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■新型フォレスターに込められたSUBARUデザイン最新フィロソフィ「BOLDER」
2021年8月19日、スバルのフォレスターが大幅改良されました。今回はデザインの変更にも力が注がれているとのこと、さっそくその内容をチェックしつつ、最新のスバルデザインを検証してみたいと思います。
●「BOLDER」は3つの表現要素で構成
スバルデザインといえば「DYNAMIC×SOLID」が有名です。「Stance」「Volume」「Surface」で構成される独自のフィロソフィですが、現行の5代目フォレスターもこれに沿ってデザインされています。
その上でSUVらしさを追求し「モダンキュービックデザイン」と呼ばれる表現が追加されました。
今回のマイナーチェンジでは、さらに最新のデザインフィロソフィである「BOLDER」が反映されました。これは「DINAMIC×SOLID」を骨格としてとらえ、それを強化することでより際立った表現とするもの。
具体的には、「ボディの明確な軸」「特徴的なフェンダー」「塊感のあるボディ」で構成(別図参照)。そのフルスペックは、現行のレヴォーグが第1弾となりました。
さらにこの「BOLDER」、日常を非日常に変えるべく「FIELD」「JOURNEY」「SPORTS」の3つの価値が掲げられています。スバル車は、このいずれかの世界観を反映することとなり、フォレスターはSUVとして「FIELD」が採用されています。
そこで、フロントバンパーを延長、グリルを大型化して前進感を強調。フロントランプはより強いC型グラフィックで横方向の流れを作り、同じくフォグランプ部も左右に広げてワイド感を高めました。結果、従来型よりもメリハリのある「際立った」顔付きに進化したのです。
●「いいデザイン」はどうやって生まれる?
ところで、ここまで読まれて、スバルデザインには随分と多くの「言葉」が使われていると感じませんでしたか?
まず基本の「DYNAMIC×SOLID」に3つの要素があり、その進化版としての「BOLDER」にも3つの表現の特徴があって、こちらはさらに3つのシチュエーションの設定が。フォレスターの場合、これに加えて「モダンキュービックデザイン」というコンセプトもあります。
こうしたデザインフィロソフィはいまや特段珍しくありませんが、スバルの場合とくに要素が多いようです。では、こうした多くの「言葉」を掲げないと「いいデザイン」はできないのでしょうか?
たとえば、いまだ自動車評論家にもユーザーにもデザインの評価が高い4代目レガシィ。キリッとした端正なフロント、シンプルなキャラクターラインが美しいサイドビュー、キレのあるリアビューなど、とにかく図抜けたまとまりのよさにいまでも感心します。
ところが、当時の資料を見ても声高に掲げているフィロソフィなどはどこにも見当たりません。デザインの解説部分には「機能性と美しさを両立したデザイン」とあるだけです。それなのに、完成した商品にはあれ程の完成度が。
ガイドラインを設けて、一貫性のあるデザインを目指すのは大切ですが、いまスバルに求められているのは「理屈先行」の開発ではなく、もっとシンプルに「美しいものをつくる」という姿勢なのかもしれません。
歴代レガシィや初代インプレッサ、R1、SVXなど、スバルのデザイン力は非常に高いのですから。
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