復活が発表された「ラリーアート」が手がけたギャランフォルティスやコルトの中古車は今いくらで買える?【三菱・中古車】

■ホットハッチのコルトバージョンRはボディのスポット増しも実施!

日産であればNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)、スバルはSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)といったワークスブランドがあり、こういったワークスブランドが自動車メーカーのレース活動を支えています。

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話題のランエボトミマキネンエディションにもラリーアートのステッカーが貼られています。

トミ・マキネンが、WRC(世界ラリー選手権)で1996年~1999 年にかけて4年連続でドライバーズチャンピオンに輝いた時にドライブしていたクルマは、三菱ランサーエボリューションでした。

三菱のワークスブランドといえばラリーアートですが、2019年3月末にオフィシャルサイトが閉鎖されてしまいました。しかし2021年5月の決算報告で、ラリーアートの復活が発表されました。

以前はワークスブランドが手がけるクルマといえば、スポーツカーが中心でした。しかし最近ではトヨタのGRなどを見ても、ミニバンやSUVといったモデルのパーツも開発されています。

おそらくラリーアートを復活させた三菱も、アウトランダーやエクリプスクロスいったモデルのパーツ開発を行い販売すると思われます。

ラリーアートはレース活動やパーツ開発だけに留まらず、市販車をベースにチューニングを行い、その名を付けたモデルも販売されました。ここでは、ラリーアートという名前の付いた三菱車の中古車を紹介します。

●コルト1.5ラリーアートバージョンR

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コルトラリーアートバージョンRのフロントスタイル。

現在、ラリーアートというグレード名が付いている三菱車の中古車で、約79台と流通台数が最も多いのがコルト1.5ラリーアートバージョンRです。中古車相場は約20万~約157万円となっています。

コルト1.5ラリーアートバージョンRは2006年5月に行った一部改良の際に追加されました。従来のコルトラリーアートに代わって登場した高性能コンパクトスポーツです。

シャシーは、長年にわたるモータースポーツ活動で培ったノウハウを活かして、必要最小限の重量増で、最大級に効果を発揮する補強を実施しました。ボディ各部には従来の約1.5倍にも及ぶスポット溶接の増し打ちを行い、特にDピラー周辺を補強して、ボディの捻り剛性を約30%向上させています。

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フロントグリルには赤とオレンジのラリーアートのバッジが貼られる。

エンジンは、最高出力154ps・最大トルク210Nmを発生する1.5L直列4気筒MIVECターボを搭載。組み合わされるトランスミッションは5速MTとCVTで、5速MTはゲドラグ製。

さらに5速MT車には240km/hのフルスケールホワイトメーターを採用。リアシートは従来のシートバックに3名掛けから2名掛けに変更したクッションを採用し、4名乗りとなっています。

大きな開口部を設けたフロントバンパー、ディフューザー形状のリアバンパー、そして前後のオーバーフェンダーなど空力性能の向上と存在感を誇る外観デザインが特徴です。

●ギャランフォルティス2.0ラリーアート

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ギャランフォルティスラリーアートのフロントスタイル。

続いて紹介するのは、ギャランフォルティス2.0ラリーアートです。現在中古車の流通台数は約27台で、価格帯は約60万~約230万円となっています。

ギャランフォルティス2.0ラリーアートは、2008年7月に追加されました。外観デザインは、空気抵抗の低減を図った専用フロントバンパーを採用。デザインアイデンティティであるジェットファイターグリルの開口部を大きくすることで冷却性能を向上させるとともに、外周部にメッキをあしらってプレミアム感を演出しています。

そして、ターボチャージャー冷却用の導風口とエンジンルーム放熱用の排出口を設けた、軽量なアルミ製のボンネットフードを採用しています。サスペンションはアームや取付部などの剛性を向上させ、バネ定数やショックアブソーバー減衰力を最適化させることで、スポーティな操縦安定性と乗り心地を実現させています。

搭載するエンジンは、最高出力240ps・最大トルク343Nmを発生する2L直列4気筒MIVECターボで、低~中速域のトルクを重視したシングルスクロールターボを採用しています。

組み合わされるトランスミッションは、MTの操る楽しさとATの快適さを両立させた高効率ミッションの6速ツインクラッチSSTを採用。ランサーエボリューションXに搭載されているものに対して、5速・6速のギヤ比を変更することで、高速巡行時の燃費性能を向上させています。

駆動方式は、フロントヘリカルLSD+ACD(アクティブセンターディファレンシャル)+リア機械式LSDで構成されるフルタイム4WDシステムを採用。ASC(アクティブスタビリティコントロール)およびEBD付ABS(アンチロックブレーキシステム)と統合制御することで、優れたトラクション性能を実現しつつ、旋回性能と制動性能も高次元でバランスさせています。

さらに、ACDの制御は、乾燥した舗装路に最適なTARMAC(ターマック)モード、濡れた舗装路や滑りやすい未舗装路に適したGRAVEL(グラベル)モード、雪道に適したSNOW(スノー)モードの3モードを選択可能としています。

●ギャランフォルティススポーツバック2.0ラリーアート

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ギャランフォルティススポーツバック・ラリーアートのフロントスタイル

そして最後に紹介するのが、2008年12月に登場したギャランフォルティススポーツバック2.0ラリーアートです。

スポーティセダン、ギャランフォルティスの兄弟車で、スタイリッシュな5ドアハッチバック車です。現在、ギャランフォルティススポーツバックの中古車は約35台流通していますが、そのうち約10台がラリーアートで、中古車相場は約69万~約138万円となっています。

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ギャランフォルティススポーツバック・ラリーアートのリアスタイル

サイドからリアにかけてクーペをイメージさせる流麗なデザインを採用していることを除くと、パワートレインや4WDシステムはギャランフォルティス2.0ラリーアートと同じ仕様となっています。

三菱独自のS-AWCを搭載したエクリプスクロスやアウトランダーはSUVの中でも、トップレベルの走行安定性を誇っています。こういったモデルをラリーアートがチューニングしたら一体どんなモデルに仕上がるのか。非常に楽しみです。

もちろん、パーツ開発や市販車の販売の先にモータースポーツへの復活があるとなれば、楽しみはさらに大きくなるでしょう。

(文:萩原 文博/写真:三菱自動車)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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