日産「シーマ」デビュー。シーマ現象を巻き起こしたハイソカーを代表するバブルの象徴【今日は何の日?1月18日】

■高価格にもかかわらずバカ売れしたスポーティな高級セダン

1988(昭和63)年1月18日、日産自動車の「シーマ」がデビューしました。

高級セダンながらスポーティでパワフルな走りが魅力で、“シーマ現象”という言葉が誕生するほどの爆発的なヒットを記録し、バブル時代を象徴する“ハイソカーブーム”をけん引した代表的なモデルです。

1988年に誕生した初代シーマ(セドリックシーマ
1988年に誕生した初代シーマ(セドリックシーマ)


●バブル時代に誕生した数々の名車

バブル期のハイソカーブームをけん引した日産・シーマやトヨタ・マークII 3兄弟(マークII、チェイサー、クレスタ)の他にも、メーカーは潤沢な資金を背景に数々の名車を誕生させました。ざっと列挙しても懐かしい名車ばかり。

1984年に登場した5代目マークII
1984年に登場した5代目マークII

・トヨタ:カリーナED(1985年~)、ソアラ(1986年~)、セルシオ(1989年~)
・日産:シルビア(1988年~)、フェアレディZ(1989年~)、スカイラインGT-R(1989年~)
・ホンダ:プレリュード(1987年~)、NSX(1990年~)、ビート(1991年~)
・三菱:ギャラン(1987年~)、ディアマンテ(1990年~)
・マツダ:ユーノス・ロードスター(1989年~)、ユーノス・コスモ(1990年~)
・スバル:レガシィ(1989年~)、アルシオーネSVX(1991年~)
スズキ:アルトワークス(1987年~)

●高級セダンながら国内最強エンジンを搭載してハイソカーブームをけん引

シーマは、当時の日産の高級車「セドリック/グロリア」のさらなる上級仕様としてデビューした3ナンバー車です。

初代シーマのゴージャスなインテイリア
初代シーマのゴージャスなインテイリア

セドリック/グロリアにあった重厚な角張ったフォルムを、流麗なものにしてスポーティさをアピール。

エンジンは、当時最高レベルであった3.0L V6 DOHCセラミックターボエンジンを搭載。さらに電子制御エアサスペンションの採用など、高級セダンながらスポーティでパワフルな走りが魅力でした。

シーマが登場した1980年代後半は、日本では空前のバブル景気の真っただ中で、今では信じ難いことですが、“高価なモノが売れる”、“高価でないと売れない”時代でした。

シーマは400~500万円と高価格でありながら、何と1年間で36,000台以上が売れ、シーマ現象という言葉が生まれました。トヨタの「マークII」とともにスポーティな高級セダンが売れた“ハイソカーブーム”をけん引したのです。

しかし、1992年以降のバブル崩壊とともにシーマの勢いは急減速しました。

●日産のフラグシップとして君臨し続けたシーマも生産終了

生産終了となった最後の5代目シーマ・ハイブリッド
生産終了となった最後の5代目シーマ・ハイブリッド

その後もシーマはモデルチェンジして進化しますが、セダンは長く冬の時代に突入していきます。

販売台数は大きく右肩下がりを描き、最後のモデルとなる5代目における2021年の販売台数は100台にもおよびませんでした。そんなシーマは、ついに2022年8月に生産を終了しました。

「GT-R」を除けば、シーマは日産で最も高額なモデルであり、フラッグシップとして長く君臨していました。また「フーガ」も同時期に生産を終了しており、これで日産のセダンは「スカイライン」だけになってしまいました。


シーマが生産終了となった今、セダンの最後の砦はスカイラインだけになりました。

今後を心配する声もありますが、クラウンと同じように長く愛されているスカイラインもまた、大きくイメチェンして登場、そしてシーマも復活!と、期待したいでね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる