定番の優雅さとダイナミックさの融合に挑戦する。新型Cクラスセダンの官能的なデザインとは?

■Dセグメントの先頭を走るCクラスのエクステリアデザインを見る

6月29日に発表されたメルセデス・ベンツの新型「Cクラス」。2015年から4年間、輸入車Dセグメントでナンバーワンの販売を記録したヒット作のデザインはどのように進化したのか。

ここでは、セダンのエクステリアについてチェックしてみたいと思います。

Cクラス・メイン
ミニSクラスともいえるダイナミックなスタンス

●基本コンセプトは官能的純粋?

短いオーバーハングに長いホイールベースのダイナミックなボディは、先代比で全長65mm、全幅で10mm拡大されました。モデルチェンジでのサイズアップは珍しくありませんが、今回の場合は「Aクラスセダン」の存在が影響しているように思えます。

何しろ、コンパクトとは銘打っても、Aクラスセダンの全長4549mmは先々代のCクラスに近いサイズ。ですから、新型は「安心して」サイズアップができたのではないでしょうか。

Cクラス・Aクラス
かつてのCクラスのサイズに近いAクラスセダン

現在のメルセデス・ベンツは「センシュアル・ピュリティ(官能的純粋)」をデザインの基本思想に掲げています。

定番セダンではすでに「Sクラス」がこの思想でモデルチェンジしていますが、新型はまさにミニSクラス。そこで、今回はこのS、C、Aの各クラスとの比較で検証をしてみます。

まずはフロントから。先代より上下に薄くなったランプは、これもSクラスに準じた形状です。ただ、それでもAクラスのように直線的なシャープさはありません。逆に、横長のグリルは大きさ・形状ともAクラスに近く、両者の中間的な表情を見せます。

Cクラス・フロント
薄くなったランプと大開口のアンダーグリルが特徴

アンダーグリルは左右の大きな開口部が特徴ですが、これはS、E、Cセダンに共通しています。なぜこんな曲面の「丸い穴」を?と思えますが、よく見ると定番セダンとしての落ち着きや優雅さが感じられます。

一方で、Aクラスや他のクーペシリーズはよりシャープな造形となっており、明快に作り分けされた造形であることがわかります。

フロントではボンネットにも違いが見られ、よりフラットなAセダンに対し、新型Cでは内側に「パワードーム」と呼ばれる大きな膨らみが2本設けられています。これもAクラスとは違う意味での「力強さ」の表現と言えそうです。

Cクラス・ボンネット
中央の「パワードーム」が特徴のボンネット

●シンプルでも退屈ではないデザインとは?

サイドに目を移すと、ウインドウ下端のすぐ下に「キャットウォークライン」と呼ばれるキャラクターラインが前後を貫いています。これにより非常に広いドア面が現れ、その豊かな面変化に上級セダンらしさが。

一方、Aセダンではキャラクターラインがより低い位置に引かれ、サイドビューに若々しさが感じられます。

Cクラス・サイド
高い位置のキャラクターラインと張り出したドア面

新型Cの広いドア面は一見優雅ですが、実はかなり強い張り出しを持っていて、しっかりしたショルダー面を作っています。さらにこの膨らみは、これまた意外なほど豊かなリアフェンダーへ滑らかにつながり、サイド面を彩ります。

後ろに回ると、斜めにスパッとカットしたリアエンドは非常に広く、ボリューム感に溢れます。その広いパネルに埋め込まれた三角形の横長ランプもSクラス譲りですが、どこか「CLS」や「CLA」にも似た表現が、現行メルセデスセダンのモダンさを演出しています。

Cクラス・フェンダー
意外に張り出したリアフェンダーは滑らか

「センシュアル・ピュリティ」では、余計なラインやエッジを大幅に減らし、シンプルな造形を標榜しています。ただ、要素を減らしながら「何かが足りない」「退屈だ」と思わせないデザインは難しく、さらに個性まで発揮するとなると尚更です。

その点、メルセデス・ベンツのデザイン責任者は、彫刻的な面の陰影で大きなボディを「魅せる」ノウハウを熟知しているようです。

同じドイツプレミアム勢でも、より要素を増やす方向に進むメーカーがある中で、この「官能的純粋」はカーデザインとして説得力を持った思想と言えそうです。

Cクラス・リア
Sクラス譲りのリアエンド

(すぎもと たかよし)

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