次世代のボルボEVからは、動物由来のレザーがなくなる!?

■リサイクル素材、持続可能な森林から採取された生物由来の素材などを採用

持続可能な開発目標である「SDGs」には、17の目標のうち、陸上の生態系保護もあります。近年、クルマの素材(内装材)などには、本杢の代わりに木目調を使ったり、リサイクル素材のプラスチックやレザー調素材を採用したりするのが当たり前になっています。

ボルボ C40リチャージ
ボルボC40(リチャージ)のインパネ

一方で、高級車では本革シートなどは定番になっています。そんな中、ボルボは、EVで動物福祉のための倫理的な立場を取ると表明しました。

バッテリーEVの新型「C40 Recharge」を皮切りに、ボルボのすべての新型EVにレザー(本革)を使わないというものです。ボルボは、今後数年間で、新しいEVシリーズを立ち上げ、2030年までにはEVのみになり、そのすべてでレザーフリーを実現することを目指しています。

ボルボ C40 リチャージ
レザーフリー化されるボルボC40(リチャージ)のシートクッション

今回、アナウンスされた完全なレザーフリー化の一環として、現在、自動車業界で広く使われている多くの素材について、同社は、高品質で持続可能な調達先を見つけることに積極的に推進しています。

ボルボ・カーズは、2040年までに完全な循環型ビジネスになることを目指し、2025年までにボルボの新車に使用される素材の25%をリサイクルおよびバイオベースの材料で構成することを目標としています。

ボルボC40リチャージ
ボルボはEVから持続可能な素材にスイッチする

また、気候変動対策の一環として、2025年までに、材料メーカーを含むすべてのサプライヤーが、100%再生可能エネルギーを使用することを目標に掲げています。レザーを使わないインテリアの採用は、森林破壊をはじめとする畜産による環境への悪影響への懸念からも推進されているものです。

人による活動において、世界の温室効果ガス排出量の約14%を家畜が占めているといわれており、その大部分は畜産によるものだそう。

そこで、ボルボは、革製のインテリアのオプションの代わりに、バイオベースやリサイクルソースから作られた高品質なサステイナブル素材などの代替品を提供するとしています。

たとえば、ボルボにより開発された新しいインテリア素材の「Nordico(ノルディコ)」は、ペットボトルなどのリサイクル素材、スウェーデンやフィンランドの持続可能な森林から採取された生物由来の素材、ワイン産業からリサイクルされたコルクなどを使用したテキスタイルからなります。

高級感あるインテリアがボルボの魅力であり、同ブランドの新しい基準になります。この素材は、ボルボの次世代モデルから採用されます。なお、責任ある調達をしていると認定されたサプライヤーからのウールブレンドのオプションも提供するそう。ボルボは、プラスチック、ゴム、潤滑剤、接着剤などの材料の一部として、あるいは材料の製造や処理におけるプロセスケミカルとして、一般的に使用されている家畜生産からの副産物の使用を減らすことにも取り組んでいます。

ボルボ C40
新世代EV「ボルボC40(リチャージ)」のドアトリム

こうした取り組みは、レザーフリー化への正しい方向の一歩。しかし、それだけでは内装を「ヴィーガン」にすることはできないと考えているそうです。そこで、可能な限りこうした素材を積極的に新しい素材に置き換えることで、動物製品を含む素材の需要を減らすことに貢献し、動物被害をなくすべく、倫理的な立場を取ると表明しています。

塚田 勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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