足裏へ伝達してくれる仕組みになっているんです。

アウトソールのでこぼこ。これが「足裏の感度」に効くんです
アウトソールのでこぼこ。これが「足裏の感度」に効くんです

これは、アスリートのトレーニング用シューズで使われていたテクノロジーなんだそう。足裏の感度が重要になるアスリートのために生み出したソールを、ドライビングシューズに応用したっていうのはいかにもミズノらしいアプローチですよね!

ドライビングシューズはソールが薄いので、運転にはいいけど歩くのはちょっと……というタイプが多いのですが、肉厚ソールのベアクラッチならウォーキングも快適にこなせそうです。

また、アクセルとブレーキペダルの踏み替え時に、足の回転運動をサポートするラウンドソールや、柔らかく足を包み込むアッパーの作りにも老舗らしいこだわりを感じます。くわえて、持ち上げてみると驚くほど軽いのもベアクラッチの特徴のひとつです。

●ドライビング用のソックスも!

ところで、ミズノにはドライビング用のソックスもあるんですよ!

つま先を引き上げる動作をアシストする専用の設計になっているそうで、アクセル/ブレーキペダルの踏み替えがしやすくなるとか。このテクノロジーには、競泳用水着の知見が使われているんですって!

マツダとミズノがコラボした限定モノのドライビングシューズ。約4万円ながら、クラウドファンディングで即完売!
マツダとミズノがコラボした限定モノのドライビングシューズ。約4万円ながら、クラウドファンディングで即完売!

さて、くだんのベアクラッチ、そもそもの発端はマツダと2021年にコラボして作ったドライビングシューズ。こちらは1足4万円ほどする高級ドラシューだったのですが、クラウドファンディングサービスのMakuakeで発売するや、限定1100足が2日で完売! 急遽追加した250足も、瞬時にソールドアウトになったほどの人気でした。

その伝説のドラシューをきっかけに生まれたベアクラッチですが、マツダとのコラボモデルを買えなかった人たちや、「ミズノ製だから」という支持層による指名買いで、2022年の発売以来売れに売れているのだそう。年間目標販売数を、発売からたった4ヵ月で売り上げてしまったということです。

細身のシルエットもペダル操作にぴったり
細身のシルエットもペダル操作にぴったり

で、当初はメンズだけが対象だったのでサイズも24.5cm〜の展開だったのですが、その人気を受けて、このたびスモールサイズ(22cm〜)が追加される運びとなったんです! これなら女性のワタシでも履けそう……!!

愛車の中に運転用の靴を常に5足は常備している“置きシューマニア”のワタシとしては、これはどうしても気になるところ……。

なんでも、直営店かオンラインでのみ購入できるということなので、これから早速試着に行ってこようと思います!

●佐川急便や阪神園芸のユニフォームもミズノ製

ちなみに、「ミズノの意外なシューズ」はドライビングシューズだけじゃないんですよ。

たとえば、厨房用のシューズ。水や油で滑りやすい床を想定し、しっかりとした排水性をもたせたソールを採用した、プロ調理師のための一足なんです。さらにさらに、「粉でも滑らない」シューズというものまで……これは、パン屋さんなどを想定した商品だそう。

土や芝、アスファルトなど、あらゆる路面を知り尽くしたミズノが、水や油や粉にも強いシューズを作る、というのは、じつは意外でもなんでもなく、もしかしたら自然なことなのかもしれませんね。

ほかにも、おしゃれ(!)なワークシューズの数々もずらり。じつはミズノでは、ワーキング分野向けの商品を事業のひとつの柱にすえて、こういった「現場を助ける」商品を多数開発しているんです。

なお、皆様ご存知佐川急便のブルーストライプのユニフォーム。あれもミズノ製。機動性や通気性、速乾性などにくわえて、清潔感、きちんと感も求められる現場だからこそ、ミズノのテクノロジーがモノをいうようです。

阪神の熱烈なファンであるワタシとしては、“あの”阪神園芸さんのユニフォームがミズノ製というのは胸アツポイントです。大雨の日も、日照りのもとでも、いつもスピーディに甲子園の土と芝生を神整備してくれるグラウンドキーパー、阪神園芸。彼らのタフな仕事を支えていたウェアもミズノ製だったなんて……。

ミズノの創業者・水野利八さんの口癖は「ええもんつくんなはれや」だったといいます。「ええもん」がいろんな働く現場を助けていることを知るにつけ、そのDNAがいまも受け継がれているんだな〜と実感せずにはおれないのでした。

(文:三代やよい)

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この記事の著者

三代やよい 近影

三代やよい

自動車メーカー勤務後、編集・ライティング業に転身。メカ好きが高じて、クルマ、オートバイ、ロボット、船、航空機、鉄道などのライティングを生業に。乗り継いできた愛車は9割MT。ホットハッチとライトウェイトオープンスポーツに惹かれる体質。
生来の歴女ゆえ、名車のヒストリーを掘り起こすのが個人的趣味。
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