バイクを空から吊る!? 200psスーパーチャージャー・エンジン搭載のカワサキ新型「Z H2 SE」の電子制御サスが凄い

■新技術スカイフックテクノロジーとは?

近年、バイクの高級スポーツモデルなどには電子制御サスペンションを採用する車種も増えて来ました。そんな中でも、カワサキが2021年4月1日に発売することを発表した新型「Z H2 SE」には、なんと「バイクを空から吊った」ように車体を安定させる最新技術「スカイフックテクノロジー」が採用されているといいます。

車両重量241kgもの重さがあるバイクを空から吊る技術? まるでSFアクション映画のような映像を思い浮かべてしまいますが、一体これはどんな技術でしょうか?

200psを発揮するスーパーチャージャー・エンジンを搭載する、カワサキのネイキッド車Zシリーズのフラッグシップモデル「Z H2」に追加された、この新型モデルの詳細を紹介します。

●998cc・スーパーチャージャー付きエンジン搭載

カワサキ・Z H2 SEは、998ccのスーパーチャージャー付きエンジンを搭載したビッグネイキッド「Z H2」に追加された、上級グレードモデルです。

カワサキ新型Z H2 SEの電子制御サスペンションが凄い
カワサキ・Z H2 SEのフロントビュー

ご存じの通り、ネイキッドとはカウルがないバイクのこと。元々Z H2は、やはりスーパーチャージャーを搭載し、最高出力231ps(ラムエア過給時242ps)を誇るフルカウルモデル「ニンジャH2」のカウルレス版として2020年に発売。カワサキのネイキッド車Zシリーズのフラッグシップモデルとして、高い人気を誇っているバイクです。

過給システムは、4輪車では今やターボが主流ですが、バイクの場合は現在ほとんどのモデルで搭載されていません。そんな中で、これらカワサキ車は独自のスーパーチャージャーを採用し、圧倒的な加速力を誇ります。

カワサキ新型Z H2 SEの電子制御サスペンションが凄い
カワサキ・ニンジャH2カーボン

ちなみに、車名の「H2」とは、1970年代にその圧倒的ポテンシャルで人気となったカワサキの名車「750SSマッハⅣ」の別称。伝説の2ストーロークマシンの名前を冠する、まさにカワサキが誇る高性能スポーツバイクなのです。

なお、Z H2シリーズには、バランス型スーパーチャージドエンジンが採用されています。これは電子制御スロットルなど様々な制御技術により、高出力と燃費性能を両立したものです。これにより、最高出力200ps/1万1000prm・最大トルク14.0kgf-m/8500rpmものハイパワーを発揮しつつも、WMTCモード値で16.9km/hという低燃費を実現しています。

●新型の電子制御サスペンション採用

そんな新型Z H2 SEに新しく搭載されたのが、新型の電子制御サスペンション「KECS」。KECSは、路面および走行状況に0.001秒という非常に速い反応速度で適応し、理想的な減衰力を提供するカワサキ独自のシステムですが、特に注目なのが前述の「スカイフックEERAテクノロジー」です。

カワサキ新型Z H2 SEの電子制御サスペンションが凄い
KECS(カワサキエレクトロニックコントロールサスペンション)

スカイフックとは、部品メーカーのショーワが開発した技術で、まるで空からバイクを吊ったかのように、バネ(スプリング)上の車体を安定させるという考え方から生まれた機能です。路面の凹凸に応じてショックアブソーバー内の減衰力を自動で調整することで、路面からの衝撃などを最小限にし、車体の走行安定性を向上させます。

基本的に、バイクのサスペンションは、コーナーリング時などに進入で減速する際、フロントフォークが沈みリヤサスペンションが伸びる、出口で加速する時は逆にフロントが伸びリヤサスが沈むといった動作を行います。また、路面が凹んでいれば伸び、隆起していれば縮むことで、車体を安定させようとします。

ただし、そういった動作は、速度や路面状況によって前後サスの伸び縮み量や動く速度などは様々です。そのため、従来はスカイフックテクノロジーのような車体を安定させる電子制御システムはかなり難しかったようですが、より細かく複雑な制御を行うことなどで採用が可能となっています。

ちなみに、Z H2 SEでスカイフックは、任意で選べる走行モードのうち、レインモードの時に作動します。また、カワサキ車では大型ツアラーの「ヴェルシス1000SE」にも同様のシステムが採用されています。

カワサキ新型Z H2 SEの電子制御サスペンションが凄い
カワサキ・ヴェルシス1000SE

●ブレーキも強化

Z H2 SEにはブレンボ製Stylemaモノブロックキャリパーとブレンボフロントマスターシリンダーを装備したフロントブレーキパッケージを搭載。スタンダードのZ H2にもブレンボ製ブレーキが採用されていますが、より強力でコントロール性に優れた制動能力を発揮します。

カワサキ新型Z H2 SEの電子制御サスペンションが凄い
ブレンボ製Stylemaモノブロックキャリパー

ほかにも、設定速度でアクセル操作なしで巡航できる「エレクトロニッククルーズコントロール」や、クラッチ操作なしでシフトチェンジを可能にする「KQS(カワサキクイックシフター)」など、スタンダードでも高い実績を誇る充実の装備が満載。

また、様々な車両情報を表示する「フルカラーTFT液晶スクリーン搭載インストゥルメントパネル」や、Bluetoothでつながる「スマートフォン接続機能」などにより、快適なライディングを実現します。

カラーは、メタリックディアブロブラック×ゴールデンブレイズドグリーン。価格(税込)は217万8000円です。

(文:平塚直樹/写真:カワサキモーターズジャパン)

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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