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■50年代から60年代の激レアなオープンカー
国産・輸入車を問わず、豪華でスポーティ、しかも爽快な走りを満喫するなら、はやりオープンカーに優るクルマはないかもしれません。それは、クラシックカーも同様で、どんな年代のオープンカーも、その時代を反映したスタイリッシュなボディや豪華な装備がとても魅力的です。
ヘリテージカーの祭典「オートモビルカウンシル2021(4月9日〜11日・幕張メッセ)では、そんな旧車オープンカーも展示されましたが、それらの中でもここでは、ベンツやジャガー、アルファロメオなど、特にラグジュアリー感が満点の輸入車にスポットを当ててみます。
●ベンツSLのビンテージオープンカー
メルセデス・ベンツのSLクラスといえば、現行モデルもエレガントなスタイルが魅力的な高級スポーツカーです。そのクラシックカー4台が、ヤナセクラシックカーセンターに展示されていました。
まずは190SL(W121)。1956年のニューヨークモーターショーで発表された、SLクラスの元祖とも言えるモデルです。最高出力120psを発揮する1897ccの直列4気筒エンジンを搭載します。
展示車両は1958年式で、ボディ色をアイボリーからシルバーに変更。当時の色調を、メーカーの調合データに従い忠実に再現したそうです。内装は明るい赤の本革を採用、ホワイトのステアリングや外装色とのコントラストが絶妙にマッチしています。
今のオープンカーは電動ルーフも多いのですが、このクルマは手動で開閉するソフトトップを採用。そこがまた、なんともいえないおしゃれな感じを醸し出しています。
なお、このクルマはまだレストアが進行中のようで、販売価格は付いていませんでしたが、その美しさや風合いはまさにプライスレスな1台です。
次は、1968年式のメルセデス・ベンツ 280SL(W113)。お値段はなんと1760万円!
この年代のモデルに採用されていた、いわゆる「縦目」ヘッドライトはかなりレアだそうで、稀少価値があることと程度が極上なために、お値段もかなり高価になるそうです。
会場には、ほかにも、1989年式メルセデス・ベンツ 560SL(R107)が968万円、1999年式メルセデス・ベンツ 500SL(R129)が528万円で展示されていましたが、280SLと比べると値段の差がかなり大きいですね。
これは、60年代は輸入されたベンツの台数がそもそも少なく、中でも高価だった280SLのクラシックカーは流通在庫がかなり少ないため。
対する560SLは、高価なクルマが飛ぶように売れたバルブ経済の真っ最中に販売されたモデルのため、タマ数も比較的多いのだとか。また、500SLの時代になると、輸入されたベンツの台数もかなり多くなっているため、こちらも中古車の流通台数は比較的豊富なんだそうです。
なにより、どうせクラシックカーに乗るならば、やっぱり希少性が高いクルマに乗りたいのは人の常。特に、280SLの縦目ヘッドライトは、今のクルマにないデザインですから、逆にかなりスタイリッシュな感じがしますしね。
●イギリス製やイタリア製も発見!
英国が誇る高級車メーカーのジャガーが、1961年のジュネーブショーで発表したのがEタイプ。スタイルの特徴ともいえるロングノーズ、ショートデッキは、後のスポーツカーに大きな影響を与えたモデルです。
XKシリーズの後継モデルで、同社のスポーツラインナップを担うクルマとして開発されたこのモデルは、スタイルの美しさや高い性能、割安な価格などによりアメリカを中心に大ヒットし、15年間で7万台以上が生産されたといいます。今回紹介するオープン2シーターのほかに、クーペモデルもありました。
展示されていたのは1963年式。オーナーカーのため価格などは不明ですが、その流麗なフォルムは、やはり今のクルマにないエレガントさが満点です。
ほかにも会場には、イタリア車などを専門に扱うコレツィオーネのブースにフィアットの1960年式アバルト750GT スパイダーザガートや、アルファロメオの1965年式2600ツーリングスパイダーが展示されていました。
いずれも、イタリア製らしい小粋なスタイルのオープンカーで、60年代に作られたレア度が高いクルマたちです。
こんなクルマに乗って、晴れた日に海岸沿いの道を屋根全開で走ったら、さぞかし爽快でしょうね。
(文/写真:平塚直樹)