新型シビック・タイプRがワールドプレミア。目指すは「FF最速」速く走るために生まれた史上最高傑作

■ボディとの一体感が得られる前後フェンダーや大型リヤスポイラー、3本出しセンターマフラーなどを採用

2022年7月21日、ホンダは同年9月発売予定の新型シビック・タイプRをワールドプレミアしました。

ベース車の現行シビックが先代のガンダムチックな雰囲気から一転、大人っぽいデザインになり、新型タイプRも大人の雰囲気をまとっています。

ホンダ・シビック・タイプR
新型シビック・タイプRと開発責任者の柿沼秀樹氏

とはいえ、ひと目でただ者ではないと分かる迫力に満ちています。端的にいえば、「FF最速」を目指す史上最高傑作のタイプRであることを隠さない(隠せない?)デザインが与えられています。

ホンダ・シビック・タイプR
新型シビック・タイプRのリヤビュー

フロントドアなどの一部をのぞき、外板パネルは専用設計で、ボディとの一体感が得られる迫力ある前後フェンダーは、サイドパネルからの連続感のある美しい造形になりグラマラスなボディラインを構築。

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新型シビック・タイプRのリヤエンド

リヤディフューザーはフロア奥からつながる形状で、高いスタビリティを確保する役割を担っています。中央からは、3本出しとなるマフラーが圧倒的な存在感を発揮しています。

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大型リヤスポイラー

リヤビューのアイキャッチとなる大型リヤスポイラーは、ダウンフォースの強化とドラッグの低減に寄与し、アルミダイキャストステーが採用され、質感と性能を大幅に引き上げています。

機能美と空力性能を兼ねたディテールも見どころ。フロントグリルの開口部は、ワイドスタンスを強調しながら効率的な開口と機能を備えています。フロントフェンダーダクトは、ホイールハウス内の圧力を軽減し、空気をサイドにスムーズに流す役割を担当。

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リヤドアからリヤフェンダーも専用パネルになる

サイドシルスポイラーは、リヤタイヤ前の空気の流れを整え、主流方向に向ける役割を果たしています。こうした空力パーツは、レースカーの知見も盛り込まれています。

なお、サイドシルスポイラーのサイドへの「出方(はみ出し)」は、乗降性(足の運び)とトレードオフの関係にあり、乗降性を担保しつつ、形状が練られたそうです。

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19インチアルミホイール

足元では、先代の「リミテッドエディション」のノウハウが採用された19インチホイールのマットブラックを装着。ワンサイズ上の見た目をもたらすデザイン性の高さはもちろん、軽量、高剛性化も図られています。デザイン性を高めるのは、リムに採用されたリバースリム構造で、より深く、立体的な見え方をもたらしています。

ボディカラーは伝統の「チャンピオンシップホワイト」をはじめ、「レーシングブルー・パール」「クリスタルブラック・パール」「ソニックグレー・パール」の4色を設定。

●インテリアもタイプRならではの存在感と、速く走るための造形を両立

一方のインテリアは、「FF最速」を目指すための機能性(スポーツカーとしての本質)とタイプRならではの官能性が両立されています。

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新型シビック・タイプRのインパネ

インパネ付近は、現行シビックが掲げるノイズレスなすっきりとした造形やディテールを基本としながら、レッドカーペットとレッドシートを採用することで、ドアを開けた瞬間から高揚感が得られるようになっています。

ホンダ・シビック・タイプR
専用メーターパネルを用意

運転のしやすさとスポーツカーらしい見え方の両立に苦労したそうで、たとえば、タイプR専用のメーターディスプレイは、運転の邪魔にならない配慮をしながら、どういった見え方がベストなのか何度も検討。実際にメーターパネルに試作を貼り付けて走行も繰り返したそうです。

そのメーターディスプレイは、「+R」モードにすると、限界走行に対応する表示になり、中央にシフトポジションが表示され、その上にインジケーターの回転計(高輝度LEDレブインジケーター)が表示されるなど、走行に必要な情報が分かりやすく表示されます。

「COMFORT/SPORT」モードでは、日常使いに配慮しながら気分を盛り上げる赤背景を基本に、伝統の黄色指針、320km/hスケールの速度計を右に、回転計を左に配した2眼表示になります。

ホンダ・シビック・タイプR
ステアリングホイールとメーターディスプレイ

サイドシルに多少注意しながらキャビンに乗り込むと、先述したレッドカーペットと前席はレッドシート、後席は滑りにくい素材のスエード調表皮が目に飛び込んできます(後席の形状自体は、ベースのシビックと同じ)。

