日産新型「セレナ」発表。新グレード 「LUXION(ルキシオン)」は全部載せの先進安全装備と進化したe-POWERで狙い目

■プラットフォームは先代からのキャリーオーバーだが、「プロパイロット2.0」などに対応

2022年11月28日(月)に日産から新型セレナが発表されました。ガソリンエンジン車が今冬から、e-POWER車は2023年春の発売予定となっています。

プラットフォームは先代からのキャリーオーバーとなっているものの、第2世代の「e-POWER」搭載やミニバン初の「プロパイロット2.0」への対応などにより、車体も強化されています。

日産セレナ
新型セレナのエクステリア

なお、型式は先代のC27からC28に変わっていて、型式が変わっていないことで話題を集めた新型フェアレディZやメルセデス・ベンツGクラスなどとは異なっています。

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「ルキシオン」のエクステリア

ボディサイズは、全長4690~4765×全幅1695~1715×全高1870~1885mm。日本の道路や駐車場事情などに配慮して、5ナンバーサイズ枠を基本的に踏襲。

エクステリアデザインの違いから新グレードであり、最上級仕様でもある「e-POWER LUXION(ルキシオン)」、そして「ハイウェイスターV」が3ナンバーサイズの全幅1715mm。なお、先代のサイズは、全長4685~4770×全幅1695~1740×全高1865mm。

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「ハイウェイスター」の走り

「ハイウェイスター」系は、全幅が1740mmとワイドでしたが、新型では25mm狭くなっています。最小回転半径は、先代の5.5~5.7mから新型は全車5.7mになっています。


●「e-POWER LUXION」は、7人乗りのみで価格は479万8200円

新たに設定された最上位グレード「e-POWER LUXION(ルキシオン)」には、ミニバンで初めて先進運転支援システム「プロパイロット 2.0」が搭載されたのがトピックス。

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新型セレナの走行シーン

同一車線内で手放し運転であるハンズオフが可能になります(高速道路の複数車線においてナビゲーションでルート設定をしていることが条件)。休日のドライブ、ゴールデンウィークや年末年始の帰省など、長距離移動する機会が多いはずのミニバンにとって待望の採用といえるでしょう。

「プロパイロット 2.0」が備わるのは「ルキシオン」のみで、それ以外は「プロパイロット」になります(メーカーオプション)。

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「ルキシオン」は「プロパイロット2.0」を搭載

筆者は先日、現行トヨタ・ヴォクシーを試乗した際に、渋滞時支援機能の「アドバンストドライブ」を高速道路で体感しました。こちらは、40km/h以下(一部条件下では30km/h)という条件があるため、上限を超えるとオフになってしまいます。

ハンズオフ機能では、全車速域対応(道路標識の上限速度内)である「プロパイロット2.0」に軍配があがります。

そのほか、「ルキシオン」には、車外からリモコンキーで遠隔操作できる「プロパイロット・リモートパーキング」も搭載。狭い場所での車庫入れ、出庫をドライバーが乗っていなくてもリモコンキーで操作できます。

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新型セレナのインパネ

さらに「プロパイロット・パーキング」は「ルキシオン」に標準装備で、ほかは「e-POWER」の「ハイウェイスターV」「XV」にオプション設定。この「プロパイロット・パーキング」にはメモリー機能が付いたため、白線がない自宅駐車場などでも使えるようになったほか、操作性もより簡単になっています。

そのほか、SOSコール機能付の「プロパイロット緊急停止支援システム」を「ルキシオン」に標準化し、ほかのグレードでは「X」をのぞきオプションになります。また、「インテリジェントルームミラー」と統合されたドライブレコーダー/ETC2.0ユニットを「ルキシオン」に標準装備し、「V」「XV」系にオプションで用意となります。

●e-POWERに待望の8人乗りを設定

先述したように、プラットフォームは基本的にキャリーオーバーになるため、乗降性は大きく変わっていません。フロアよりも一段低い位置にステップがあり、ノンステップタイプのトヨタ・ノア/ヴォクシー、ホンダ・ステップワゴンとの差になっています。

足腰の弱ったお年寄りや小さな子どもさんなどには、ステップ(段差)がないほうが乗降しやすいのは間違いないものの、ステップ自体は低い位置にあり、センターピラーにはもちろん乗降グリップも備わります。

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1列目と2列目をカバーするステップを設定

オプションで電動ステップが用意されていて、スライドドアだけでなく、フロントドア下までカバーしてくれます。居住性も基本的には大きく変わっていないものの、先代同様に広さがウリで、3列各シートのニールーム(膝前空間)は、ライバルよりも若干上回っています。

そして「e-POWER」に待望の8人乗りが加わりました。これは、フロアコンソールに「e-POWER」用の駆動バッテリーを配置したオーバーハング構造による成果。1列目の左右間には、背の高いセンターコンソールが配置されています。

