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■クルマで普及が進むHUD(ヘッドアップディスプレイ)をバイクのヘルメットに適用
●スマホ連携で得られた情報やカメラ画像をライダーに知らせることで安全性が向上
HUDは、クルマでは車速や進行案内などの情報を前方2~3mほど先の虚像としてフロントウィンドウ下面に映し出す表示技術です。クルマ同様、バイクでもヘルメットに装着したスクリーンに情報を表示するスマートヘルメットが、2020年に実用化されました。
バイクのコネクテッド技術につながるスマートヘルメットについて、解説していきます。
●クルマで採用されているHUDとは
「HUD(ヘッドアップディスプレイ)」は、クルマの車速やシフト位置、進行案内、警告表示、運転支援機能の作動状況などの情報を、ドライバーの前方2~3mほど先に浮かんでいるように虚像としてフロントウィンドウ下面に映し出す表示方法です。
ドライバーは、視線を大きく移動させることなく情報を確認し、前方に注意しながら運転に集中できます。そのため、情報認識の負荷と疲労が軽減し、安全運転にも貢献することから急速に普及しています。
HUDの映像表示には、上記ようにフロントウィンドウに映し出す「ドライビングディスプレイ方式」と、比較的ユニットがコンパクトで安価な別体の半透明なプラスチックディスプレイに映し出す「コンバイナー方式」の2種類があります。
●スマートヘルメット
バイク用のHUDは、右目の前または両目の前に設置されたスクリーンに情報を映し出すコンバイナー方式です。スマートヘルメットは、HUDとカメラ、スピーカー、通信モジュールで構成。スマホと通信することによってさまざまな情報をHUDに映し出したり、カメラの画像を表示させたり、またヘルメットに内蔵されたスピーカーで音声を聞くことができます。
通常スピードメーターなどを見る場合は視線を大きく移動させる必要がありますが、HUDなら視線をほとんど動かす必要がありません。表示は数m先に虚像として見えるため、視点や焦点の移動が少なく疲労が軽減されます。また、後方カメラの映像もON/OFFスイッチによって邪魔にならない程度のサイズで映し出すことができます。
さらにスマホとBluetoothで接続できるので、スマホの専用ナビアプリの情報をHUD上に表示して安心してナビを活用することができます。
●スマートヘルメットの構成
スマートヘルメットの基本構成は、次の通りです。
ヘルメット後頭部にCPUとリアビューカメラを内蔵
・CPU:映像をはじめ、スマホとのBluetooth接続、音声機能を制御するコントロールユニット
・リアビューカメラ:180°近い広角カメラを装着、バイクのミラーでは死角となる広範囲を映し出す
ヘルメット側頭部にダクトとスピーカーを内蔵
・ダクト:左右の側頭部から走行風を導入してライダー頭部のムレ防止とCPUボードの冷却
・スピーカー:耳の位置に高出力スピーカーを内蔵
前面のシールド部
・HUD:スマホと連動したナビ情報やカメラによる後方映像を表示。例えば、道路分岐点までの距離、天気、バッテリー状態など
バイクでも、スマホを設置してナビアプリを利用するのが当たり前になっています。安全性の向上を目的に、最近クルマで普及が進んでいるHUD(ヘッドアップディスプレイ)が、バイクでもヘルメットに搭載するかたちで開発され、ついに実用化の段階になりました。視点や焦点の移動が少なくてすむので、バイク事故の減少が期待できます。
(Mr.ソラン)