カローラに待望のハイブリッド(HV)モデルが登場。クラストップレベルの燃費33.0km/Lを達成【今日は何の日?8月6日】

■アクアと同じHVシステムTHS-IIを搭載したカローラHV

2013(平成25)年8月6日、トヨタは「カローラアクシオ」「カローラフィールダー」にハイブリッドモデルを追加。ハイブリッドシステムTHS-IIに、1.5Lアトキンソンサイクルエンジンを組み合わせたアクアと同じパワートレインで、クラストップの燃費を達成しました。

2013発売のカローラフィールダーHV
2013発売のカローラフィールダーHV

●THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)の進化

1997年に発売されたプリウスのハイブリッドシステム「THS」は、1.5Lアトキンソンサイクルエンジンとモーター/発電機、発電機、動力分割機構などで構成されるシリーズ・パラレルハイブリッドシステムです。最大の特徴は、エンジンの出力を動力分割機構(遊星歯車機構)によって、クルマの駆動力と発電を効率的に振り分けている点です。巧みな制御技術と高いシステム効率によって、初代プリウスは当時としては驚異的な28km/L(10-15モード)の燃費を達成しました。しかし、一方で走行性能や減速フィールには課題がありました。

1997年にデビューした初代プリウス
1997年にデビューした初代プリウス

2003年には、モーター駆動電圧を274Vから500Vまで上げ、モーター出力を向上させるとともに、パワーユニットを小型化し、「THS-II」と名称を変更。燃費は、35.5km/L(10-15モード)に向上しました。2009年には、高速燃費の不評に対応して、エンジンを1.8Lに拡大し、高速燃費を改良。さらに、遊星歯車機構に減速機構を付加し、駆動トルクを増大させた「リダクション機能付きTHS-II」へと進化し、燃費は38.0km/L(10-15モード)まで向上し、その後もエンジンとTHSの進化を続けて現在に至っています。

●11代目カローラは、アクアHVシステムを流用

カローラと言えば、日本のモータリゼーションを牽引してクルマを大衆化した歴史的な名車です。1966年のデビュー以来、半世紀以上にわたり、日本を代表する大衆車として、ロングランヒットを続けています。2020年時点の販売台数は4750万台を超え、現在も累計販売台数で世界1位を続けています。

2011年にデビューしたアクア。小型HVとして大ヒット
2011年にデビューしたアクア。小型HVとして大ヒット
1966年にデビューした初代カローラ。クルマを大衆化した名車
1966年にデビューした初代カローラ。クルマを大衆化した名車

2012年5月に登場した11代目カローラの特徴は、燃費低減のために小型コンパクト化されたことと、翌2013年にユーザーからの要望に応えてハイブリッドモデルが追加されたことです。ハイブリッドシステムは、高効率の1.5Lアトキンソンサイクルエンジンに、リダクション付きハイブリッドTHS-IIを組み合わせた、アクアと同じシステムです。その他にも、各種のフリクション低減やクールドEGR、電動ウォーターポンプの採用などにより、クラストップレベルの33.0km/L(JC08モード)を達成しました。

11代目カローラは、セダン不況下でも好調な販売を続け、追加されたハイブリッドモデルも受注は1ヵ月で6,000台を超え、その後も堅調な販売を記録しました。

●THSの特許を無償公開しても、なぜ他社で使われない?

2019年にトヨタが、THSの数万にもおよぶ特許を2030年まで無償提供すると発表し、世間を驚かせました。今後のCO2低減のために効果の大きいTHSの仲間を増やして、地球環境問題に貢献するためということですが、現在のところTHSを利用しようとするメーカーは現れていないようです。

HVシステム(THS-II)全体図
HVシステム(THS-II)全体図

この状況になっているのは、ハードとソフトを提供されても、THSの制御が複雑すぎてHVシステムを自分たちでモディファイするのが難しい、そうなれば単にTHSを使っているだけで自社のブランドにならない、という理由があげられます。また、欧州ではHVよりもEVの方を重要視しているということも関係しているでしょう。優れた技術ではありますが、シンプル・イズ・ベストではないということですね。


プリウスやアクアのようなHV専用モデルでなく、カローラやヤリスのような一般大衆車にもHVモデルが増え、HVかガソリン車かの区別がしづらくなりました。トヨタでは、もうHVが標準モデルになりつつありますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン

Mr. ソラン 近影
某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きなクルマで、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。