トヨタ「ヴォクシー/ノア」デビュー。ユーティリティに優れたミドルクラスのミニバンとして大ヒット【今日は何の日?11月16日】

■ファミリー層から圧倒的な支持を受けた兄弟車ヴォクシー/ノア

2001(平成13)年11月16日、トヨタは5ナンバーサイズの「ヴォクシー」と「ノア」をそれぞれ“トヨタネッツ店”と“トヨタカローラ店”で販売を始めました。ヴォクシーとノアは、外観とボディカラーが異なりますが、価格帯や搭載エンジンは同じ兄弟車です。

2001年にデビューしたヴォクシー、精悍なマスク
2001年にデビューしたヴォクシー、精悍なマスク

●ライトエース・ノア/タウンエース・ノアがモデルチェンジしてヴォクシー/ノアが誕生

ヴォクシーの先代は「ライトエース・ノア」であり、ノアの先代は「タウンエース・ノア」です。もちろん、ライトエース・ノアとタウンエース・ノアは兄弟車です。

1996年に登場したライトエース・ノア。ヴォクシーの先代車
1996年に登場したライトエース・ノア。ヴォクシーの先代車

「ライトエース」の歴史は古く、1970年にパブリカのキャブオーバー仕様「ミニエース」の進化版として誕生。また「タウンエース」は、カローラのキャブオーバー仕様として1976年にデビューしました。その後、ライトエースとタウンエースは、1992年にボディを共通化して兄弟車となります。

そして1996年、ライトエースに新たなノアというサブネームを付けたミニバン「ライトエース・ノア」、同時に兄弟車タウンエースも「タウンエース・ノア」へと進化して、ヴォクシーとノアの先代となるライトエース・ノアとタウンエース・ノアが誕生したのです。

●扱いやすい5ナンバーながらユーティリティに優れたミニバン

ヴォクシーは、薄型グリルに分割したヘッドライト、鋭さや迫力といった精悍さを強調。一方のノアは、どちらかというとクリーンな雰囲気で親しみやすさを強調したスタイルが特徴です。

2001年にデビューしたノア、クリーンな親しみやすいマスク
2001年にデビューしたノア、クリーンな親しみやすいマスク

室内は、前から2名/3名/3名掛けの3列シートを備え、8人乗車のみ。2対1分割スライド機能を装備するセカンドシートは、簡単な操作によって起き上がり、どちらのスライドドアからも3列目シートへの乗り降りが可能。またオプションですが、便利なマルチ回転シートも設定。

パワートレインは、2.0L直4 DOHCエンジンと電子制御4ATの組み合わせのみ、駆動方式はFFと4WDが用意されました。

初代ヴォクシー/ノアは、5ナンバーながらユーティリティに優れたコンパクトミニバンとして、2002年の販売台数はともに7万~10万台の大ヒットを記録します。その後もモデルチェンジによって進化を続け、2020年でもヴォクシー約7万台、ノア4.5万台をキープしているロングヒットモデルです。

●トヨタはなぜ兄弟車が多い

2022年にデビューした新型(4代目)ヴォクシー
2022年にデビューした新型(4代目)ヴォクシー

兄弟車とは、基本的には同じクルマで外観の一部を変更して、車名も変えて異なる販売店系列で販売されるクルマを指します。

古くは、日産自動車の「セドリック/グロリア」、ホンダ「アコードインスパイア/ビガー」などがありましたが、現在トヨタ以外はほぼ存在しません。トヨタには、「アルファード/ヴェルファイア」「ヴォクシー/ノア」と現在も兄弟車が用意されています。

2022年にデビューした新型(4代目)ノア
2022年にデビューした新型(4代目)ノア

トヨタには、“トヨタ店”、“トヨペット店”、“カローラ店”、“ネッツ店”と4つの販売系列があり、全店舗で販売されるクルマもありますが、店舗ごとに取り扱い車種に独自性を持たせていました。

国内販売台数が多いトヨタだからこそ成立していたのですが、トヨタは2025年を目途に、4系列を事実上1本化し、どこでも全車種を取り扱う方針を決定しました。国内向け車種を約半分に縮小する戦略に対応した販売チャンネルの効率化です。


ヴォクシー/ノアは、スポーティかつファッショナブルなスタイリングが若いファミリー層に人気を博しています。一時期ミニバンの人気が落ちたと言われましたが、ヴォクシー/ノアは20年経った今でも高い人気を誇っていますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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