自転車のヘルメット着用努力義務って何? 違反した場合の罰則は?

■2023年4月1日から自転車でもヘルメットが必要に

2023年4月1日より自転車のヘルメット着用が努力義務に
2023年4月1日より自転車のヘルメット着用が努力義務に

2023年4月1日より改正道路交通法が施行され、自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務となりました。それ以前も、13歳未満の子どもについてはヘルメットの着用が努力義務とされていましたが、今後はすべての人が対象となります。

こうした改正が行われた背景には、自転車による死亡事故のおよそ7割が頭部に致命傷を負っているという事実があります。警視庁によると、2018年〜2022年の間に都内で起きた自転車乗車中の死者のうち、主な損傷部位が頭部にある人は64.5%にのぼっており、胸部(17.7%)や腰部(5.7%)と比べて圧倒的となっています。

また、ヘルメットを着用していない場合の致死率は、ヘルメットを着用している場合と比べて約2.3倍に高まるというデータもあり、痛ましい事故を防ぐためにも、自転車乗車中のヘルメット着用が求められていました。

●「努力義務」って結局どういうこと?

「努力義務」って結局どういうこと?
「努力義務」って結局どういうこと?

ヘルメットの着用は、あくまで「努力義務」とされています。この言葉を文字どおりとらえると「努力する義務がある」ということになりますが、結局のところ、ヘルメットは着用しなければならないのでしょうか?

まず、道路交通法の条文を見てみましょう。今回改正された道路交通法第63条を見ると、次のように書かれています。

「自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない」

また、以下のような文章もあります。

「自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない」

「児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない」

つまり、自分自身が自転車に乗る場合はもちろん、自分の自転車に他人が乗る場合や、自分の子どもが自転車に乗る場合にはヘルメットを着用するよう「努めなければならない」ようです。

●罰則はないけれど…

罰則規定はなくても自分を守るためにもヘルメット着用を!
罰則規定はなくても自分を守るためにもヘルメット着用を!

一方、速度違反(スピード違反)に関する条文を見ると、「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、そのほかの道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない」と強い言葉で記されており、違反した場合の罰則についても明記されています。

これらを比較してもわかるとおり、「努力義務」には罰則はありません。つまり、自転車乗車時にヘルメットを着用していないからといって、道路交通法違反で検挙される可能性はまずないということになります。

たとえば、2008年以前は「クルマの後部座席に乗る際のシートベルト着用」は「努力義務」とされており、罰則や違反金はありませんでした。とはいえ、自身の安全を守るためにシートベルトを着用すべきであることは言うまでもなく、実際には後部座席に座る人のほとんどがしっかりとシートベルトを着用していたことから、罰則や違反金が発生するようになった後も大きな混乱はなかったようです。

こうしたことを考えると、自転車乗車時のヘルメット着用も近い将来には当たり前のことになるのかもしれません。

●ヘルメットはなんでもいいの?

自転車用ヘルメットは「SGマーク」の入ったものを!
自転車用ヘルメットは「SGマーク」の入ったものを!

では、自転車乗車時に着用するヘルメットはどんなものでもよいのでしょうか?

バイクのヘルメットの場合、国が定めた安全基準に適合した製品に与えられる「PSC」のマークがあるものでなければ、走行用のヘルメットとしては販売してはならないという法律があります。ただ、自転車用のヘルメットに関しては、上で説明したように、着用すること自体が「努力義務」であるため、あくまで法律上はどんなものでも良いことになります。

とはいえ、工事用のものや、野球やアメフトなどのスポーツ用のものはもちろんおすすめできません。自転車用に適したものを使用しないと、頭部を保護するという基本的な機能を果たせない可能性があるほか、かえって危険な事態となることも考えられます。

そのため、自転車用ヘルメットを選ぶ際には、製品安全協会による「SGマーク」が与えられたものがおススメです。「SGマーク」が付いたヘルメットは、耐衝撃性やあごひも強度、脱げにくさなどが一定基準を上回っており、万が一、製品の欠陥による人身事故があった際には、最大で1億円の賠償措置があるため安心です。

より厳格な基準があるバイク用のヘルメットに比べて、自転車用のヘルメットはデザインや形状などもさまざまです。普段づかいもできそうなオシャレなものや、折りたたみのできる機能性に優れたものもあるので、せっかくの「努力義務」を存分に楽しみましょう。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])

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