■ライバル車タフトのマイナーチェンジに備えて商品性を向上させた
ハイトワゴンとSUVを融合させて、大ヒットした軽自動車がスズキ・ハスラーです。2020年1月に登場したモデルは、現在の軽自動車の売れ筋モデルであるスーパーハイトワゴンのスペーシアをベースとして開発されました。
数ある軽自動車の中でハスラーは個人的にはベストバイモデルと考えています。その理由は、
・軽量で高剛性の新世代プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用し、ボディの軽量・高剛性を両立。
・バックドア、センターピラー、サイドドアでそれぞれ「環状骨格構造」を形成することで、ボディ全体で剛性を高めている
・ボディのスポット溶接部に「構造用接着剤」を採用し、部品間のわずかな隙間を埋めることで接合を強化。ボディ全体の剛性を向上させ、優れた操縦安定性、乗り心地を実現
・こもり音や雨音を低減する「高減衰マスチックシーラー」を採用し、静粛性の高い室内空間を実現。さらに、防音材や遮音材を最適に配置することで静粛性を高めている
などが挙げられます。
背の高いSUVのハスラーですが、安定感そして静粛性の高さは軽自動車でもトップレベルです。
また、運転支援装備でも、夜間の歩行者も検知するステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」をはじめ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能と、ヘッドランプのハイビーム /ロービームを自動で切り替えるハイビームアシストを搭載。
さらに、ターボ車には車線逸脱抑制機能を採用した、全車速での追従機能を備えたアダプティブクルーズコントロールを設定していることがベストバイと言える理由です。
そして2022年5月にハスラーは一部改良を実施。同時に特別仕様車「J STYLE II」を設定。今回この「J STYLE II」に試乗することができました。
今回の一部改良のポイントは、従来ターボ車にしか設定されていなかった全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)と車線逸脱抑制機能を全グレードに標準装備したこと。
さらに、狭い道でのすれ違いなどでの接触防止をサポートするすれ違い支援機能やハイブリッドGターボにLEDヘッドランプの追加など安全装備を充実させています。またXグレードにはUSB電源ソケットと時間調整式フロント間欠ワイパーを装備しました。
特別仕様車の「J STYLE II」はハイブリッドX、ハイブリッドXターボをベースに、専用メッキフロントグリルをはじめアルファベットエンブレム、チタニウムグレーのインパネカラーガーニッシュなどの専用装備を採用。
さらに、スズキとして初めて「ナノイーX」機能をフルオートエアコンに搭載するなど装備を充実させています。
今回試乗したのは、特別仕様車J STYLE IIターボ4WD車で183万3700円です。メーカーオプションの全方位モニター付メモリーナビゲーション(18万4800円)が装着されていました。
パッと見ただけでは2WD車との区別は付きませんが、インパネに、雪道やアイスバーンでのスムーズな発進をサポートする「スノーモード」。
ぬかるみや滑りやすい路面で発進をサポートする「グリップコントロール」、急な下り坂で車速を約7km/hで維持する「ヒルディセントコントロール」のスイッチが4WD車の目印です。
ハスラーJ STYLE IIの外観で目を引くのがルーフレールです。元々アウトドアユースの印象が強いハスラーですが、ルーフレールを装着することで、さらにタフギア感が増しています。
また、360°プレミアムUV&IRカットガラスを採用。日焼けの原因となる紫外線を約99%カット。さらにジリジリとした暑さのもとである赤外線をカットする特殊ガラスを全面に採用することで、日焼けを防いでくれるというホスピタリティの高さも魅力です。
J STYLE IIターボ4WDは最高出力64ps、最大トルク98Nmを発生する660cc直列3気筒ターボエンジンにマイルドハイブリッドシステムが組み合わされています。
全高が1,680mmのハスラーですが、加減速時の前後方向の揺れは最小限に抑えられています。
ターボエンジン+モーターによる力強い加速時でもボディの揺れが抑えられているので、法定速度までスッと加速することができます。
このボディの無駄な動きが少ないのは、カーブを曲がる際でも同様です。カーブを曲がる際のロールが抑えられているので、リアシートに乗った乗員も快適に移動することができます。
また、ボディのねじり剛性が高いため、カーブを曲がる際にハンドル操作に対してのボディの動きの遅れがないのも特徴です。
ただ、一つ残念な点を挙げるとすれば、電動パーキングブレーキが主流となっている中で、まだ足踏み式のパーキングブレーキを採用していることでしょう。
オートエアコンにはナノイーXを搭載し、移動する際の車内環境をさらに快適にする工夫が施されているのが特徴です。
高い走行性能に加えて、快適装備も充実したハスラーは、軽自動車の中で盤石のベストバイモデルと言えるでしょう。
(文・写真:萩原 文博)