効果絶大!視界を邪魔するダッシュボードの反射は黒い布1枚でスッキリできる!

■くもりや汚れ以外にドライバーを惑わす、もうひとつの視界対策を考えてみよう

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あなたのクルマはこんな風になりませんか?

昔のクルマ乗りは、長距離の移動をするとき、例えばドライブ計画は時間帯をも考慮して立てたといいます。

東から西に移動するときは朝早く出発する。逆に西から東に向かうときは夜以降を選ぶといった具合です。太陽は東から昇り、西に沈んでゆく・・・眩しい思いをしながら太陽に向かって走ることのないようにというのが理由です。まあ、それとて多忙な中、時間を縫っての仕事によるクルマ移動なら、そうともいってはいられないのですが・・・

みなさん、ふだんのクルマ使いの中で、太陽光のいたずらに惑わされることはないでしょうか。眩しさ対策の話ではありません。眩しかったらサンバイザーを降ろしましょう。そうではなく、晴れの日のフロント視界を邪魔する反射の話です。

●誰もが経験しているはずの光のいたずら

クルマはドライバーの自由気ままにあちらこちらを走れるため、太陽と向かい合わせに走るという事態に出くわすことも少なくありません。

太陽光が眩しいのは困りますが、このときはサングラスをかけるなりサンバイザーを降ろすなりすれば、まあごまかしが効きます(このサンバイザーも昔から姿が変わらず、液晶を透明な軟質部材で包み、電圧変化で液晶濃度を変化させるなどできないのかな・・・)。問題は、太陽光を受けた計器盤上面の、フロントガラスへの映り込み。これが運転視界を邪魔して困るのです。ね、思い当たるでしょ?

teana 3rd instrument panel
いまは販売されていない3代目ティアナの、ベージュ内装車の計器盤。上面向こう側のみ黒くなっている。
teana 3rd interior
反射防止の考えは、ドアサイドには採り入れられなかったようだ

みなさん、クルマのカタログかサイトでクルマの内装紹介写真を見てみてください。どの車種でもいいのですが、明るい内装色のやつ。少なくとも計器盤の上面の全面、またはフロントガラス寄りの部分は黒または茶色などの濃色系統になっているはずです。

mazda 3
マツダ3の計器盤。基本は白内装だが、計器盤上面向こうのみならず、ドアサイド内張り上部も黒色となっている

気の利いたクルマなら、ドア内張り上部も黒くなっていると思います。これは光を吸収する黒を上面に配して反射を抑えるためです。黒は白に対して光を吸収する色なのです。

ただしこれもバラツキがあります。明るめの色はもちろんのこと、グレー、そして例え黒であろうと、計器盤の材質や表面処理しだいでは、反射は避けられません。昨今のクルマはよほど値段の高いクルマでもない限り、ダッシュボード上部の表面を指先で押しても爪痕が残らないカチカチのプラスチックになってしまいました。このような材質だと表面のツヤが災いし、晴れの日にはガラスに反射することになります。では指で押すと引っ込むようなソフトパッドで覆われている高いクルマともなると、コストがかけられるぶん、表面処理も怠らないのか(お断りしておきますが、パッドであるかどうかと表面処理有無は無関係です。)、つや消し処理を与えているようで、見ても表面はボンヤリしており、ガラスへの反射は抑えられています。

しかし、そしていくらツヤ消し処理が施されているといっても、ガラス反射を完全に防止するのは不可能なようで、高いクルマでもよく見るとツヤのない計器盤模様がガラスに映っているものです。そしてその映り込み度合いは、フロントガラスの傾斜角や計器盤奥行き寸法との兼ね合いでいくらでも変わってくるものでもあります。

●意外と簡単にできる反射防止対策

この事象に困っているひとは多いと思います。この事象に気づかず、「ガラスはきれいにしているのに、なーんか晴れの日は視界が白けるんだよなあ」と思っている方もいることでしょう。

ここで筆者が考えた対策をお教えしましょう。

「黒は光を吸収する」と書きました。そして「黒くても完全には反射を防げない」とも。だったらいっそのことダッシュボード上面を、黒くしてしまいましょう。見た目が変わってしまうので抵抗はあると思いますが、それにがまんできるならまるまる黒い布で覆いつくしてしまうのです。
ここでは簡易的に実験してみます。

