ヤマハ発動機が「学生フォーミュラ日本大会」での支援を通じ、未来のエンジニアを育む

■2003年から学生フォーミュラへの支援活動を開始し、社員の成長も促す

ヤマハ発動機の広報グループが発信している「ニュースレター」は、同社グループの多岐にわたった活動がテーマになっています。今回のテーマは、2003年から開始された学生フォーミュラへの支援活動です。

ヤマハ発動機 ニュースレター
3年ぶりに開催された「学生フォーミュラ日本大会」

ヤマハ発動機には2003年以来、学生フォーミュラの経験者が合わせて69名入社しているそうで、主にエンジニアとして各分野で活躍。

また、その約9割がこの大会への支援活動に名を連ね、ものづくりの最前線で活躍する技術者の立場から、現役学生たちへの各種助言や支援を行っています。

「ニュースレター」では、3年ぶりに開催された「学生フォーミュラ日本大会」での様子がレポートされています。

参加校の学生たちを支援した学生フォーミュラ支援活動の工藤智也さん(マリン艇体開発部)、平井青さん(マリンエンジン開発部)は、入社2年目の若手で「自分たちは、データでしか開発車両を見られませんでした。その完成車がコースを疾走する姿を見て、しかも初の表彰台をつかみました。マシンを作れないまま卒業し、ずっと悔しさが残っていましたが、そのわだかまりも吹っ切れた思いです」と声を揃えて振り返ったそう。

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ともに開発の現場で活躍する入社2年目の工藤さん(左)と平井さん(右)

2人は、今大会で3位に入賞した日本自動車大学校の同窓生でもあるそうです。

「私たちにとって、学生フォーミュラ活動は青春そのものでした。しかし、コロナ禍で突然大会が中止になって、懸命に製作した車両をカタチにできなかった」と工藤さんは悔しさを語っています。

平井さんも「今年3位になった母校の車両は、私たちが4年生の時に設計したものです。それを後輩たちがさらに磨き上げて、好成績を収めてくれました。私は、支援活動のメンバーとして母校を担当させてもらったので、格別です」と喜びを表現しています。

また、優勝を飾ったのは、ヤマハ発動機製オートバイ「MT-07」のエンジンを搭載した京都工芸繊維大学。同大学へのサポートを担当したのが工藤さんだったそうです。

「学生たちがエンジンの仕様変更に挑もうとした時、社内のスペシャリストに助言を求めるなど、つなぎ役を経験することができました。これは自分にとって大きな財産です」と、工藤さんは手応えとともに振り返っています。

一方で、平井さんも「弊社では、企画から開発、生産に至るまで何年も費やすプロジェクトを、学生フォーミュラはたった1年でやり遂げます。その濃密な時間の中で学生たちが成長していく姿を見て、自分自身も大きな刺激を受けました」と、自身の成長にもつながったそうです。

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2人の母校である日本自動車大学校は初の表彰台を獲得

2人はともに「もともとは1級自動車整備士になりたかったのですが、学生フォーミュラに夢中になって取り組む中で、ゼロからイチを生み出す開発という仕事に魅力を感じました」と入社の動機も披露。

希望が叶って、工藤さんはスポーツボートの制御開発の現場で、平井さんは大型船外機開発の若手エンジニアとして、それぞれ経験を積み重ねながら、充実した毎日を送っているそうです。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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