成田空港アクセス以外にも活躍範囲を拡大か?「成田エクスプレス」用車両がリニューアル

■空港特急イメージから脱却?

JR東日本は、「成田エクスプレス」で使用しているE259系のデザインをリニューアルすることを発表しました。

デザインがリニューアルされるE259系(JR東日本プレスリリースより)
デザインがリニューアルされるE259系(JR東日本プレスリリースより)

「成田エクスプレス」はJR東日本が1991年から運行している成田空港アクセス特急です。

東京から成田空港への所要時間は約1時間と、京成「スカイライナー」の日暮里〜成田空港間約37分にはおよびませんが、成田空港から東京駅・渋谷駅・新宿駅・横浜駅を直結しているというアドバンテージがあります。

「成田エクスプレス」の初代車両は253系。車体カラーのデザインは、北極圏の白、成層圏の灰色の空、地平線に輝く太陽の赤、そして果てなき黒い宇宙の黒で配色しました。

前面の貫通扉に航空機をイメージしたマークと「N’EX」のロゴを入れて、成田空港アクセス特急のイメージを演出しました。

「成田エクスプレス」初代車両の253系がブランドイメージを確立しました
「成田エクスプレス」初代車両の253系がブランドイメージを確立しました

2代目となる現行モデルのE259系は2009年にデビュー。内外装は刷新しましたが、カラースキームは初代253系を踏襲して、「成田エクスプレス」のブランドイメージを確立しました。それどころか、前面の航空機マークと「N’EX」ロゴは253系よりも大きくなって、成田空港アクセス特急のイメージをさらに強調しています。

2代目「成田エクスプレス」用車両E259系の航空機マークと「N’EX」ロゴは、253系よりも大きくなっています
2代目「成田エクスプレス」用車両E259系の航空機マークと「N’EX」ロゴは、253系よりも大きくなっています

E259系リニューアルのコンセプトは「新生E259系としての進化」。「成田エクスプレス」の使命は、成田空港利用客の輸送のみならず、通勤・レジャーと多様化しています。

そこで、先頭車の前面・側面にシルバー基調のカラーを取り入れて、「ご利用いただく様々な場面」や「移り変わる沿線地域の風景」を移し込むデザインとしました。これにより、「空港アクセス特急に限らない、多様化したご利用目的に合わせた都市間輸送特急」「時代の変化に対応し進化を遂げる」ことを表現しています。

改めて先頭車のデザインを見てみると、前面の貫通扉のカラーは黒からシルバーに変わるとともに、航空機マークと「N’EX」のロゴの代わりに、「SERIES E259」の大きなロゴを配しています。車体側面は、シルバーカラーの部分に巨大な「SERIES E259」のロゴを配されたデザインとなっています。

前面の貫通扉のカラーがシルバーとなり、ロゴも「SERIES E259」に変化(JR東日本プレスリリースより)
前面の貫通扉のカラーがシルバーとなり、ロゴも「SERIES E259」に変化(JR東日本プレスリリースより)
車体側面にはひときわ大きな「SERIES E259」のロゴ(JR東日本プレスリリースより)
車体側面にはひときわ大きな「SERIES E259」のロゴ(JR東日本プレスリリースより)

JR東日本のプレスリリースで気になるのは、「空港アクセス特急に限らない多様化したご利用目的に合わせた都市間輸送特急」という言葉で、これは「成田エクスプレス」以外の特急列車にも使用する可能性があるように思えます。

その可能性のひとつが、「成田エクスプレス」と同じ総武本線を運行し、東京〜銚子間を結んでいる特急「しおさい」。この列車に使用している255系は1993〜1994年に導入した車両で、すでに置き換え時期に入っています。

東京〜銚子間を結ぶ「しおさい」に使用されている255系
東京〜銚子間を結ぶ「しおさい」に使用されている255系

現在E259系は6両編成22本を配置していて、このうち20本を運用しています。一見するとフル稼働に思えますが、検査を含め、終日、車両基地に留置される編成が4本あり、運用を見直せば255系を置き換えることができるかもしれません。

E259系リニューアル編成は4月以降、順次運行を開始する予定。E259系の今後の動向にも注目したいところです。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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