日産GT-R(R35)とN700系新幹線は同じ歳!2007年にデビューした電車たち【東京オートサロン2023】

■GT-Rデビューの2007年にデビューした電車には、ハイブリッド車も!

●16年目に突入したNISSAN GT-R

1月13(金)〜15日(日)に千葉県・幕張メッセで開催された東京オートサロン2023の日産ブースで、日産自動車はGT-Rの2024年モデルの発表・発売に先駆けて、特別仕様車の「GT-R Premium edition T-spec」と「GT-R NISMO Premium edition」をお披露目しました。

NISSAN GT-R Premium edition T-spec

そんなGT-Rが初めて発売されたのは、2007年12月のことで、国産車としては異例とも言える15年以上のロングライフモデルとなっています。

NISSAN GT-R NISMO Premium edition

そこで、GT-R(R35)が初登場した2007年に、どんな電車がデビューしたのか見てみたいと思います。


●新幹線のフラッグシップN700系が登場

2007年にデビューした電車の代表格は、東海道・山陽新幹線N700系です。N700系は東海道新幹線の所要時間短縮と、山陽新幹線での最高速度300km/h運転を行うために、JR東海とJR西日本が共同で開発しました。

2007年7月1日にデビューした東海道・山陽新幹線N700系

当時の東海道新幹線の最高速度は270km/hでしたが、東海道新幹線に数多く存在している、半径2500mの急カーブ区間の通過速度は255km/hに制限されていました。

そこで、N700系は車体傾斜装置を搭載。カーブの内側に車体を1度傾斜させることで、カーブの通過速度を270km/hにアップさせ、東京〜新大阪間の所要時間を最大5分短縮しました。

山陽新幹線では、1997年から500系による300km/h運転を行っていましたが、車体断面形状の関係で居住性が劣っていました。1999年から導入した700系は、300系と同等の居住性を確保した反面、最高速度は285km/hにダウンしていました。

N700系では「エアロ・ダブルウイング形」と名付けられた先頭部形状を採用。空気抵抗と騒音を低減させると同時に、走行風を整流して最後尾時の左右動揺を抑えることで、700系と同等の居住性を確保しながら最高速度300km/h運転を可能としています。

2013年に登場したN700A。新造車はロゴの“A”の文字が大きくてラージAと呼ばれています
2013年に登場したN700A。新造車はロゴの“A”の文字が大きくてラージAと呼ばれています

JR東海は引き続きN700系の改良を続けていて、2013年2月8日にマイナーチェンジ車、N700Aをデビューさせました。AはAdvancedの頭文字です。

N700系を改造したN700Aはロゴの“A”の文字が小さいためスモールAとも呼ばれています
N700系を改造したN700Aはロゴの“A”の文字が小さいためスモールAとも呼ばれています

N700Aは、東海道新幹線の最高速度285km/h運転に備えて、ブレーキや車体傾斜装置の改良のほか、システムの小型軽量化、信頼性の向上、定速走行装置の搭載など大幅な改良を施しています。

従来のN700系も、ブレーキや車体傾斜装置の改良や定速走行装置の搭載などのアップデートを施したN700Aタイプに改造されました。

2016年にはブレーキを強化し、信頼性も向上させるマイナーチェンジを実施。従来車もアップデートしました。

2021年からは、一部の編成に後継車のN700Sで採用したブレーキや新機能をアップデートしています。

このように、最新バージョンに近い仕様に細かくアップデートしている電車はとても珍しいことで、GT-Rのアップデートキットの考え方に似ていると言えるかもしれません。

東海道新幹線の車両の寿命は短く、製造13年から交代時期に入ります。2007〜2012年に登場したN700系96編成のうち、すでに31編成がN700Sに置き換えられて引退しています。

●JR東日本は技術的エポックの年だった

N700系以外にも2007年には16形式がデビューしました。この中で注目したい車両のひとつは、7月31日に小海線でデビューした世界初の営業用ハイブリッド車、JR東日本キハE200形です。

世界初の営業用ハイブリッド車キハE200形

キハE200形のハイブリッドシステムはシリーズ方式を採用していて、ディーゼル発電機とリチウムイオン電池、主変換装置、モーターで構成しています。

ディーゼルエンジンは、コモンレール式燃料噴射装置を採用して排出ガスを低減。駅停車時や発車時はアイドリングストップしていて、窒素酸化物や粒子状物質の排出を約60%低減させ、燃費は約10%向上しています。

JR東日本はキハE200形以降、観光車両のHB-E300系を東北・新潟・長野エリアに導入。仙台〜石巻間を結ぶ仙石東北ラインにHB-E210系を導入しました。また、JR東海、JR西日本、JR九州もハイブリッド車を導入しています。

もうひとつ、技術的に注目された車両が、JR東日本E331系です。

京葉線で運用したE331系

E331系は次世代通勤車両の先行車として登場。標準よりも39mm拡幅したワイドボディとするため、オーバーハングのない連接車体と、同期モーターで車軸を直接駆動するDDM(ダイレクト・ドライブ・モーター)を採用したのが特徴です。

車体間に台車がある連接構造を採用して車体幅を標準より39mm拡幅しました

E331系は2006年に製造され、入念な試運転の後、2007年3月18日に京葉線でデビュー。土休日に限定運用を行いました。

しかし、不具合修正のためのメーカー再入場・試運転・営業運転を繰り返した後、2011年1月には営業運転から離脱。2014年4月に廃車となっています。

E331系の寿命はわずか8年で、連接車体やDDMは実用化されることはありませんでした。

そのほか、GT-Rと同世代となる2007年デビューの車両は、JR東日本E655系「和(なごみ)」・キハE130系水郡線、小田急電鉄4000形・特急ロマンスカー60000形MSE、東急電鉄池上線・東急多摩川線7000系、阪神電気鉄道1000系、平成筑豊鉄道400形、松浦鉄道MR-600形、函館市電9600形、東京都電9000形、鹿児島市電7000形、埼玉新都市交通2000系、名古屋市営地下鉄東山線N1000形などがあります。

東海道新幹線と違って、在来線の鉄道車両の寿命は20年以上が普通。近年は30年以上も当たり前となっていますので、当面は活躍することでしょう。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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