累計出荷数200万台以上を誇るヤマハ発動機の「パフォーマンスダンパー」の効果と、今後のさらなる進化の可能性

■タイヤの摩耗やクルマ酔いも減らす!?「パフォーマンスダンパー」の実力

累計出荷数200万本以上を誇るヤマハ発動機の「パフォーマンスダンパー」は、四輪車、二輪車ともに数多くのモデルに搭載されています。

乗り心地の向上はもちろん、スムーズなコーナリング、タイヤ摩耗の抑制にも効果が期待できます。「パフォーマンスダンパー」は、走行中に発生するごくわずかな車体の変形や不快なノイズ、振動などを効果的に吸収する制振装置です。

ヤマハ発動機 パフォーマンスダンパー
二輪車に装着されているヤマハ発動機の「パフォーマンスダンパー」

先述したように、すでに四輪車用と二輪車用合わせて累計200万本以上の出荷実績を誇り、近年では需要の伸びをさらに加速させているそうです。

同社は、「パフォーマンスダンパー」の効果について、ホームページで披露しています。さらに、AM開発統括部の飯倉雅彦さんは、その付加価値について、「地上を移動する乗りものでしたら、どんなものに装着しても上質な付加価値を与えられる可能性があると考えています。量産車(四輪車)に初めて搭載されてからすでに17年が経ちますが、日ごとに進化していますし、まだまだ大きな伸びしろを持った技術領域だと感じています」と、まだ進化を続けるパフォーマンスダンパーについて触れています。

ヤマハ発動機 パフォーマンスダンパー
ヤマハ発動機のAM開発統括部の飯倉雅彦さん

飯倉雅彦さんは、さらに「二輪車の乗り心地にも効果が認められて、二輪車に適合する製品を開発したのが約10年前です。当時は、自社製品のごく限られたモデルだけが対象でしたが、その後、大きさや重量、外観品質、もちろん性能も進化させて、現在では他社製品を含むたくさんの二輪車ユーザーにその効果を実感していただいています」と、二輪車でも普及してきた経緯をコメントしています。

「パフォーマンスダンパー」を装着するとなぜ乗り心地が良くなるのでしょうか? そのキーワードは「粘性」にあります。

同装備、技術のタネが萌芽したのは20年ほど前だそうです。四輪車用の高性能エンジンを受け止める車体を研究する過程で「走行フィーリングを高めるためには、剛性より、じつは粘性が大切なのではないか?」という仮説が生まれたことが契機だったそう。

「パフォーマンスダンパー」の効果は、「走りの上質感」という言葉で表すことができます。コーナリングのスムーズ化、段差などでの衝撃吸収、走行ノイズの低減、揺れの抑制、ドア開閉音やオーディオの音質向上、さらにはタイヤの摩耗量の低減などにも効果を発揮するそうです。

同氏は、「たとえば、揺れが少なくなることで、クルマ酔いが改善された、という声をよくいただきます。これまでには、つづら折りの山道が続く観光地のタクシーに採用された事例などもあり、同技術が貢献できる領域はまだまだ広がっていくと考えています」と続けます。

ヤマハ発動機
「αlive PD(パフォーマンスダンパー」

「お子さまやペットと一緒のロングドライブをより楽しく、快適にする。より幅広い皆さんにその効果を提供してくために、そんな提案もしていきたいと思い描いています」とさらなる展開も明かしています。

「パフォーマンスダンパー」の技術の核は、ミクロン単位の制御と細やかな設定を可能とする減衰幅。飯倉さんも「走りの上質感を追い求めてきた当社ならではの技術」とパフォーマンスダンパーの成果とさらなる進化に注目です。

塚田 勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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