ミラーの保安基準とは?原付を除くバイクには左右両側に1個ずつ必要【バイク用語辞典:カスタム化・保安基準編】

■原付バイクは右片方だけの装着で問題ないが、安全のためには両方装着が理想

●ライダーの視認性だけでなく、衝突時の歩行者の被害軽減も考慮されている

ミラーは、誰でも簡単に交換できてバイクのイメージを大きく変えることができるので、人気のカスタム部品です。ただし装着のためには、鏡面の面積や寸法、装着位置などの詳細が保安基準で定められています。

形状や装着位置など、ミラーのカスタム化に関わる基本的な保安基準について、解説していきます。

●原付は片方だけでも問題ない

保安基準では、「車速50km/hを超える二輪車は左右両側にそれぞれ1個ずつ後写鏡を備えなければならない」、さらに「最高速度が50km/h以下の二輪自動車、側車付二輪自動車および三輪自動車にあっては、自動車の右側に1個の後写鏡を備えればよい」と規定されています。

したがって、公道での速度が30km/hに限定されている排気量50cc以下の原付(原動機付自転車)は、ミラーを右側に1個装着するだけで問題ありません。ただし、基本的な役割として明記されている「運転者が後方の交通状況を明瞭かつ容易に確認できる構造であること」を守るためには、原付でも右側だけでなく左右にミラーを装着する方が安全です。

●ミラーの形状に関する保安基準

ミラーの形状としては、一般的なラウンド・オーバルタイプ(丸型・楕円型)やスクエアタイプ(四角型)、スポーツタイプ(多角型)などが一般的ですが、バイクショップにはそれ以外にも様々なタイプのミラーが陳列されています。

カスタム化は、自分のバイクに相応しいミラーや好みのミラーに交換することですが、形状は自由でなく、以下の保安基準を守らなければいけません。

ミラーの規格
ミラーの規格

・鏡面の面積は69平方センチ以上
・円形タイプ
・鏡面の大きさが直径94mm以上150mm以下
・角型や楕円型など
・鏡面の大きさが120mm × 200mm(または200mm × 120mm)未満で、直径78mmの円が収まる形状

●ミラーの装着位置に関する保安基準

ミラーを左右に装着しても左右後方の状況が確認できなければ意味がないので、装着位置や構造についても次のように規定されています。

ミラーの装着位置
ミラーの装着位置

・ミラーの装着位置
ミラーの中心がハンドルの中心から280mm以上外側で、バイク幅よりも250mm以上突出しない、バイクの高さより300mm以内に収まっていること

・衝撃を吸収する形状と構造
万一歩行者と接触しても衝撃を吸収できるような形状と構造が求められ、鋭利な形状や溶接による装着は認められません。

・その他
方向を調整でき、一定の向きが維持できる、鏡面にひび割れや歪み、曇りなどがないこと

●ウィンカーミラー

左右のミラーにウィンカーライトを組み込んだウィンカーミラーは、バイクがスタイリッシュになり、ミラー部分が点灯するので周囲から視認しやすいというメリットがあります。クルマではごく一般的ですが、最近バイクでも採用例が増えています。

以下の保安基準を守れば、車検は通ります。

・ミラー
取り付け位置と大きさについて規定なし、左右一対で後方50mの左右が確認できること

・ウィンカー
橙(オレンジ)色の発光色で左右対称の位置に装着、前方後方30mの位置から視認できる、60~120回/分の一定周期で点滅


ミラーのカスタム化は、ユーザー自身が簡単にでき、見た目も違法性が分かりづらいので保安基準を疎かにした事例が散見されます。ライダーの安全確保だけでなく、歩行者を引っかける事故を防止する、起こった場合に歩行者の被害を最小にするためにも、保安基準は絶対に守らなければいけません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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