富士山西側の交通の便が向上。静岡と山梨を結ぶ中部横断自動車道が全線開通【自動車道新規開通】

■自動車道の開通で観光地を走行していたトラックが減少

2021年8月29日(日)、静岡県と山梨県を繋ぐ中部横断自動車道(E52)が全線開通しましたので、早速ドライブしてきました。

中部横断自動車道01
全線開通により静岡と山梨が結ばれて、富士山西側の交通の便が大幅に向上。

今回、全面開通した中部横断自動車道は、静岡県新東名高速道路・新清水JCTから山梨県にある中央自動車道・双葉JCTを結ぶ全長74.3kmの自動車専用道路です。

すでにネクスコ中日本が管轄する静岡側の新清水JCT~富沢IC間の20.7kmと山梨県側の双葉JCT~六郷IC間の25.3km、そして、国土交通省の直轄高速区間である六郷IC~下部温泉早川IC間の8.4kmは開通していました。

今回新たに開通したのは、下部温泉早川IC~南部IC間の13.2kmです。ちなみに、六郷IC~南部IC間は無料で通行できます。

中部横断自動車道03
現在は片側1車線だが、将来は2車線で運用予定。
中部横断自動車道04
追い越し車線はほとんど設定されていなかった。

中部横断自動車道は富士川沿いの国道52号線と並行しており、バイパス的な道路となっています。

この自動車道の整備前は、山梨県庁から静岡県庁までの移動時間に約165分掛かっていましたが、今回の開通により約95分となり、約70分短縮。これにより物流が活発となることが期待されています。

中部横断自動車道09
現在は緑の葉が茂っているが、この木が樹齢400年のしだれ桜の木だ。

中部横断自動車道の沿線には樹齢400年の身延山久遠寺のしだれ桜や、日本の名湯百選にも選ばれ、武田信玄の隠し湯と言われている下部温泉もあります。

また、富士川の渓流釣り、あじさい寺としてピーク時には約6万本の紫陽花が咲く下山妙見寺などの観光スポットもいっぱいです。アニメ「ゆるキャン△」の第8話の舞台が身延駅周辺となっており、登場したモデルとなった土地が点在していて、ファンが聖地巡礼を行っています。

中部横断自動車道07
「ゆるキャン△」の第8話に出てきたシーンと同じ角度で身延駅を撮影。
中部横断自動車道08
身延駅周辺はなまこ壁のレトロな建物が多い。

これまでは鉄道もしくはクルマならば、国道52号線でのアクセスしかできないエリアでしたが、この中部横断自動車道の開通によって非常にアクセスしやすくなりました。

中部横断自動車道06
シーズンには多くの釣り人が来て賑わう富士川。
中部横断自動車道10
下部温泉会館は日帰り入浴をゆっくり楽しめる休養施設。ひと風呂コースは大人500円(町民は400円)

身延山ICで降りると、約5分ほどで身延駅に到着。駅前のおみやげ屋さんで話を聞くと、中部横断自動車道が開通する前は、駅前の道を大きなダンプやトラックが頻繁に走行して、非常にうるさかったそうです。

しかし開通後はほとんど通らなくなり、静かになったと話してくれました。

中部横断自動車道05
4999mで中部横断自動車道最長の樽峠トンネル。

今回開通した区間を含めた富沢IC~六郷IC間の28.3kmは最高速度80km/h、当面は片側1車線の走行となります。また、この区間は28.3kmのうち約75%がトンネルや橋梁となっています。

走行した日は最高時速が70km/h制限となっていました。山間のルートのためトンネルは非常に多く、山梨県と静岡県の県境となる樽峠トンネルは総全長4999mと、中部横断自動車道最長となります。

中部横断自動車道11
増穂パーキングエリアは上下線に設置されている。

中部横断自動車道には、休憩施設として上下線に増穂パーキングエリアの1ヵ所しか設置されていません。施設としてはかなりコンパクトです。しかし道の駅富士川が隣接しており、トイレだけでなく、食事もすることができます。また、おみやげや地元の野菜や果物も販売さてており、山梨名物のシャインマスカットも手頃な値段で買うことができました。

中部横断自動車道12
増穂PAに隣接する道の駅富士川。

これまで交通の便があまり良くなく、身延山のしだれ桜を見に行く機会を逸していましたが、中部横断自動車道によって非常に便利になったので、今度は桜の季節に行ってみたいと思います。

(文・撮影:萩原 文博

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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