国内初! 太陽光エネルギーを新幹線に。山陽新幹線で10%を太陽光発電電力に置き換え

■年間約6万1000t(約2万世帯分)のCO2排出削減見込み

JR 西日本は、2023年6月20日付けのプレスリリースで、2027年度までに山陽新幹線の電力全体の10%を、太陽光発電から供給すると発表しました。

太陽光エネルギーの導入が発表された山陽新幹線
太陽光エネルギーの導入が発表された山陽新幹線

JR西日本は、中国電力とJR西日本専用の太陽光発電設備を設置。再エネ電力(再生可能エネルギー由来の電力)の供給を受けるオフサイトPPA(Power Purchase Agreement=電力購入契約)を6月20日に締結しました。

電力供給のイメージ(JR西日本プレスリリースより)
電力供給のイメージ(JR西日本プレスリリースより)

供給対象となる場所は岡山県・広島県・山口県の新幹線用変電所。2023年7月から順次開発・供給量を開始して、2027年度までに山陽新幹線の列車運転用電力の10%を再エネ電力とし、年間約6万1000t(約2万世帯分)のCO2排出量を削減する見込みです。

●消費電力量を7%削減できるN700Sを追加投入

JR西日本のN700S(右)はN700A(左)よりも消費電力量を7%削減することができます
JR西日本のN700S(右)はN700A(左)よりも消費電力量を7%削減することができます

JR西日本は、6月16日に新型車両N700Sを、2023年8月頃と2024年2月頃に1編成ずつ、合計2編成を追加投入することを発表しました。N700Sは、先代のN700Aよりも消費電力量を7%も削減できるエコな車両です。

JR西日本のN700Sは現在2編成が稼働しています。この2編成は2021年2月・3月に投入されたもので、今回の追加投入は2年半振りとなります。

N700SはJR東海が開発。JR東海では現在40編成が稼働しています
N700SはJR東海が開発。JR東海では現在40編成が稼働しています

N700Sは、JR東海が次世代新幹線のプラットフォームとして開発した車両で、JR東海ではすでに40編成が稼働していて、東海道・山陽新幹線で運用しています。

JR西日本は、JR東海の0番代の同仕様車である3000番代16両編成を導入しています。また、JR九州が西九州新幹線用に6両編成にアレンジした8000番代を導入しています。

JR九州西九州新幹線N700Sは派生バージョンです
JR九州西九州新幹線N700Sは派生バージョンです

JR東海のN700Sは2021年度のマイナーチェンジで、11号車の車椅子スペースを初期車の2ヵ所から6ヵ所に増やしています。

車椅子スペースが6席に増えたJR東海N700Sのマイチェン仕様
車椅子スペースが6席に増えたJR東海N700Sのマイチェン仕様

さらに、2023年度に導入する編成で2度目のマイナーチェンジを実施。車椅子スペースのコンセントの位置を窓下に上げて利便性を向上させるほか、多目的室の窓の位置も変更します。

また、従来からN700Sで実施してきた、廃車された新幹線のアルミ部材のリサイクルを更に推進。従来の内装部品の一部(荷物棚)に加えて、車体の一部(屋根部)にも使用することで、アルミ製造時のCO2排出量を約2%、1編成あたり50t削減します。

2023年度に実施されるJR東海N700Sのマイチェンの内容(JR東海プレスリリースより)
2023年度に実施されるJR東海N700Sのマイチェンの内容(JR東海プレスリリースより)
N700Sの2023年度マイチェン仕様のアルミリサイクルの概要(JR東海プレスリリースより)
N700Sの2023年度マイチェン仕様のアルミリサイクルの概要(JR東海プレスリリースより)

JR西日本が追加投入するN700Sも、これらのマイナーチェンジメニューが反映されると思われます。

ただ速いだけじゃなく、環境にも配慮した新幹線。これこそ、まさに世界に誇れる「SHINKANSEN」だと言えますね。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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