軽自動車に無いのはなぜ?クルマのナンバープレート「封印」の豆知識

■封印のあり無しが、クルマの意味を大きく変える? 封印の役割を再確認

軽自動車と自動車の違いはどこにあるでしょうか? 「軽」が付くと、クルマの大きさが小さくなったり、ナンバープレートが黄色になったりしますが、ナンバープレートにある、封印の有無で見分けることも可能です。軽自動車には無くて、自動車には存在する封印は、どのような意味を持つのでしょう。

今回は、目立たないけれど、とても重要な「封印」について解説していきます。

●国への登録か、市町村への届け出か

封印
白ナンバー(緑ナンバー)のクルマにある封印。クルマが「登録」された証です。

封印は、自動車の後方にあるナンバープレート左上のボルト部分に取り付けられている、アルミ製のキャップ状のものを指します。

これは、自動車のナンバープレートを発行する運輸局によって、正式に「登録」が行われ、必要な検査を受けた後にナンバープレートを取得したという証です。そのため国への「登録」ではなく、市町村への「届出」が行われる軽自動車には、封印がありません。

軽ナンバー
軽自動車のナンバープレートには封印がありません。届け出と登録という制度の違いが表れています

封印の役割は様々ありますが、ナンバープレートの取り外しを防止し、車両盗難を防ぐというのが主な役割です。封印の無い状態で自動車を走行させるのは違法行為となります。

事故や修理などで壊れてしまった場合には、速やかに登録を受けた運輸支局で再封印の手続きが必要です。

封印には、東京なら「東」、大阪なら「大」というように、各運輸支局の刻印が入ります。ナンバープレートの管轄地域(世田谷、品川、なにわ、仙台など)と、封印の刻印は一致していることが求められ、再封印の手続きを行える場所や地域は限定されているということを覚えておきましょう。

●封印の手続きが大きく変わる? 丁種封印の再々委託とは

先にも書いた通り、新規取得時の封印から再封印まで封印作業を行えるのは、管轄地域の運輸支局(または運輸支局から許可を得ている管轄内の事業所等)です。札幌ナンバーなら札幌の、仙台ナンバーなら仙台の運輸支局へクルマを持ち込まなければ、封印してもらえません。

たとえば、東京に一時的に住んでいるが住民票上の住所は京都にあるユーザーが、東京の自動車販売店でクルマを購入した場合、購入者の登録住所である京都で登録を行い、京都ナンバーのクルマが誕生することになります。

この時、新車をキャリアカーなどで京都へ運び、京都の運輸支局で登録・封印を行ってから、東京にクルマを戻し、東京で納車をするという流れが基本です。販売店では「県外登録」といった名前で呼ばれている作業になり、販売店が属する都道府県以外のユーザーへ販売するのは、非常に手がかかり、面倒な作業が重なります。

このような手間のかかる管轄域外の封印はもちろん、汚破損によって再封印をしなければならないが、平日にしか空いていない運輸支局で手続きが出来ないという方にも使ってほしいのが、行政書士を介した出張封印です。

これは「丁種封印」と呼ばれ、自動車業務に精通した行政書士の中でも、特別な研修を受け、一定要件を満たした行政書士が、運輸局へクルマを持ち込むことなく、自宅などで封印を取り付けられる制度になります。

この制度を使うことで、再封印を自宅で行うことができ、さらに後日封印も可能なため、土日祝日でも封印作業が可能になります。

対応できる行政書士事務所は限られていますが、制限が多く、非常に手間がかかる封印手続きを簡単にできる制度です。個人売買や、希望ナンバー(図柄入りナンバー)への変更、ナンバーの再交付など、活用できる場面は多く、知っておくと非常に便利な仕組みですね。

●封印はアルミ製、取り外しにはマイナスドライバーを用意

最後に、ナンバー変更などの際に必要な、封印の外し方について知っておきましょう。封印は土台となる部分と、その上に被せられる封緘という2つのパーツで成り立っています。

ナンバーを取り付け、封印をする際の取り付け手順は

  1. ナンバーを置き、所定のねじ穴に合わせる
  2. 向かって右側のねじ穴へネジを入れ、ナンバー右側を固定する
  3. 左側のねじ穴へ、封印の土台を置き、その上からネジを入れて締め固定する
  4. 土台の上から封緘をはめ込む

となります。取り外しはこの逆を行うわけですが、問題となるのは封緘をどのようにして外すかという点です。

封印の外し方
薄いアルミでできている封緘。外すときには穴を開けめくり上げます。

封緘は1円玉より薄い厚さのアルミでできています。鋭利なもので負荷を掛ければ、穴が開き、そこから破壊することが可能です。細めのマイナスドライバーなどで、封緘の上を押し、小さな穴が開いたところへマイナスドライバーを差し込んで、テコの原理で持ち上げると、封緘はゆっくりとめくれあがって外すことができるでしょう。

個人使用をしていて、封緘を壊す機会は少ないですが、引っ越しによる住所変更でナンバーの再交付を受ける場合や、希望ナンバーへの変更などで、ナンバープレートを取り外さなければならない状況では必須のスキルになるので、この機会に覚えておくと便利です。

戦後、クルマが大きく普及し、登録制度が敷かれるようになったことと、封印の存在は強く関係しています。軽自動車と自動車は同じクルマですが、法的な扱い(資産としての考え方)が大きく違うものなのです。軽自動車は動産に扱いが近く、自動車は不動産と扱いが似ています。

ナンバーの左上で、静かに役割を果たしている封印は、日本の自動車制度を支える、重要なモノなのです。

(文:佐々木 亘

この記事の著者

佐々木亘

佐々木亘 近影
大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだったクルマの世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。クルマにまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。