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■2022年10月でJAFへの救護要請が100件超え
最近は、ガソリンスタンドの多くがセルフ式になっていますが、自分で給油する際に意外に多いトラブルが「燃料の入れ間違い」により、車両故障が発生してしまうこと。
ガソリン車に軽油を入れてしまったり、ディーゼル車にガソリンを入れてしまうことで、いずれも最悪はエンジンが掛からなくなり、大がかりな修理が必要となってしまいます。
実際に、ロードサービスを手掛けるJAF(日本自動車連盟)によると、2022年10月1日(土)〜10月31日(月)の1カ月間だけで、「燃料の入れ間違い」による救援要請はなんと105件もあったそうで、車両トラブルの予防を啓発しています。
では、実際、こうした燃料の入れ間違いはなぜ起こるのでしょうか? また、トラブルを予防するには、どのようなことに気をつけるべきでしょうか?
●なぜ燃料の入れ間違いが起こるのか?
JAFによれば、前述の通り、2022年10月1日(土)〜10月31日(月)の1カ月間に出動した「燃料の入れ間違い」による救援は、全国で105件。
そのうち、ガソリン車に軽油を給油してしまったケースは57件、ディーゼル車にガソリンを給油してしまった件数は39件あったそうです(判明分のみ)。
また、現場での聞き取り調査によれば、入れ間違いの理由には
「レンタカーを借りて普段の車両と違ったため」
「軽自動車なので軽油を入れた」
などがあったそうで、「ドライバーの認識不足がトラブルに繋がっていることが見受けられた」といいます。
特に、レンタカー、シェアカーなどの普段乗っている愛車ではない車両や、初めて乗る車両の場合は、よく「このクルマはレギュラー? ハイオク? それとも軽油?」と悩むことも多いですから、そうした場合には特に起こりやすいといえるでしょう。
また、「軽」自動車だから「軽油」と勘違いしてしまう人もいるようですね。ちょっとクルマに詳しい人であれば、軽自動車は現在、基本的にガソリン車のみで、軽油を入れるディーゼル車はないことは分かると思います。ですが、幅広い層に人気がある軽自動車のドライバーの中には、意外に知らない人もいるようです。
●燃料の入れ間違いで起こるトラブル例
実際に燃料を入れ間違ってしまうと、クルマにさまざまなトラブルが起こる可能性があります。
たとえば、ガソリン車に軽油を入れてしまうケース。この場合、はじめは、エンジン自体は掛かりますが、徐々に出力が低下し加速が鈍くなります。
そして、それでも気づかずそのまま走り続け、燃料タンク内の燃料が100%軽油だけになってしまうと、マフラーから黒煙(黒い排気ガス)が出て、やがてエンジンがストップしてしまいます。
一方、ディーゼル車にガソリンを入れた場合。このケースでも、最初はエンジンがかかっていますが、すぐに出力が低下。その後、エンジン音が高くなって、アイドリングも不安定になり、排気ガスが白くなります。
こうなってしまうと、燃料の噴射ノズルや燃料ポンプの交換が必要になる場合もあります。さらに、燃料タンク内に残っているガソリン量と入れ間違った軽油の量の比率によっては、エンジンが動かなくなることもあります。
いずれの場合も、入れ間違いに気づき、クルマを走らせる前に間違った燃料を抜き取り、正しい燃料を入れ直せば問題はないのですが、もし気づかないまま走ると大きなトラブルを起こしてしまいます。
もし、入れ間違いに気づいたら、JAFや販売店などに連絡し、すみやかな対処をする必要があります。
なお、ガソリン車でハイオクとレギュラーを間違えた場合も考えられますが、レギュラー指定のクルマにハイオクを入れても問題はありません。
逆に、ハイオク指定のクルマにレギュラーを入れたケースも、すぐに故障など大きな問題は出にくいことが多いのですが、場合によってはノッキングの原因になることもあります。また、本来の燃費や動力性能が発揮できなくなる、メーカー保証の対象から外れるケースなどもあるため、こちらのケースでは注意が必要です。
●事前に燃料の種類を確認することが必要
では、燃料の入れ間違いを予防するには、どんな対策があるのでしょうか?
まず、普段乗っているクルマではない車両や、初めて乗るクルマに給油する時。この場合は、乗る前もしくは給油前に、必ず車検証や取り扱い説明書などを見て、燃料の種類を確認することが必要です。
また、セルフ式ガソリンスタンドで給油する場合には、給油機に付いているノズルの色で、油種を確認することも重要です。
セルフ式では、
レギュラーガソリン=赤
ハイオクガソリン=黄
軽油=緑
とノズルの色を分けていますから、給油するクルマの油種さえ分かっていれば、色を確認することで、間違った油種を入れてしまうことを防げます。
さらに、車種によっては、給油キャップにそのクルマに入れる油種が書かれているタイプもありますから、そうしたクルマの場合ならそれで確認することもできます。
たかが給油ですが、もし入れ間違いをしてしまうと、前述のように、クルマに大きなダメージを与える原因になる可能性があります。「ついうっかり」を防ぐために、十分に注意しましょう。
(文:平塚直樹 *写真はすべてイメージです)