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e-POWER用バッテリーを1列目間に配置

センターコンソール下にこの駆動用バッテリーが収まるため、コンソールボックスは浅くなっていて、かつてのエスティマハイブリッドを想起させます。2列目にはセンターシートが配置され、8人乗りを実現。また、走行性能の向上とともに「酔いにくいクルマ」を目指したのも新型セレナの特徴です。

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「ルキシオン」の1列目

後方に行くほどフロアと着座位置が高くなるシアターレイアウトで、2列目の前方視界はライバルよりも広く(フロントのウインドウシールドの見え方)、天井の後席用モニターも景色が目に入ることで、酔いにくい配置を実現したとしています。プラットフォームを変えていないためか、積載性(サードシートの跳ね上げ方法)も先代と基本的には同じです。

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サードシートは格納式を踏襲

一発で跳ね上がることが可能であるノア/ヴォクシー、片手で床下に格納できるステップワゴンと比べると、操作手順が多いものの、サードシートの重量を軽くすることで、操作性の向上が図られています。

セレナの美点であるデュアルバックドア(通常の上開き式テールゲートとガラスハッチを兼ね備える)も踏襲。後方が狭い場所でもガラスハッチを開けるだけで、荷物の出し入れができるほか、サードシートの跳ね上げもできます。

●「酔いにくい」走りを徹底的に追求

走りも「酔いにくさ」を追求。新開発の1.4L発電専用エンジンの「HR14DDe」を搭載。先代よりも出力を16%高め、72kWになり、出力を20%高めた高出力モーター(120kW/315Nm)が採用され、出だしからスムーズで静かな走りを享受できます。

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新型セレナの2列目

感心させられたのは、エンジン再始動時の音。振動がかなり抑制されているのと、40km/hくらいまでの低速域でのこもり音も抱かせない点です。高遮音ダッシュインシュレーターの採用をはじめ、吸音材の面積と厚みをアップさせ、荷室下にも遮音材が追加されています。

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新型セレナのサードシート

「ルキシオン」はドアガラスにも遮音ガラスを用意。とくにe-POWERとe-POWERのみとなる「ルキシオン」は念入りに対策が施されていて、とくに「ルキシオン」の静粛性の高さは、群を抜いている印象。80km/h程度であれば1列目と3列目の会話も大声を張り上げる必要なくできます。

また、e-POWERは、加速フィールがスムーズなだけでなく、「e-Pedal Step」により減速時の動きもスムーズであることが実感できます。回生ブレーキが作動しても前につんのめるような感覚が抑えられていて、しかも減速Gを向上しながらスムーズな減速を実現。

さらに、新開発サスペンションによりロールを抑えるなど、酔いにくい動きが抑制されています。なお、「プロパイロット2.0」を搭載している「ルキシオン」は、車線内にとどまらせる必要があるため、下半身が鍛え上げられたそう。

●ガソリンエンジン車も十分に静かで、軽快な走りが魅力

一方のガソリンエンジン車は、先代と同様の2.0L NAエンジンとシフトバイワイヤ化されたCVTの組み合わせ。「MR20DD」は、制御ロジックがアップデートされ、CVTはシフトバイワイヤ化、新コントロールバルブが備わっています。

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ガソリンエンジン車も含めてシフトバイワイヤ化

静粛性が高いのはもちろんe-POWERで、「ルキシオン」の静かさが際立っています。重くなる分、乗り心地の面では不利になるはずだという「ルキシオン」の方が、ガソリンエンジン車よりもフラットライド感がありました。一方で、軽快で素直なハンドリング、コーナリングマナーを味わえる2.0Lガソリンエンジン車も静粛性は十分に高いレベルに達しています。

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「インテリジェントルームミラー」

先進安全装備も含めて、走りの面で大幅に進化している新型セレナ。予算が許せば、7人乗りのみになりますが、新設された最上位グレードの「ルキシオン」を狙いたいところです。

8人乗りがマストであれば、洗練された走りを味わえるe-POWER搭載車がベストチョイスになります。

●新型セレナの価格

・e-POWER
「e-POWER X 」:319万8800円(8人乗り)
「e-POWER XV」:349万9100円(8人乗り)
「e-POWER ハイウェイスターV 」:368万6100円(8人乗り)
「e-POWER LUXION」:479万8200円(7人乗り)
・2.0Lガソリンエンジン車
「X」:276万8700円
「XV」:308万8800円
「ハイウェイスターV」:326万9200円
※2WDのみ

(文:塚田 勝弘 /写真:前田 惠介)

この記事の著者

塚田勝弘

塚田勝弘 近影
1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。クルマ、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。