実験するには本当はフェルトのマフラーがいいのですが、しまっておいたはずなのに見当たらなくなっていたため、乱暴ですが、今回はユニクロの黒のセーターを使うことにします。撮影の間も太陽は刻一刻と動くため、いや、地球は自転しているため、写真によってクルマの向きが変わって景色が変わっている点はご容赦ください。

glass reflection before
話をわかりやすくするため、車外から撮った。旧ジムニーの場合、運転席からの映り込みの影響が少ないのはラッキーだった。この状態でセーターを置いてみよう

使うクルマは毎度おなじみ筆者の旧ジムニーシエラ。
晴れの日にクルマを太陽に向けたとき、フロントガラスにダッシュボード上面が反射します(写真は都合により車外から撮っていますが、旧シエラは運転席から見てもこれほどにはなりません。ただし、このような状態になるクルマも少なくありません。)。

glass reflection after
ほい、このとおり。ガラスを磨いたがごとくクリアな視界が得られる

ここに黒い布(ここでは黒セーター)を載せる。するとほら! 正確には反射率の低い黒布がガラスに映っていはいるのですが、ガラスのほうも鏡よりはるかに反射率が低いため、結果的には映り込みがなくなったように見えるようになり、スッキリした視界が得られるようになります。

tiida reflection 2
過去にある雑誌のページのために同じ実験をティーダで試している。計器盤上面のデフロスターや室内向け吹出口が思いっきり映っていることがわかるだろう

実はこれは筆者が前に使っていた日産ティーダで行っていたことです。ベージュ内装で選んだティーダはダッシュボード上面がこげ茶色だったのですが、表面にツヤのある部材だったため、晴れの日には計器盤上面がまるまるガラスに映り込んで深刻な状況でした。やけくそでガラス側に何らかの処理をしてやろうかとも考えたのですが、撥水処理のようなものならともかく、ガラスの内側に反射防止などという処理が素人技でできるはずがありません。

tiida
というわけで、黒い布を用意し、接着剤でぴったり貼り付けた。助手席エアバッグ部分は切込みを入れ、万一のときも支障がないようにしてある。なかなかの出来映えでしょ!
tiida reflection 1
黒い布を載せたらこのとおり

「いやいや、そんなやっかいなことをしなくても、何か簡単な方法を見落としているような気がする」と、腕を組み組み考えた結果、フェルトのマフラーをただふわりと載せてみたらどうだろうと、ちょうどその頃いた編集部でのページ作りとからめて試してみたら想像以上の効果が得られたため、後日裁縫用具屋さんで黒い布を必要面積ぶんだけ買い込み、一部計器盤を分解しながら布用接着剤で貼り付けました。

driver's seat before
太陽を正面にしたときの映り込み。フロントガラスにデフロスター吹出口が映り込んでいる
driver's seat after
黒セーターを置いたとき。吹出口が消えている

いま使用中の旧ジムニーシエラは黒内装のせいか、安いプラスチック部材の計器盤の割にはティーダほど困ったさんなことにはなっていないので特に何の処理もしないつもりでいますが、いまお乗りのクルマでガラスの映り込みに辟易しているかたは、試してみてください。

difference
セーターを置いたときの境目のアップ。映り込みの有無がわかるだろうか

計器盤のデザインにパーツの分割線がいい具合に走っているクルマなら好都合。器用な方は分解し、分割部分やパーツ端部に布をまわりこませるなどするときれいに仕上がります。

ただし、市販の布はクルマ用には作られてはいないため、長年の温度変化や直射日光の影響で色がさめます。色落ち防止のスプレーを用意し、あらかじめ充分に吹付け、乾燥させてから貼り付けると長期間効果を持続させることができます。

●対策を施す際の、大事な大事な注意点!

もうひとつ大事な注意点。いまのクルマは助手席エアバッグがあります。例外もありますが、エアバッグの分割線を覆わないように注意してください。助手席エアバッグ上までガッチリ貼り付けてしまうと万一のとき、正しく膨張しなくなってしまうことが考えられます。エアバッグの膨張を妨げないよう、エアバッグが飛び出す分割線に合わせて布に切り込みを入れ、この部分だけは接着せず、フリーにしておいてください。

passenger side before
同じく助手席側を、こんどは運転席から撮影。車外から見たときほどではないが、いくらか映り込みがある。黒のセーターを置くと・・・
passenger side after
はい、スッキリ!

まあ、「何もそこまでしなくても」という方もいらっしゃると思いますが、その場合はフェルトの布やマフラーを計器盤上面に載せるだけでも充分な映り込み防止効果が得られます。試してみてください。

(文/写真:山口尚志