生産終了のS660が完売との報。ならばマツダ・ロードスターを提案したい【週刊クルマのミライ】

■1.5Lエンジンのマツダ・ロードスター、エントリー価格は260万円でS660バージョンZより安価に買える

2021年3月12日、ホンダの軽ミッドシップ2シーターオープンスポーツカー「S660」が2021年度内での生産終了を正式にアナウンスしました。

同時に、事実上のファイナルエディションといえる「S660モデューロXバージョンZ」を315万400円(6速MTだけの設定)で用意することも発表しています。

NDロードスター
マツダ・ロードスターのエントリーグレード「S」のメーカー希望小売価格は260万1500円。夜間の歩行者を検知する衝突被害軽減ブレーキを標準装備する

それから4週間が経ち、S660の公式ホームページには『ご好評につき、予定していた生産台数分につきましてはオーダー受付を終了いたしました』という一文が赤文字で掲載されています。

なんと1年間の生産能力を埋めるだけのオーダーが集まってしまったというのです。販売会社によっては見込み注文分があったり、またキャンセルがあったりすることもありますから、もしかしたら新車でS660を手に入れることができるかもしれませんが、事実上の完売状態といえます。

生産終了と聞いて、これまで迷っていた人たちが背中を押されたのかもしれませんし、中には価格上昇を見込んで投機目的でオーダーを入れた人もいるかもしれませんが、いずれにしてもS660の生産終了を惜しむ市場の感情は、多くのオーダーによって表現されたといえます。

S660VerZ
S660の実質的なファイナルモデルであるモデューロXバージョンZの値段は315万400円だった。スタンダードモデルでも上級グレードの価格は232万1000円

こうなると、S660の中古車まで視野に入れて、軽快な走りの軽ミッドシップマシンを手に入れたいと考えている人も増えてくるかもしれません。しかし、よく考えてほしいのです。

もし、S660を購入しようという予算を用意できるのならば、ほかにも狙える国産スポーツカーはあります。

それが、マツダ・ロードスターです。ロードスターには1.5Lエンジンの幌と2..0Lエンジンの格納式ハードトップの2タイプがありますが、S660の予算感で狙えるのは前者。

なにしろ1.5Lのベーシックグレード「S」のメーカー希望小売価格は260万1500円なのです。諸費用などは軽自動車より高くなりますが、それでもS660モデューロXバージョンZを買おうと思っていたならば、十分に用意できる価格といえるでしょう。

たしかに、「S」グレードは6速MTだけの設定で、エアコンもマニュアルタイプとなるなど装備は簡略化されていますが、だからこそ990kgという車両重量を実現しています。S660よりは重いのですが、スポーツカーとしては十分にライトウェイトに分類される軽量ボディなのは間違いありません。

ロードスターであれば、このエントリーグレードであっても夜間歩行者検知機能付きの「アドバンスドスマートシティブレーキサポート(衝突被害軽減ブレーキ)や複数車線の道路で後方から迫るクルマを検知する「ブラインド・スポット・モニタリング」といった先進安全機能も標準装備となっています。

そして「S」グレードであってもステアリングやシフトノブも革巻き仕様となっています。S660の「α」グレード(232万1000円)と比べても装備面では見劣りしないどころか、充実しているといえます。価格差を考慮しても、ロードスターSグレードは十分にリーズナブルなスポーツカーなのです。

軽自動車であれば維持費の面からセカンドカーとして所有しやすいという気分的なものがあるでしょう。しかし、S660のファイナルモデルを狙っていたのに買えなかったというならば、同じような予算感でマツダ・ロードスターという国産スポーツカーの選択肢があることを提案したいと思います。

ロードスターではあれば、それなりに実用的なトランクもありますからファーストカーとしても使えると感じるユーザーも多くなるのではないでしょうか?

山本 晋也

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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