レクサスISは完成形となった! デビューから8年、熟成を果たした最新モデルをチェック【試乗】

■完成度の高さは次期ISに多大なプレッシャーを与えるだろう

現在、レクサスのセダンラインアップは上からLS、ES、ISで、ISはボトムラインを支えるモデルとなっています。

かつてはハイブリッド専用車のHSというモデルが存在していましたが、現在はラインアップから消えています。

IS350Fスポーツフロントスタイル
Fスポーツはピアノブラック塗装のメッシュタイプのグリルを採用

初代ISは日本ではアルテッツァの名前で販売、2005年に投入された2代目から日本でもレクサスブランドのモデルとなりました。現行モデルは2013年デビューの3代目となります。

2代目ISには2ドアのカブリオレモデルが存在しましたが、現在のISは4ドアのノッチバックセダンのみとなっています。

デビュー後、8年経っているモデルだけに、これが完成形といっていいかもしれません。

IS300h
Fスポーツ以外のグレードは菱形メッシュのグリルを採用

現行ISは2リットル直4ターボのIS300、2.5リットル直4+モーターのIS300h、3.5リットルV6のIS350、3種のパワートレインを有しています。

このうちのIS300hとIS350の2タイプに試乗しました。IS300hは178馬力/221Nmのエンジンと143馬力/300Nmのモーターが組み合わされたパワーユニットを搭載、IS350のV6エンジンは318馬力/380Nmのスペックを持ちます。

IS350Fスポーツエンジン
IS350Fスポーツに搭載される2GR-FKS型V6エンジンは、アトキンソンサイクル、デュアルVVT-i、筒内直接噴射とマニホールド噴射を切り替えるD-4Sなどを採用
IS300hエンジン
IS300hのエンジンはデュアルVVT-i、D-4Sなどを採用。モーターと協調制御される

試乗車は2020年11月にマイナーチェンジされたモデルで、IS350FスポーツとIS300hのバージョンLの2台です。

Fスポーツはレクサスブランドのスポーツモデルに冠されるグレードで、“F”は富士スピードウェイに由来します。

一方、IS300hバージョンLはハイブリッドモデルの最上級仕様なので、現行レクサスISの両翼を担うモデルであると言えます。

IS350リヤスタイル
Fスポーツはピアノブラックのロッカーアームやバンパーロアガーニッシュ、スポイラーなどを採用
IS300hリヤスタイル
Fスポーツ以外のグレードはFスポーツはバンパーロアガーニッシュ、スポイラーなどが装着されずおとなしいスタイリングとなる

2020年11月のマイナーチェンジは大幅なもので、ボディサイズの変更まで受けています。

ホイールベースは現行デビュー時と同じ2800mmのままですが、全長は前後バンパーガーニッシュの変更により30mm延長、全幅はワイド化されたフェンダーによってやはり30mm広くなっています。

ヘッドライトは三眼型の薄型に変更、Lシェイプのシグネチャーランプが採用されたことで顔付きはさらにシャープさが増しました。

さらにレクサスモデルの象徴であるスピンドルグリルは新デザインとなるなど、フルモデルチェンジかと思わせるほどの変わりようです。

IS350フロントシート
FスポーツのシートはLtexという人工皮革を採用。革と比べても遜色はない。シートカラーは黒、赤、白の3種で白だけがコンビカラーとなる
IS300hフロントシート
Fスポーツ以外のグレードは比較的サイドサポートの張り出しの少ないフロントシートを採用する

走りにはさらに磨きが掛かりました。走りが変わる大きな要素といえば、パワーユニットの出力向上などを思い浮かべることでしょう。

しかしISに施された手の入れ方は少し違っています。ISの走りに磨きをかけたのは、ボディをはじめとしたシャシー回りの変更です。

まずはボディのサイドラジエターサポートを補強、フロントサイドメンバーまわりのスポット打点追加、Cピラーまわりのボディ剛性を向上するなどしてボディ剛性を大幅に向上。

