ナンバープレートを盗まれた!盗難された場合の再発行手続きを調べてみた

■まさかナンバープレートが!!と思うことなかれ!

●件数が増加するナンバープレート盗難への対策とは?

大昔の実話ですが、友人のエアロ付きフロントバンパーがナンバープレートごと盗難にあったことがありました。もちろん警察に被害届を出したのですが、その後が大変でした。フロントバンパーがなしの状態で走っている(当時はフロントナンバーの装着はゼッタイではなかった)と、毎回警察に止められ、リヤのナンバーから被害届が出ている車両に乗っている判断され、思い切り犯人扱いの待遇で職務質問されたのです。

そんな昔話はともかく、2021年の犯罪統計資料によると、乗り物全体の盗難件数は11万9339件、そのうち自動車の盗難は5182件となっています。1年間に5000台以上のクルマが盗難に遭っていると考えると、その件数が少ないとは思えません。

さらに、大きくは取り上げられませんが、ナンバープレートだけを盗まれるという被害も増えています。注意しなければならないナンバープレート盗難の実態と、不運にも被害に遭ってしまった際の対処法をお伝えしていきます。

●自動車部品盗難の半数以上はナンバープレートという実態

ナンバープレート
近年、盗難被害が増えているのがナンバープレートです。

ニュースで「ナンバープレート盗難がありました」と報じられる機会は少ないですが、盗難事案は年々増えているのをご存知でしょうか。自動車部品に関する盗難の、約半数はナンバープレート盗難が占めています。

普通は「ナンバープレートなど盗んでどうするんだ」と思ってしまいますが、悪いことを考える人にとっては、様々な使い道があります。

まずは窃盗団。クルマを盗んだ際に、ナンバープレートを付け替えます。すると、被害者から通報されたナンバープレートとは別のプレートを付けたクルマが簡単に出来上がり、逃走の手助けとなるのです。

現在、道路上のいたるところに、車両の前面ナンバープレートを撮影するNシステムやコンビニエンスストア、商業ビルなどに代表される監視カメラが張り巡らされている日本ですが、ナンバープレートを取り換えることで、このような追跡網をかいくぐりながら、時間を稼ぐことができます。

オークション
今やネットオークションで売られるのはクルマ本体だけではありません。希少性の高いナンバープレートは、オークション転売のために狙われる可能性も高まります。(画像はイメージです)

また、ナンバープレートを転売する動きも出てきました。外国向けの通販サイトやオークションサイトを覗いてみると、日本のクルマに取り付けてあったであろうナンバープレートが、数多く販売・出品されています。

ゾロ目のナンバープレートなどは人気の商品で、モノによっては10万円を超える価格で売買されているケースも。

ナンバープレートは、使用しなくなれば基本的に陸運局へ返納するものなので手元には残らないものです。2017年から、ナンバープレートの記念所蔵ができるようになりましたが、この場合はプレート表面に直径4cm以上の穴をあける必要があります。

海外のオークションサイトなどに出品されている日本のナンバープレートは、穴あけなどの処置が行われておらず、正しく入手したものではないことが明らかです。ナンバープレートは盗難被害に遭い、そのものが転売されてしまう可能性もあるということを、頭に入れておかなければならないでしょう。

●一番の対策はロックボルト

ナンバーロックボルト
ナンバーロックボルトには、通常のドライバーやレンチでは取り外せない特殊な加工が施されています。

盗難被害は人気のないところ、簡単に一人だけになれる場所で発生します。まずはクルマ自体を、簡単に窃盗ができる場所に置かないことが大切です。加えて、市販されているナンバープレート用の盗難防止ボルトに交換することで、盗難のリスクを大きく減らすことができるでしょう。

価格は数千円程度で、特殊な工具が無いとボルトを回せないような細工が施されています。自動車ディーラーでは純正ディーラーオプションとして用意しているところが多く、メーカーによっては、ボルトの頭にメーカーロゴが付いているデザイン性の高いものもあります。

トヨタ純正ロックボルト
メーカーロゴの入ったデザイン性の高いロックボルトも人気です。

ロックボルト装着は、簡単にできる盗難対策です。今すぐ行うことが重要となります。

●もしもナンバープレートを盗まれてしまったら

ナンバープレートが無くなったクルマでは、公道を走行することができません。そのクルマは使用できませんので、絶対に乗らないでください。そのまま走ると、運転者が交通違反金を支払わなければならなくなります。

まずは、最寄りの警察署へ連絡しましょう。ここでナンバープレートの再発行に必要な「盗難届受理番号」をもらいます。簡単に言うと被害届です。ナンバープレートが盗難に遭い、手元に無いということの証明書にもなります。

陸運局
ナンバープレートの再発行から封印まで、足を運ぶ必要があるのが陸運局です。

次に、陸運局へ再発行手続きに向かうのですが、すでにクルマを使えなくなって不便をしていることと思います。陸運局へもクルマで行く必要がある方も多いと思いますので、仮ナンバーを発行してもらいましょう。

仮ナンバーは、お住まいの地域の市町村役場で取得することができます。申請書、車検証、自賠責保険証、免許証、印鑑と取得費用(700円~1000円前後)を用意して、役所で手続きをすれば発行されるものです。仮ナンバーには有効期限があるので長くは使えません。すぐにナンバーの再交付手続きを行い、仮ナンバーは返却します。

陸運局で行うのがナンバープレートの再発行(再交付)手続きです。必要なものは、車検証、印鑑、そして理由書です。理由書は陸運局でももらえますが、インターネットからもダウンロードが可能となっています。

理由書へは、車検証に記載されている車体番号、車台番号、盗難された日、盗難届を出した日、届を出した警察署、先ほど警察署でもらった盗難届受理番号を記載します。再発行費用は1,500円~2,000円程度です。以前と同一のナンバーは取得できないのが一般的ですので、別ナンバーの候補を考えておきましょう。

再発行には1週間ほどかかります。その間はクルマを使うことはできませんので注意してください。新しいナンバーが発行されたら、再度役所で仮ナンバー申請をし、仮ナンバーを付けて陸運局へ向かいます。

再発行されたナンバーを取り付け、車両後方に封印をしてもらえば手続きは完了です。

何度も役所や陸運局へ足を運び、とても面倒な作業になるので、まずは盗難されないような予防策が重要です。

不運にも盗難されてしまい、この手続きを行わなければならない際には、余計に手数料がかかりますが、行政書士へ再発行の代行を頼むのも良いでしょう。行政書士によっては、陸運局の代わりに封印をする資格を持っている人もいます。こうした行政書士に代行依頼することで、クルマは自宅に置いたまま、再発行や封印を自宅で行うことも可能です。

陸運局の周辺に、クルマ関係に強い行政書士事務所が多くありますので、困った時には調べてみてください。

ナンバープレートの盗難対策は、いまや必須です。早めに対処し、犯罪被害に遭わないよう自己防衛しましょう。

(文:佐々木 亘

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この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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