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■豪雨被害が多い7月は特に注意!
ここ数年、7月は豪雨災害が最も集中するといわれています。
たとえば、2020年には熊本県を中心に九州や中部地方などで起こった「令和2年7月豪雨」、2018年には岡山や大阪、広島や愛媛など広範囲で発生した「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」、2017年に福岡県、大分県を中心に起きた「平成29年7月九州北部豪雨」など、いずれも大きな被害が出る災害となっています。
そして、こういった時には道路が冠水し、クルマが浸水したり水没するなどの被害も多く出ているのです。そこで、ここでは運転中にゲリラ豪雨に遭遇した場合など、これからの時期に、もし大雨が降ったら、どういった対処法をとるべきかなどをご紹介します。
●過去にはクルマの冠水や水没も多発
ロードサービスを手掛けるJAFの福岡支部によると、前述した2020年の令和2年7月豪雨では、車両が冠水・水没したことによる救援要請件数は、11日間(7月3日〜13日)で、なんと1208件もあったそうです。
また、JAF広島支部の発表では、2018年の平成30年7月豪雨のときには、広島県内の救援要請は7月6日〜10日の5日間で2338件(前年比300%増)、そのうち冠水に関わる要請は968件もあったといいます。
このように、大雨の時には、冠水や浸水によるクルマのトラブルも数多く発生していることが分かっています。
そこで、たとえば、JAF広島支部では、大雨時の走行で気をつけるべき主なポイントを次のように挙げています。
・アンダーパスなど周囲より低い場所の走行や駐車は避ける
・河川の周囲を走行しているときは川の水位や流れに注意する
・土砂災害を避けるため、海岸沿いや崖のそばの走行は避ける
・乗用車の走行可能な水深は床面に浸からない程度
特に、豪雨の際は、アンダーパス(道路の下をくぐる構造になっている立体交差)や電車ガード下の道路など、スリバチ状の道路では水たまりが発生しやすいため注意が必要です。そういった場所に進入したクルマが水没してしまうことが多いからです。
ほかにも、前述のように、海岸沿いや崖のちかくなど、土砂崩れなどが起きやすい場所を走行するのは危険だといわれています。
●水深60cmでエンジンが停止
では、もしクルマが浸水してしまったら?
まずは、クルマはどの程度の水深で停まってしまうのでしょう。JAFが行った冠水路走行実験では、集中豪雨などでアンダーパスが冠水した場合を想定し、クルマが冠水路を走りきれるかどうかのテストを行っていて、YouTubeの公式チャンネルで見ることができます。
まず、セダンタイプのクルマでは、水深が60cmになるとフロントガラスの下端まで水をかぶってしまい、時速10km/hでも走りきれず途中でエンジンが停止してしまいました。
一方、SUVタイプでは、水深60cmでも、エンジンの搭載位置が高いため、水がエンジン内に入らずに時速10km/hなら走破が可能でした。ところが、時速30km/hにスピードを上げると、クルマが巻き上げる水の量が多くなりエンジン内に水が浸入、10m走行したところでエンジンが停止しています。
前述のJAF広島支部では、クルマが冠水路などで浸水した場合の対処法を次のように挙げています。
・すぐに車内には浸水してこないので慌てずにエンジンを停止
・避難する際は、いきなり車から出るのではなく足を浸け水深を測ってから出る
・冠水路では、濁って道路の状況がわからないため一歩一歩確かめながら歩く
・水圧でドアが開かなくなった場合は、緊急脱出ハンマーなどを使用しガラスを割って脱出(車両によっては割れにくい窓もあるため事前に確認を)
・一度冠水した車は、エンジンを始動すると破損や感電の危険があるので、まずはJAFやクルマの販売店に連絡をする
なお、JAFが行ったテストはあくまで参考です。実際の冠水路では、水深も水の中の様子も分かりませんから、余計に注意が必要。できれば走行しない方が絶対にいいでしょう。
●スマホやハザードマップも活用
災害をもたらす豪雨は、7月だけでなく9月や10月に多い台風など、これからの時期には度々起こるものです。まずは、そういった際にゲリラ豪雨などが起こるかどうかを事前にチェックすることも重要です。
最近は、WEBサイトやスマートフォンのアプリなどでも、最新の気象情報が入手できますから、特にクルマで出かける際はこまめにチェックしましょう。
また、日頃から、市区町村が作成している「ハザードマップ」を活用して、危険箇所を確認しておくことも、まさかの時に役に立つでしょう。
(文:平塚 直樹 *写真はイメージです)