さらに驚くべきはホイールの装着方法を多くの国産車が採用するハブボルト&ホイールナット方式から、ホイールボルト方式に変更されました。

IS350タイヤ&ホイール
Fスポーツは10スポークのダークプレミアムメタリックホイールを採用
IS300hスポーク
Fスポーツ以外のグレードは、5つのVアーム内にさらにVアームを配置したデザインのホイールを採用

IS350はFスポーツのみのモノグレード展開です。Fスポーツはフロント235/40R19 ・リヤ265/35R19サイズのブリヂストン・ポテンザS001Lを履きます。

また、ナビゲーションを使ってサスペンションの減衰力を調整するNAVI・AI-AVSも標準で搭載。さらに試乗車にはオプションのトルセンLSDが装着されていました。

IS350Fスポーツの走りは「ピュア」の一言に尽きます。

ライバルとなる欧州Dセグメント車には500馬力オーバーのモンスターエンジンを積むメルセデス・ベンツAMG C63SやBMW M3などが存在します。IS350のエンジン出力は318馬力なのでそれらのモデルにはおよびませんが、走りのフィーリングはじつにピュアで気持ちのいいものです。

IS350インパネ
Fスポーツは専用のTFT液晶メーター、専用ステアリングなどを採用
IS300hインパネ
Fスポーツ以外のグレードはオプティトロンメーターを採用

IS350の自然吸気V6エンジンはアクセルペダルの踏み込み量とエンジン回転数が完全にシンクロするタイプのもので、じつに素直に回り、そして正確にトルクを発生します。

そのエンジントルクは8速のATを介してリヤタイヤへと伝えられます。Fスポーツのみに許されたフロントよりも3サイズ太い265/35R19サイズのリヤタイヤは、発生トルクを確実に路面に伝えます。

8速ATはマニュアルモードでの変速スピードが0.2秒とかなり俊敏で、自分でギヤを選びながらの走りはスポーティで、自分のドライビングテクニックが上がったかと思わせる感覚です。

しかし、IS350の走りの魅力は走行モードをスポーツSにしたときに本領を発揮します。スポーツSモード状態でコーナー入り口でブレーキングすれば、減速度に合わせたギヤ選択が行われ、さらにコーナーリング中はギヤが固定されます。これぞ正しいAT制御、求められる性能がしっかりと組み込まれたシステムです。

IS350トランク
ピュアエンジンモデルは9インチゴルフバッグを3個搭載可能
IS300h
ハイブリッドモデルは9インチゴルフバッグ2個を搭載可能

一方のハイブリッドは今回のマイナーチェンジで駆動力制御が最適化されています。従来に比べてアクセルを踏んだときの加速に力感があり、グッと前に押し出されながら明確な加速感を感じることができます。

静粛性も高くなっています。モーター走行時が静かなハイブリッド車は、エンジンが始動した瞬間にノイジーになることがありますが、IS300hはノイズ成分も上手にカバーされています。

IS350リヤリート
リヤシートも左右はしっかりとしたホールド性が与えられている
IS300hリヤシート
リヤシートには大型のセンターアームレストを用意。シートバックは6対4分割可倒式

なによりも素晴らしいのがボディ剛性を含めたシャシー全体の仕上がりです。IS350とIS300hでは走りの方向性には若干の違いがありますが、しっかりしたシャシーがもたらす利点は両車に共通です。

ボディがガッシリとしているため、サスペンションが正確に動いている感覚があります。引き締められたサスペンションまわりですが、乗り心地に不満はありません。

ホイールとハブの締結をボルト式にしたこともあり、まさに動きにスキがないという印象。ステアリングを切った瞬間の感覚、ステアリングを握る手とタイヤの間の介在物が減ったような感覚は運転を楽しくします。

コストが増しますので、すべてがこの方式になるべきだとはいいませんが、プレミアムモデルはこうした徹底した追い込みによって質感が向上することは間違いありません。

まだまだ日本車には伸びしろが残されていることを実感できました。ここまで追い込んだクルマを出した以上、次期ISはかなりキッチリしたモデルで登場すること間違いなしでしょう。

IS350 & IS300hイメージ
欧州Dセグメントモデルに迫る本質とジャパンクオリティを兼ねそなえるレクサスIS

(文・写真:諸星 陽一

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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