高速道路でのアクシデント。故障やパンク時の正しく安全な「停車方法」と「退避方法」を知っていますか?

■小さな故障も、大きな事故につながる恐れあり!

●適切な処置は、自分も周りも守ることにつながります

高速道路は駐停車禁止の道路です。重大な理由なく止まることは許されていません。事故や故障などでやむを得ない場合にはこの限りではありませんが、高速道路で停車する方法と退避する方法は、一般道とは大きく異なります。高速道路ならではのクルマの止め方、そして自分や他人の命を守る退避方法を紹介します。

●高速道路を走る前に、車載されているモノを確認

駐停車禁止の高速道路では、万が一停車しなければならない事態に陥った際、後続車へトラブルを知らせるために設置しなければならないものがあります。

三角表示板停止表示灯です。

三角表示板は1,000円弱、停止表示灯は4,000円前後することを考えると、三角表示板を設置するのが現実的でしょう。

三角表示板や停止表示灯の車載義務はありませんが、高速道路でやむを得ず停車する際には設置義務が課せられています。高速道での事故や故障の際、三角表示板や停止表示灯が設置されていないと故障車両表示義務違反です。立派な交通違反となり、1点減点・反則金6,000円が課せられます。

三角表示板
クルマの初期装備ではないのが三角表示板です。事故や故障時には設置する義務が課せられています。

三角表示板はクルマにもともと付いてくるものではなく、ドライバー自身が購入してクルマに備えておくものです。カー用品店はもちろん、新車のディーラーオプションなどでも準備されていますので、高速道路を走るのにクルマに積んでいないという方は早めに購入しておきましょう。

また、故障停車時に使用するものでクルマへの装備義務があるのが発炎筒です。

発炎筒の場合、未装備では車検を通すこともできないので、ほとんどのクルマに問題なく装備されていると思います。発炎筒は有効期限切れに注意してください。有効期限は4年です。有効期限が切れた発炎筒はすぐに交換しましょう。

高速道路を走行する前には、発炎筒と三角表示板がしっかりとクルマに積まれているか、確認してから出発してください。

●異常が起きたら? まずはPAやSA、もたない場合でも非常駐車帯へ停車する

高速道路上で、クルマや運転者、同乗者等に異常を感じた場合、まず目指すべきはPA(パーキングエリア)やSA(サービスエリア)です。おかしいなと感じながらも、まだ走ることができそうと思える場合には、できるだけ高速道路上での停車を避け、安全に停車し、安全確認や救護のできるPAやSAで対応することが得策です。

体調不良でSAへの停車を余儀なくされた場合、SAに設置されている救護室を利用することもできます(すべてのSAに救護室があるわけではないので注意)。車酔いや食後の体調不良などでも、SAの総合案内窓口にいるエリア・コンシェルジュやSAのスタッフに声をかけてみましょう。近くの病院を紹介してくれたり、場合によっては救急車の手配を行ってくれます。

非常駐車帯
高速道路本線上で、故障時に停車ができる場所が非常駐車帯です。一定間隔で用意されています。

次のPAやSAまでクルマや人がもたないと判断された場合には、非常駐車帯を探します。

非常駐車帯は、高速道路上の、路肩が大きく広がっている場所を指し、高速道路上では約500mごとに、トンネル内でも750mおきに用意されている場所です。本線の路肩に停車するよりは、少し広くなっている非常駐車帯に停車するほうが安全は確保されます。

●いますぐクルマを停めなければならない場合は?

タイヤがバーストした、エンジンから発火した、運転中に意識が朦朧とするなど、すぐに停車しなければ危険が生じる場合には、やむを得ず路肩(左側)へ停車させることにしましょう。

非常駐車帯や路肩へ停車した際には、最低限行うことがいくつかあるので紹介します。

  • クルマを停車させたら、後続車から万が一追突された際に自車が本線に飛び出さないよう、ハンドルを左に大きく切っておきます。
  • ハザードランプを点灯させ、自車の50m程度後方に三角表示板を設置、発炎筒を点火して車両後方に置きましょう。
  • クルマからすぐに離れてガードレールの外側へ避難し、身の安全を確保します。
  • 携帯電話を使い、道路緊急ダイヤル(#9910)、警察や救急に連絡します。高速道路上では、1kmおきに設置してある非常電話を使用するのも有効です(故障地点が非常電話の位置から確認しやすくなるため)。
故障車
高速道路で路肩に停車するのは最終手段です。(写真はイメージです)

高速道路上に停車するというのは非常に危険な状態です。時速100km/hは秒速約28mになります。自車の50m後方へ設置した三角表示板を、時速100km/hで走っている後続車が認識してから自車位置に到達するまで2秒もかかりません。

高速道路では、一瞬でも認識が遅れれば追突事故につながる速度でクルマは走行しています。一刻も早く、自車の故障を多くの人に知ってもらうため、表示義務を終えたら速やかに関係機関へ連絡し、故障車両があることを、電光掲示板などで知らせてもらうことが大切です。

クルマを利用する際には、日常的な点検や定期点検を欠かさずに行うべきです。しっかりとした点検は不測の事態を防ぎます。高速道路を利用して遠方へ行く際には、人もクルマもコンディションをしっかりと整える準備が必要です。

(文:佐々木 亘

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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