ホンダ・シビック・タイプR
鮮やかなレッドシート

フロントシートは、サイドサポートの強化と軽量化が盛り込まれ、シフトやステアリング、ペダル操作性への影響も徹底的に検証されています。見た目はもちろん、サポート性と操作性の両立が図られ、速く走るためのシートになっています。

バックレストは、多面体形状になっていて、身体をしっかりとサポート。サイド部分は、サポート性と操作性の両立が図られた形状になっています。さらに、より鮮烈な赤になるとともに、シート表皮にハニカムパーフォレーションが採用され、高密着エリアの通気性が確保されています。

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後席は形状自体はシビックと同じ

前席の乗降時は、サイドの高さとサイドシルスポイラーにより多少気を使うものの、毎日乗るスポーツカーでもあるタイプRらしく、十分に実用的な乗降性となっています。

加飾では、センターコンソールにアルミが配され、ドライバーの視界を妨げないよう、助手席前にタイプR専用のバッジ(シリアルナンバープレート)が配置されています。さらに、インパネには反射を抑えた偏向ガンメタリック塗装も施されています。

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レッドカーペットが印象的

●先代の160PS/Lを超える「究極のVTECターボエンジン」を積む

「FF最速」と圧倒的なドライビングプレジャーを目指したというダイナミクス性能では、最高出力などのスペックは現時点では明らかにされていないものの、先代の160PS/Lを超えるスペックが追求され、高出力だけでなく、高レスポンス、高回転というホンダらしいパワーユニットになるそう。

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究極のVTECターボエンジンを標榜する

ターボ翼の外形の最適化や回転イナーシャ(慣性モーメント)の抑制などにより「究極のVTECターボエンジン」を標榜。パワーウエイトレシオ、最高速度も先代から引き上げられます。

ホンダ・シビック・タイプR
進化した6MTを採用

パワートレーンでは、唯一のトランスミッションであるMTへのこだわりも貫かれていて、容量アップ、ショートストローク化、ブリッピングの性能進化を含めたレブマッチシフトの採用などにより「世界一のシフトフィール」を目指したそう。

軽量化されたフライホイールをはじめ、ブリッピング性能は先代よりも10%向上し、2速から1速へのシフトダウン時の自動ブリッピングも加わります。

走りを左右するボディは、軽量化と高剛性化を突き詰め、新世代プラットフォームとボディ剛性の進化により、リヤのねじり剛性は15%向上。樹脂製テールゲートで約20%の軽量化を果たし、構造用接着剤の長さは、先代比3.8倍まで長くなっています。

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ドライブモード用スイッチ

速く走るために欠かせない空力アイテムとして、フロントフード、フロントバンパー&アンダーカバー、リヤスポイラー、リヤディフューザーなどがあり、フロントリフトとリヤリフト係数の削減、ダウンフォースの前後バランスも図られています。シャーシは、ハイパワーエンジンに対応し、フロントサスペンションの技術進化、リヤサスペンションのマルチリンク化などが盛り込まれているそう。

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新型タイプRのエクステリア

265幅タイヤに対応し、サスペンションジオメトリーの最適化、剛性最適化(キャンバー剛性は先代から16%向上)などが盛り込まれています。

ドライブモードには、「INDIVIDUAL」が加わり、「COMFORT」「SPORT」「+R」の4つから選択できます。「INDIVIDUAL」では、エンジン、ステアリング、サスペンション、エンジンサウンド、レブマッチ、メーターの6項目を好みに応じて上記のモードから個別に選択できます。

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走行モード一覧

●自分の走りを振り返ることができるデータロガーアプリ「Honda LogR」にも対応

新型タイプRでは、データロガーアプリの「Honda LogR」への対応もトピックスです。「パフォーマンスモニター機能(リアルタイム車両情報)」「ステアリング(ランク&アドバイス)機能」、分かち合う喜びとして「コネクティッド機能進化」などが用意され、専用アプリで自分の走りを確認できます。

ホンダ・シビック・タイプR
新型シビック・タイプRの顔つき

そのほか、新型タイプRが掲げる究極の「Ultimate SPORT」にふさわしい純正アクセサリーがホンダアクセスから発売されます。タイプR専用のテールゲートスポイラーは、ドライカーボンによる軽量化、実効空力デバイスの採用、ウィングとエンドプレートの独立デザインにより見た目と空力の向上に寄与。

ホンダ・シビック・タイプR
ラゲッジはベースのシビックと同じ

インテリアには、赤いシフトノブ、カーボンのインテリアパネル、同じくカーボンのドアパネル部、ドアを開けると点灯するパターンプロジェクター(純正初の2色点灯)、サイドステップガーニッシュなどが設定される予定になっています。

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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