キャッチコピーは「硬派 電趣」。三菱エアトレックが電気自動車になって帰ってきた

■広州モーターショーで新型『エアトレック』を世界初披露

●価格帯は21~24万元。中国向け電動SUV

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現地法人のホームページによるとボディサイズは全長4630mm・全幅1920mm・全高1728mm・ホイールベース2830mm

三菱自動車工業の中国における生産・販売合弁会社「広汽三菱汽車有限公司」が、広州モーターショーにおいてSUVタイプの新型電気自動車SUV『エアトレック』を世界初披露しました。

あくまで参考出品ということですが、すでに広汽三菱のホームページでは、『硬派 電趣』というキャッチコピーと共に、21~24万元(およそ375~428万円)という価格帯も発表されています。市販目前の新型電気自動車というわけです。

エアトレックといえば、2000年代に日本でも販売されていたアウトランダーの前身といえるモデルで使われていた名前ですが、スポーティなSUVというキャラクターは、復活したモデルでも健在。全長4630mmとコンパクトながら、非常にスタンスの効いたシルエットとなっています。このあたり全幅1920mmというワイドボディが効いているのでしょう。

スタイリングのコンセプトは「“e”-cruising SUV」。“Electric(電気自動車の「電気」)” “Expanding(カーライフの「拡張」)” “Expressive(三菱自動車らしさの「表現」)”という3つの”E”をキーワードにしているということです。

●液冷式バッテリーの総電力量は69.9kWh

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テールゲートの六角形モチーフは三菱車に共通のデザインアイデンティティ

日本ではアウトランダーPHEVをフルモデルチェンジするなどプラグインハイブリッドを主力に置いている印象もありますが、中国市場では電気自動車が次世代の中心になりますので、こうしたBEV(バッテリーEV)が必要というわけです。

BEVで気になるのは一充電航続距離ですが、中国モードで520kmと発表されています。バッテリー総電力量は70kWh(現地法人ホームページでは69.9kWhと表示)もあり、さらに液冷によって温度管理をしているというのは、最新のトレンドに則ったメカニズムといえます。

現地での急速充電を前提に、30%から80%までの充電を43分で完了させるということも発表されています。

なお、バッテリーは床下に配置されるため重心は低く、前後重量配分は50:50になっているというのは、エアトレックという名前にふさわしいハンドリングを期待させる部分ではないでしょうか。

●モータースペックは224馬力・350Nm

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70kWhの駆動用バッテリーを搭載、最大約520km(中国CLTC基準)の航続距離を誇る。前後重量配分は50:50に仕上がる

走りについても期待できます。発表されている透視図からするとフロントを駆動するモーターのスペックは、最高出力224馬力・最大トルク350Nmと発表されています。ワンペダル操作も採用され、右足とモーターが直結したかのような加減速が期待されます。

先進運転支援システムについては自動運転レベル2相当の追従クルーズコントロールと車線維持が採用されているということですし、フル液晶メーターも採用しているといいますから、ドライバーはかなり未来的な運転感覚を味わうことができそうです。

ボディについてもドアハンドルがフラットに仕上げてあるなど空力に配慮していることがディテールからもわかります。三菱自動車のダイナミックシールドと空力性能がバランされたスタイリングも非常にバランスよく仕上がっています。

航続距離も十分な性能ですから、日本のユーザーからも「欲しい!」という声が多数出てくること間違いありません。

自動車コラムニスト・山本晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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