新型ハスラーは、NAエンジンでも力強い加速と高速巡航も余裕でこなす【スズキ・ハスラー試乗記】

■乗り心地、静粛性も向上し、より上質になった走りも魅力

2019年12月24日に発表され、2020年1月20日に発売された新型ハスラー。筆者が試乗したのは、NAエンジン仕様の「HYBRID X」(マイルドハイブリッド)。新開発された「R06D」型エンジンは、ワゴンR/ワゴンRスティングレーにも搭載されていて、スズキ軽の主力エンジンになります。

スズキ ハスラー
スズキ・ハスラー「HYBRID X」のエクステリア

デュアルインジェクション、クールドEGR、急速燃焼、ロングストローク化、高圧縮比化などにより燃費向上が図られていて、WLTCモード燃費では、市街地で約7%、郊外で約8%、高速道路で約8%向上など、想定される走行シーンでの省燃費化を実現しています。

スズキ ハスラー
R06D型エンジン

また、組み合わされる新開発CVTも2ポートオイルポンプをはじめ、高効率ベルト、トルクコンバーター低剛性ダンパーの採用、そして軽量化により燃費向上寄与しているそう。なお、トルクコンバーター低剛性ダンパーは、エンジン回転域における、大きな回転変動を吸収しやすくするようにダンパーを低剛性化し、燃費と静粛性を高める効果があります。

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NAエンジンは、49PS/58Nmというスペック。ISGの高出力化の恩恵は確実に感じられる

マイルドハイブリッドを担うISG(Integrated Starter Generator)は、先代ハスラーに対して最高出力が1.6kWから1.9kWと高出力化されています。モーターアシスト(時間)が10%増すなど、走りとして実感できるのかも気になるところ。

●新型スズキ・ハスラー(NA)の走りは?

市街地から新型ハスラーを走らせると、まず驚かされるのが非常にスムーズな出だしで、信号からの再スタートでも普通に発進させても周囲の流れをリードできるほど。ISGのモーターアシストの御利益を実感できます。ISG、エンジン、CVTの協調制御によりスムーズな再始動が可能になっていて、市街地での静粛性の高さも享受できます。

ISGによるスムーズな加減速もより自然なフィールになっています。減速時には、約10km/hでアイドリングストップが開始するコースティング状態になりますが、先述したように、減速時・加速時のエンジン停止、再始動のマナーが向上しているのも朗報。

スズキ ハスラー
スズキ・ハスラーの走り

さらに高速道路では、首都高速の短い合流路(流入路)でも最大30秒間のモーターアシストによりストレスフリーな加速を堪能できます。高速巡航でも法定速度程度であれば静粛性も確保されていて、快適なキャビンが保たれています。そのほかの防音・遮音対策も入念に施されているため、ファーストカーとして乗っても満足できるNVHといえそう。

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新開発されたCVT

もう1つの美点が乗り心地の良さ。先代の登場時は、極低速域から高速域まで少し跳ねるような乗り味でしたが、新型ハスラーは、足がよく動き、よりフラットライド感が高まっています。サイドドア、センターピラー、バックドアに環状構造が採用され、ボディ全体の剛性が向上。さらに、構造用接着剤で部品間の隙間を埋めるなどの剛性向上策が確実に効いているようです。なお、試乗車のタイヤは165/60R15サイズのダンロップ「エナセーブEC300+」。

スズキ ハスラー
試乗車は165/60R15サイズのダンロップ「エナセーブEC300+」を装着

一方で、パワステのフィーリングは軽自動車らしく軽く、市街地ではキビキビした走りを演出する一方で、高速道路のコーナーなどでは腰砕けにはならなくてももう少し手応えが欲しく感じるシーンもありました。とはいえ、実用域で気になるレベルではなく、走りのトータル性能は、見た目以上の進化を遂げています。

(文/塚田勝弘 写真/平野 学、塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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