江戸時代にタイムスリップ!? 埼玉にある大河ドラマロケの聖地・島田橋ってどんなとこ?

■時代劇にぴったりな島田橋のエモい姿

埼玉県坂戸市に、いろいろなドラマや松竹映画のロケ地として使用された橋があります。それが、越辺川(おっぺがわ)に架かる島田橋です。

越辺川に架かる島田橋

島田橋は全長77m・幅2.6m(自動車の通過制限幅は1.8m)の木製沈下橋です。

沈下橋は増水時には水没させてしまう橋のことです。そのため水面から橋の高さを低くして、橋の長さも短くすることができて、架橋が容易なのが特徴です。

また、増水した流水の影響を最小限にするため、欄干は設けないか、簡易的なものとするのも特徴。

そんな沈下橋ですが、河川行政用語では潜水橋が正式だそうです。ところが埼玉県では冠水橋と呼ばれているなど、地域によっていろいろな呼び方があります。

島田橋の橋脚や橋桁は、一部の繋ぎ部材に金属を使用しているほかは、杉や檜を使用しています。上流側には流木を避けて橋桁へのダメージを防ぐちりよけを設置していますが、これも杉の丸太を使用しています。

欄干のない橋桁
丸太で組まれたちりよけ

島田橋はなかなか古風な印象があって、時代劇のロケによく使われているようです。

主なものはNHK大河ドラマの「翔ぶが如く」「新撰組!」「風林火山」「龍馬伝」、テレビドラマの「菊次郎とさき」「陽炎の辻2」「JIN-仁-」や、映画「幕末純情伝」「まぼろしの邪馬台国」「さや侍」などだそうです。

●木製の橋を維持してきた理由とは?

地蔵菩薩を中心に11の石仏や石碑が並んでいます

島田橋が架けられたのは明治時代の初期です。この橋は川越児玉往還のルート上にあり、当初は島田の渡し(渡し船)で越辺川を渡っていたそうです。

島田橋にある集落は、かつては渡し船や渡航者の世話をしていた人たちが住んでいたそうで、土手の脇には11基の石仏・石碑が祀られています。このうち地蔵菩薩は1863年からこの地に立っているのだとか。

島田橋は木材の腐食や増水による流失により、何度も掛け替えが行われています。最近では2014年6月の大雨で流失していて、翌2015年5月に木製で復旧しています。その前の流失は1999年です。

なぜこの時代でも金属やコンクリート橋で復旧しなかったのかというと、許可が下りなかったからです。

島田橋の西には国道407号線の高坂橋がありますⒸGoogle
左に島田橋、右に高坂橋が見えます

許可が降りない理由は、島田橋の600m上流に国道407号線の高坂橋が存在するためなのだそうです。高坂橋は片側2車線の立派な橋で、かつての島田橋の役割を担っています。

そのため、島田橋は廃橋とならない代わりに木製の橋で維持されているのです。なお、災害復旧時の架け替え費用は国が補助金を出しています。

しかし、木製の橋を設計できる職人や、掛け替えを請け負う業者が減っているらしく、いつまで木製の橋で維持できるかは不透明なようです。なお、現在の島田橋は橋形の下に鋼鉄のH型鋼を通しているそうですが、下から覗かないと見ることはできません。

いつまでも残って欲しい島田橋

昨今は木製の橋を設計できる職人や、掛け替えを請け負う業者が減っているのが今後の課題となりそうですが、いつまでも木製のまま残って欲しいですね。

●島田橋のほかにもある、越辺川の木製沈下橋

越辺川にはもうひとつ、木製の沈下橋があります。それは島田橋の下流、圏央道川島IC.近くにある八幡橋です。

越辺川に架かるもうひとつの木製の沈下橋、八幡橋

八幡橋は、河川改修によって旧流路にできた三日月湖に囲まれて孤立した坂戸市八幡地区へ渡るために架けられたそうです。しかし、現在は三日月湖を埋めたてていて川島町と陸続きになっています。

八幡橋の構造は島田橋とほぼ同じです。橋桁にH型鋼を使っているのも同様です。ただし木の腐食が進んでいるようで、現在は幅1.48m・重量1.0tの制限がかけられています。

なお2022年6月6日の大雨によって一部が損傷していて、現在(2022年9月末)は通行止めとなっており、修復作業を行っています。

八幡橋は修復工事中です

この周辺は11月になると白鳥が飛来することで有名なので、それまでに復旧してくれることを願っています。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛)

ぬまっち(松沼 猛) 近影
1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。